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第2章 アメリカ陸軍、テキサス捕虜収容所。
無敵の日本兵。その名は「ヒロシ・ミフネ」
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大袈裟に手を広げるボイス大佐。
「無傷、完治。解る?ナッシング。次の日には傷跡もあなたが縫ったデタラメな縫い跡も無いのよ。縫った糸はどこにいったの!まったく。」
ボイス大佐は、唇を噛み締めて無音で、ゆったり回る天井のシーリングファンを見つめた。そして、イスから立ち上がり、外の収容所の様子を外窓のブラインドの隙間から見た。
そんな大佐を目で追いかける女軍医。
ボイス大佐は首を振りながらまた、笑いながら呆れて、しゃべり始めた。
「あー。彼には、……本当に。クレンショー伍長には済まない事をしたわ。あ~まさか、まさか……本当に有る事だなんて。」
ブラインドの外を見ながら腰に手を当て、下を向いて額に指を当て、独り言を言うボイス大佐。
「ハッ?何の事ですか、誰ですかクレンショー伍長って?あまりに酷い縫い方でその伍長が治してくれたの?翌日には完治だなんて!凄い方です。魔法かしら。どうやったら翌日に完治するの?もう、そのような治療薬が開発されているのでしょうか?もしそうでしたら、私のレポート撤回します。テキサスの収容所に配属されて、頭がイカレタと思われます。」
レポートを返せとばかりに手を差し出す女軍医を、大佐はまぁまぁと女軍医を手で押さえた。
また机の上に置かれた診断書の患者の名前とレポートの患者の名前を両方を、指で差した。
「ただ、診断書の捕虜の名前はグンソー・フクダ。レポートと名前が違うじゃない?ね?これよ。」
「それは、ここ収容所での名前は、偽名です。本名はヒロシ・ミフネです。」
「ん?何故、偽名とわかるの?」
「昨日、本人と、他の日本兵にも聞きました。」
大佐が再び椅子に座り、両手を組んだ。
「ふふふっ。いつも転任したての軍医、特に白人の女医はアジア人をものすごく嫌がるけど……気味が悪いって。戦時中のプロパガンダのせいだとは思うけど。黄色いサルは知能が低いって。新聞で、日本兵の頭蓋骨を本土まで送ってきた記事とか、アナタ見なかった?写真付きでよ。プロパガンダの極みよ。ほんと恥知らずの記事。どう?」
「え?そうですか。ヨーロッパに居たので、よく知りません。」
「まぁでも、よく貴女は自分から近くまで行けたわね。まだ、転属して5日目でしょう?彼らは、何と?アナタは日本兵と話をしたの?」
と、ボイス大佐。
「イエスマム。通訳を通してですが、彼らはミフネの事を不死身の分隊長、鬼の分隊長とか。」
大佐は聞き間違えたか?との表情で耳たぶに指を当て聞き直した。
「不死身?何ですって?」
「そう不死身の、死なないの意味の。ここ、テキサスに回されたアンガウル・ペリュリューでの生き残り8人全員が同じ事を言います。本人にも会って名前を確認しました。ヒロシ・ミフネで間違いないと。アンガウルでは戦死した戦友の名前で戦っていたと。それで昨晩、レポートの名前をすぐに本名に書き直しました。」
私も呆れたと、両手を開きゼスチャーをしながら女軍医は話し続けた。
再び立ち上がりガラスの壁に立ち、腕組みをする大佐。構わず話を続ける女軍医。
「たまたま、昨日の昼。ワシントンから検閲にいらっしゃった軍医殿、医療部長の、元空挺部隊で従軍医師の少佐と昼食をご一緒しましたの。」
ガラス壁のブラインドの前に立つ大佐が、突然!振り向き鋭い眼光を女軍医に向けた。
「ん?あー!元ワイルドキャッツ、第八十一歩兵師団の従軍外科部長の?マイケル・マズル少佐の事か!」
突然、強い態度になる大佐。
少し驚く女軍医だった。しかし、気の強い女軍医。
彼女も負けずに返した。
「そうです!そのマズル少佐ですわ。」
少し興奮気味の軍医。
「パラオのペリュリュー島は、星条旗の旗揚写真で有名となった硫黄島に次いで、激戦地として有名になりましたが、隣の島、アンガウルは米国にとって更に最悪だったそうです。1,259名の日本兵に対し上陸した約21,000名のアメリカ兵の戦い。アメリカの戦死傷者は2,559名。軍の機密事項ですよね。」
と、下を向く女軍医。
「私も聞き知ってはいるが。」
ボイス大佐は下を見ながら話を続ける女軍医の目線を確かめて、ガラス壁のブラインドを全て外から見えないように、静かに締めた。
( シャカシャカシャカ……。 )
「マズル軍医殿と私は2人ともポーランド人で、話が盛り上がってしまって。誠実でユーモアがあるお方で、」
話が脱線しそうになり、大佐の視線を感じて赤くなる女軍医。
「ゴホンッ!失礼しました。ただ、お話の中で、信じられませんでしたが、」
大佐の顔を見て、人差し指を上げ興奮気味に話続ける。
「たった1人。たった1人ですよ。大佐。1人の日本人に200名以上の兵士がやられたと。もしかしたら間接的には、300名以上のアメリカ兵がやられたかもと仰ってました。」
「えっ?1人の兵士で、そんなバカな。ふふっ。」
「いえ、事実みたいです。私も疑って話を聞いたのです。でも、アンガウル、ペリュリューで味方の遺体を検死したのも、重症者を治療したのもマズル少佐ですので間違い無いと。負傷者、戦闘による死亡者の検死・統計報告はマズル少佐との事でした。」
「あははっ。そんな、1人の兵士でそんなに味方の負傷者が出るなんて。世間に知れたら、大変な事になる。戦時国債が暴落するわ。ふふふっ。」
半分、バカにしながら上目使いで女軍医をみるボイス大佐。
そんな、態度に構わず話を進めた。
「はい、マム。たとえば、日本兵が占拠した洞窟の前で、すでに日本兵は一掃されたと油断した米軍が、生き残りのそれも、たった1人の日本兵と戦闘になり見方が大勢やられたと。その時、敵の、その日本兵も重傷を負ったハズなのに、翌日また同じ日本兵に中隊が襲われて全滅したと聞きました。その中隊長の、テイラー少尉。いえテイラー大尉が自由ポーランド軍の降下部隊でご一緒だったので間違いないと。」
少し高揚しながら話す女軍医。
ボイス大佐が、腕を組みながら自分の机に腰を掛けた。
「なるほど。あなたはその話、少年の妄想みたい話を信じるの?無敵の兵隊だなんて。サムライは無敵みたいな。はははっ。全く。あり得ない、あり得ない。そんな話を。今、GHQのマッカーサー元帥の日本占領が始まったのよ。そのサムライの地、日本の占領が始まった時に。あははっ。もう、日本に上陸した兵士が間に受けたら、パニックになるわ。あははっ。」
「はい。話の序盤ではありえない作り話と思って聞いていましたが……マム、」
「聞いていましたが、って何?」
「はい、日本軍との戦闘に決着がつき、アンガウル・ペリュリューでの占領も終わり、本格的にペリュリュー島で空港の建設が始まった時、それが始まったと。」
「えっ?なにが始まった?」
眉にシワを寄せ、思わず本職の記者に戻り、メモ用紙とペンを用意するボイス大佐。
「それが大佐。毎晩、恐怖の爆発事件が多発したらしいのです。」
「そんな作り話。ペリュリューや東南アジア方面から戻った、私の通信社の従軍記者からも聞いてないわ。爆発事件って、初耳よ。クレンショー伍長も爆発事件は言ってなかった。」
「そうですか。それも死んだはずの日本兵、そのサムライが何度も行っていたらしいのです。最初の出会いはアンガウル。重症の彼を治療したらしいのです。でも翌日は脱走したと。」
「死んでから翌日って。そんな。」
「私も疑いましたが全身、創傷や銃創が多数で、撃たれた後なのに。翌日から脱走したらしいのです。」
「……馬鹿馬鹿しい。それで?」
つい、馬鹿馬鹿しくなり、ペンを収めたボイス大佐。
「はい。そして、2回目に彼と出会ったのはペリュリューの本部キャンプとの事です。」
納得いかない顔のボイス大佐。眉の上を指で掻いた。
「その時は頸部、首を撃たれ銃殺されたらしいのですが、遺体で運ばれてきたと。その遺体を、マズル軍医殿が戦死判定を出したと言っておられました。それなのに遺体置き場に3日間放置していたら突然いなくなったと。」
「は?何っ?そんな馬鹿な!」
「戦場を渡り歩いたベテランの医師が死亡を確認したんですよ。その遺体が遺体置き場から行方不明に。捜索したその夜、燃料倉庫や弾薬置き場を爆破されたらしいのです。」
鼻で笑いながら話すボイス大佐。
「はははっ。もう、ありえるの?そんな作り話。いい加減な。マズル少尉ってそんな人だったの。」
「いいえ、マム。彼はまじめな方です。そのマズル少佐殿が、間違いなく仰っていました。」
「たしかに、私の取材したクレンショー伍長は確かに、グンソー・フクダは傷の治りが早く、すぐ傷が治ると脱走しそうになるので、体当たりして止めた事があったとは言っていたのよ。」
「でも、そのグンソー・フクダがここに居るのです、マム。」
「わかっているわ。でも爆破事件までは聞いてないな。ん~まぁ、軍の機密に関わるのかな。驚異の回復力か。でも、あなたのお父様が作る映画じゃないのだし。」
「あっ、父をご存じで?」
「あなたのお父様、敏腕プロデューサー、ゴールドウィン監督は全米の皆が知ってるわよ。」
「ありがとうございます。それで、その軍医の話から私が興味を持ち、グンソー・フクダと呼ばれる日本兵。そのサムライに興味が沸いて、今日の朝に彼を呼び出して検査をしたらなんと、回復している……本当なんです。」
話の途中、ボイス大佐は突然、サッ机に戻り引き出しの銀のガバメント銃をとった。
あろう事に女軍医の目の前を、片腕で机を押えて机の奥から忍者のように1回転し、着地した。
( シュ、シュ、タンッ!)
部屋の中で何が起きたのかわからない女軍医。
棒立ちになったままだった。
その棒立ちのまま立ち止まった軍医のこめかみへ、ボイス大佐が腕をまっすぐ伸ばし銃を突き付けて横に立ったのだ。
一瞬の出来事に、両手を顔の前にパっと開いたまま、固まる女軍医のジェーン・ゴールドウィンだった。
「無傷、完治。解る?ナッシング。次の日には傷跡もあなたが縫ったデタラメな縫い跡も無いのよ。縫った糸はどこにいったの!まったく。」
ボイス大佐は、唇を噛み締めて無音で、ゆったり回る天井のシーリングファンを見つめた。そして、イスから立ち上がり、外の収容所の様子を外窓のブラインドの隙間から見た。
そんな大佐を目で追いかける女軍医。
ボイス大佐は首を振りながらまた、笑いながら呆れて、しゃべり始めた。
「あー。彼には、……本当に。クレンショー伍長には済まない事をしたわ。あ~まさか、まさか……本当に有る事だなんて。」
ブラインドの外を見ながら腰に手を当て、下を向いて額に指を当て、独り言を言うボイス大佐。
「ハッ?何の事ですか、誰ですかクレンショー伍長って?あまりに酷い縫い方でその伍長が治してくれたの?翌日には完治だなんて!凄い方です。魔法かしら。どうやったら翌日に完治するの?もう、そのような治療薬が開発されているのでしょうか?もしそうでしたら、私のレポート撤回します。テキサスの収容所に配属されて、頭がイカレタと思われます。」
レポートを返せとばかりに手を差し出す女軍医を、大佐はまぁまぁと女軍医を手で押さえた。
また机の上に置かれた診断書の患者の名前とレポートの患者の名前を両方を、指で差した。
「ただ、診断書の捕虜の名前はグンソー・フクダ。レポートと名前が違うじゃない?ね?これよ。」
「それは、ここ収容所での名前は、偽名です。本名はヒロシ・ミフネです。」
「ん?何故、偽名とわかるの?」
「昨日、本人と、他の日本兵にも聞きました。」
大佐が再び椅子に座り、両手を組んだ。
「ふふふっ。いつも転任したての軍医、特に白人の女医はアジア人をものすごく嫌がるけど……気味が悪いって。戦時中のプロパガンダのせいだとは思うけど。黄色いサルは知能が低いって。新聞で、日本兵の頭蓋骨を本土まで送ってきた記事とか、アナタ見なかった?写真付きでよ。プロパガンダの極みよ。ほんと恥知らずの記事。どう?」
「え?そうですか。ヨーロッパに居たので、よく知りません。」
「まぁでも、よく貴女は自分から近くまで行けたわね。まだ、転属して5日目でしょう?彼らは、何と?アナタは日本兵と話をしたの?」
と、ボイス大佐。
「イエスマム。通訳を通してですが、彼らはミフネの事を不死身の分隊長、鬼の分隊長とか。」
大佐は聞き間違えたか?との表情で耳たぶに指を当て聞き直した。
「不死身?何ですって?」
「そう不死身の、死なないの意味の。ここ、テキサスに回されたアンガウル・ペリュリューでの生き残り8人全員が同じ事を言います。本人にも会って名前を確認しました。ヒロシ・ミフネで間違いないと。アンガウルでは戦死した戦友の名前で戦っていたと。それで昨晩、レポートの名前をすぐに本名に書き直しました。」
私も呆れたと、両手を開きゼスチャーをしながら女軍医は話し続けた。
再び立ち上がりガラスの壁に立ち、腕組みをする大佐。構わず話を続ける女軍医。
「たまたま、昨日の昼。ワシントンから検閲にいらっしゃった軍医殿、医療部長の、元空挺部隊で従軍医師の少佐と昼食をご一緒しましたの。」
ガラス壁のブラインドの前に立つ大佐が、突然!振り向き鋭い眼光を女軍医に向けた。
「ん?あー!元ワイルドキャッツ、第八十一歩兵師団の従軍外科部長の?マイケル・マズル少佐の事か!」
突然、強い態度になる大佐。
少し驚く女軍医だった。しかし、気の強い女軍医。
彼女も負けずに返した。
「そうです!そのマズル少佐ですわ。」
少し興奮気味の軍医。
「パラオのペリュリュー島は、星条旗の旗揚写真で有名となった硫黄島に次いで、激戦地として有名になりましたが、隣の島、アンガウルは米国にとって更に最悪だったそうです。1,259名の日本兵に対し上陸した約21,000名のアメリカ兵の戦い。アメリカの戦死傷者は2,559名。軍の機密事項ですよね。」
と、下を向く女軍医。
「私も聞き知ってはいるが。」
ボイス大佐は下を見ながら話を続ける女軍医の目線を確かめて、ガラス壁のブラインドを全て外から見えないように、静かに締めた。
( シャカシャカシャカ……。 )
「マズル軍医殿と私は2人ともポーランド人で、話が盛り上がってしまって。誠実でユーモアがあるお方で、」
話が脱線しそうになり、大佐の視線を感じて赤くなる女軍医。
「ゴホンッ!失礼しました。ただ、お話の中で、信じられませんでしたが、」
大佐の顔を見て、人差し指を上げ興奮気味に話続ける。
「たった1人。たった1人ですよ。大佐。1人の日本人に200名以上の兵士がやられたと。もしかしたら間接的には、300名以上のアメリカ兵がやられたかもと仰ってました。」
「えっ?1人の兵士で、そんなバカな。ふふっ。」
「いえ、事実みたいです。私も疑って話を聞いたのです。でも、アンガウル、ペリュリューで味方の遺体を検死したのも、重症者を治療したのもマズル少佐ですので間違い無いと。負傷者、戦闘による死亡者の検死・統計報告はマズル少佐との事でした。」
「あははっ。そんな、1人の兵士でそんなに味方の負傷者が出るなんて。世間に知れたら、大変な事になる。戦時国債が暴落するわ。ふふふっ。」
半分、バカにしながら上目使いで女軍医をみるボイス大佐。
そんな、態度に構わず話を進めた。
「はい、マム。たとえば、日本兵が占拠した洞窟の前で、すでに日本兵は一掃されたと油断した米軍が、生き残りのそれも、たった1人の日本兵と戦闘になり見方が大勢やられたと。その時、敵の、その日本兵も重傷を負ったハズなのに、翌日また同じ日本兵に中隊が襲われて全滅したと聞きました。その中隊長の、テイラー少尉。いえテイラー大尉が自由ポーランド軍の降下部隊でご一緒だったので間違いないと。」
少し高揚しながら話す女軍医。
ボイス大佐が、腕を組みながら自分の机に腰を掛けた。
「なるほど。あなたはその話、少年の妄想みたい話を信じるの?無敵の兵隊だなんて。サムライは無敵みたいな。はははっ。全く。あり得ない、あり得ない。そんな話を。今、GHQのマッカーサー元帥の日本占領が始まったのよ。そのサムライの地、日本の占領が始まった時に。あははっ。もう、日本に上陸した兵士が間に受けたら、パニックになるわ。あははっ。」
「はい。話の序盤ではありえない作り話と思って聞いていましたが……マム、」
「聞いていましたが、って何?」
「はい、日本軍との戦闘に決着がつき、アンガウル・ペリュリューでの占領も終わり、本格的にペリュリュー島で空港の建設が始まった時、それが始まったと。」
「えっ?なにが始まった?」
眉にシワを寄せ、思わず本職の記者に戻り、メモ用紙とペンを用意するボイス大佐。
「それが大佐。毎晩、恐怖の爆発事件が多発したらしいのです。」
「そんな作り話。ペリュリューや東南アジア方面から戻った、私の通信社の従軍記者からも聞いてないわ。爆発事件って、初耳よ。クレンショー伍長も爆発事件は言ってなかった。」
「そうですか。それも死んだはずの日本兵、そのサムライが何度も行っていたらしいのです。最初の出会いはアンガウル。重症の彼を治療したらしいのです。でも翌日は脱走したと。」
「死んでから翌日って。そんな。」
「私も疑いましたが全身、創傷や銃創が多数で、撃たれた後なのに。翌日から脱走したらしいのです。」
「……馬鹿馬鹿しい。それで?」
つい、馬鹿馬鹿しくなり、ペンを収めたボイス大佐。
「はい。そして、2回目に彼と出会ったのはペリュリューの本部キャンプとの事です。」
納得いかない顔のボイス大佐。眉の上を指で掻いた。
「その時は頸部、首を撃たれ銃殺されたらしいのですが、遺体で運ばれてきたと。その遺体を、マズル軍医殿が戦死判定を出したと言っておられました。それなのに遺体置き場に3日間放置していたら突然いなくなったと。」
「は?何っ?そんな馬鹿な!」
「戦場を渡り歩いたベテランの医師が死亡を確認したんですよ。その遺体が遺体置き場から行方不明に。捜索したその夜、燃料倉庫や弾薬置き場を爆破されたらしいのです。」
鼻で笑いながら話すボイス大佐。
「はははっ。もう、ありえるの?そんな作り話。いい加減な。マズル少尉ってそんな人だったの。」
「いいえ、マム。彼はまじめな方です。そのマズル少佐殿が、間違いなく仰っていました。」
「たしかに、私の取材したクレンショー伍長は確かに、グンソー・フクダは傷の治りが早く、すぐ傷が治ると脱走しそうになるので、体当たりして止めた事があったとは言っていたのよ。」
「でも、そのグンソー・フクダがここに居るのです、マム。」
「わかっているわ。でも爆破事件までは聞いてないな。ん~まぁ、軍の機密に関わるのかな。驚異の回復力か。でも、あなたのお父様が作る映画じゃないのだし。」
「あっ、父をご存じで?」
「あなたのお父様、敏腕プロデューサー、ゴールドウィン監督は全米の皆が知ってるわよ。」
「ありがとうございます。それで、その軍医の話から私が興味を持ち、グンソー・フクダと呼ばれる日本兵。そのサムライに興味が沸いて、今日の朝に彼を呼び出して検査をしたらなんと、回復している……本当なんです。」
話の途中、ボイス大佐は突然、サッ机に戻り引き出しの銀のガバメント銃をとった。
あろう事に女軍医の目の前を、片腕で机を押えて机の奥から忍者のように1回転し、着地した。
( シュ、シュ、タンッ!)
部屋の中で何が起きたのかわからない女軍医。
棒立ちになったままだった。
その棒立ちのまま立ち止まった軍医のこめかみへ、ボイス大佐が腕をまっすぐ伸ばし銃を突き付けて横に立ったのだ。
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