「メジャー・インフラトン」序章6/7【下巻】僕のグランドゼロ〜少年兵の季節 Knock! Knock! Knockin' On Heaven

あおっち

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第20章 バトル・オブ・千歳。魂の記憶、REDEMPTION(リデンプション)

第12話 恐怖する2機の「壊撃-4型G-one」。

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 白い塔の第2国防管制塔ビル。

 その屋上ではAXISの巨大ロボ、2機が動かないシーラスHARMOR1機を至近距離から攻撃を仕掛けている。
 その砲煙が、煙突の煙のようにモクモクを上がっていた。

( ドンドンドンドンッ! )

( ガンガンガンッ!)

( ブッブ――!ブブ――ッ! )
 
 今、至近距離から攻撃を仕掛けている「サテナ」ユー機と「セクメト」マー機は、アタッカータイプに分類される「壊撃-4型G-one」HARMORだ。
 
 攻撃力に特化した造りであり、ジュリアの搭乗する「コマンダー・HARMOR」とは設計思想が根本的に異なる。
 コマンダータイプ、すなわち《コマンダー・イクティニケ》の防御力は世界中の全HARMORで最も突出していた。
 
 そのスーパーコンピューターへ搭載したメインフレームとコクピットを護る複合アーマーは、対HARMOR戦用の40ミリ速射カノンや12.8ミリチェーンガン程度の兵器を浴びても、容易には貫通されないヘビーアーマーシェル構造を誇った。
 
 だが、いくら頑丈とはいえ、無抵抗で撃たれ続ければいつかは砕ける。

 外側から叩きつけられる40ミリ弾の衝撃が、機体を激しく揺らす。
 警報(アラート)こそ電源が落とされ鳴らないが、フォリオのモニターには依然として「E-CIM: CONNECTION FAILED」の文字が表示されたままだった。

 ジュリアは外の攻撃を無視し、指先の感覚だけに集中した。
 予備電源は、リブート用に温存しているため真っ暗なコクピットで機体は死んだように見えるが、その内部では神経質で、地味な接続作業が続いていたのだ。

 40ミリ速射カノンが火を噴き、12.8ミリチェーンガンが雨あられとイクティニケを叩く。

( ドンドンドンドンッ! )

( ドカッドカッドカッドカッ! )

 コマンダー機の重装甲は火花を散らし、表面の追加装甲が剥がれ飛ぶが、その中心にある「核(コクピット)」までは届かない。

( カッカッドンドンッ! )

(……グラグラッ……)

 少しイライラしながらも、入力する指を止めないジュリアだったが、さすがに激しく揺すぶられるコクピットで入力ミスをしたのか、怒るジュリア。

「OHH!HEY!ゲラウッ!……シッ!」

 ジュリアの体はシートベルトに締め付けられ、太ももの上に置かれたフォリオが激しく踊る。
 それでも彼女の指先は止まらない。
 
 轟音と火花が散るが、ジュリアのコマンダー・イクティニケは微動だにしない。
 機体のアーマーや、周辺に置かれた索敵システムが破壊されているだけで、本体構造にはビクともしない。
 
「サテナ」の中のユーは操縦桿を緩め、攻撃をやめた。

「ふぅ……。」
 
 呆れ始めるユー。
 
 ヘッドギアの透明シールドを開けた。
 手にコンパクトを持ち、鏡で自分の顔化粧を気にし始めた。

「ね~?マー?動かない指揮官機なんて、ただのサンドバッグだよね?ふー少し飽きてきた。」

「ほんとシラける。めっちゃコイツ硬いし。お嬢には、悪いけどォ。お腹減ったァ。もう止めてラーメン食べたい。って何分経った?」

( パチン。 )

 コンパクト閉じてお尻のポケットにしまうユー。

「えー……1分たったバッカ。」

「……もうダッサ!3分経ってないの~めっちゃウザ!12.8は弾ないし。」

「弾ぁ全部撃って帰ろ。行くよ!」

「は~い~了解!ウザッ!」
 
 ユーとマーの2機は、一斉に積載火器の40ミリ速射カノンと12.8ミリチェーンガンの弾幕を、屋上のジュリア機に叩き込んだ。

( ガラガラッギュィィーン、ブッブ――――ッ! ブッブ――――ッ! )

( ドンドンドンッ!ドンドンドンッ! )
 
 
 爆煙が上がる第2国防管制塔ビル屋上。

 
 煙がすぐ晴れると、アーマー類などがバラバラにはなっているが、基本片足を上げて佇むコーンボウラーが出てきたのだ。

「え!マジッ!なんでー!」

「なんだ、効かない!?フリーズしてんのに、コマンダーの防御力、こんなに馬鹿げてるの!?」

「お嬢にマジ怒られる。ビルの屋上を壊して、ヤンキー娘、下に落として見えなくするよ!」
 
 ユーは焦りから、ジュリア機を囲むようにビル全体に射撃を広げた。
 狙いは屋上の床ごと崩して、ジュリア機を落下させることだった。
 

( ドンドンドンッ!ドンドンドンッ! )

( カンカンカンッキーン!カンカンカンキィーン……。 )
 


「なにっ?」
「はあい?」


 
「え?ユー?なんでぇ。この床、全弾跳ね返してね?ウソ!」

 
( ドンドンドンッ! )

( カンカンカンキィーン……。 )
 

 しかし、ビルの屋上や構造物に弾丸が命中しても、屋上のコンクリートが容易に砕ける様子が全く見られない。
 傷すらつかなかった。
 
 焦るユーとマー。

「もう!3分過ぎて、お嬢が来るじゃん!最低!ビルのコンクリート材なら簡単に砕けるはずよ!屋上の床ごと、機体が崩れ落ちるのを期待したのに……めっちゃマズッ!」

 これが今、宇宙で戦っている宙空母艦ウーラノス艦の艦橋を隠すための艤装ビルだと、2人は直感した。

 噂に何度も聞いた、シーラスへの異星人からの技術提供を実感したのだ。
 地球の常識や、人知の強度を超えた素材。
 傷も爆炎の汚れも一切つかない床。
 
 なぜか背筋に寒気を感じる2人だった。
 自分たちは、相手にしてはいけない相手に、攻撃しているのじゃないのかと感じたのだ。

 2機は苛立ちから、ビルの側面に機銃掃射を浴びせる。

「もう。ジャーこっちは?」


( ガラガラッギュィィーン、ブッブ――――ッ! )

( バババババキュキュキューン…… )


「あ!……ねー、ユー?」

「……何よマー。」
 
「私、兵士になって初めて感じる恐怖。」

「……私もなんかキモい。」

「違和感。パニくるってゆうか不気味な……頭の中、オカルト状態。あははっ!笑うしかない、あははっ!」

 マーが屋上から下を見ると、斜め角度の窓ガラスの壁面があった。


( ドンッ! )
 
( バジャーン!)

 
 屋上イタズラに撃つとガラスだけが粉砕した。
 粉砕したガラス破片が約100メートルのビルの下へ落下していく。
 
 弾丸は、藤代局長の窓際の机に命中し、破壊された机から色んな形や色のカツラ「ウィッグ」が部屋中に散らかった。

 屋上のペントハウスの壁を撃っても弾丸を弾き返す壁。


( ドンッ! )

( キュィィーン…… )

 
 ガラスを撃つと、また粉砕した。


( ドンッ! )

( ガシャーン! )


「チッ……ガラスだけ地球製って……なんの冗談なの?もうギガ最低――っ。」
 
 
――その時、朗報が訪れたのだ。
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