「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち

文字の大きさ
36 / 47
第14章 アバター南華子登場。

第3話 あの日。僕たちのグランド・ゼロ。

しおりを挟む
■ 23年前の6月25日。
 
 その日、早朝から始まったAXISの北海道侵攻作戦。
 手始めに始まった陽動作戦としての台湾、金門県への攻撃。
 世界の目を台湾へ釘付けにしてからの、敵の本目標、北海道着上陸作戦だった。
 
 敵は、威力偵察で、苫小牧港湾へ貨物船に積んだ機動モービルHARMORと特殊潜入部隊で潜入。
 その後、小型潜水艦による巡航ミサイルの飽和攻撃。
 当時、海軍史上最強を謳われた日本国軍・自衛隊共同第2機動艦隊が苫小牧沖で消滅してしまったのだ。
 
 その後、苫小牧湾岸に潜入した20隻の超大型潜水母艦と上陸部隊の侵入による苫小牧市への侵略攻撃が始まったのだ。
 敵の大規模HARMOR大隊とシーラスのHARMORによるロボット会戦が行われた。
 結果、苫小牧市を守るシーラスのHARMOR防衛部隊が全滅してしまった。
 
 苫小牧市を占領したAXISの着上陸軍は、大破や行動不能になった機体を残し、50機近い機動モービルの大群で千歳宙空ステーションに襲い掛かったのだ。
 
 最初に迎え撃ったのは千歳に残った小林、椎葉、黄(ホァン)の小林小隊と、椎葉きよしの恋人だったジェシカ・スミス小隊の合計、たった6機の機動モービル小隊だった。
 実戦配備した小林、ルオの2人にとっては初陣だった。
 椎葉きよしは前年の対馬防衛戦から2回目の実戦だった。
 
 序盤は人民解放軍の物量の勝利と思われたが、小林たちは距離を大きく保ち、新型モービルの高高度機能を最大限に生かし上空から自由落下狙撃の攻撃をした。短時間で半数の敵モービルを行動不能にした。しかし地上戦に戦いが移ると苦戦を強いられた。
 AXISの中でもエース級のパイロットと機体で作戦に臨んでいたのだ。
 瞬く間にジェシカ小隊が次々に撃破された。そして、椎葉達を助けるためにジェシカは部下のリリアナと共に自爆した。それも小型熱核兵器で自爆したのだった。
 昨年の対馬戦役に続いて世界に衝撃が走った。
 
 しかし、残った3機、椎葉や小林、黄ルオの機動モービルは善戦した。
 人民宇宙軍は戦いが不利になると、逃げ遅れた空港職員や一般の空港利用客などが退避していた倉庫に襲い掛かる。
 生き残った人民解放宇宙軍の機動モービル対日本軍3機の機動モービル戦。
 実はAXIS軍、最後のカードがあった。昇竜モービル小隊が無傷で温存されていたのだった。
 とりあえず、ひと安心する小林未央の毘沙門天(バイシュラーヴァナ機)。
 弾薬が残り少なくなり、弾数確認の為に仁王立ちした。実戦で、戦場で大きな的となる機動モービルの動きを止める事はご法度だが、シュミレーターで慣れきった小林は各装備の弾数確認で止めてしまった。そんな中、大破した解放軍の機動モービルが息を吹きかえした。
 その機動モービルの放った一撃が小林のコクピットを直撃したのだ。大勢が避難した倉庫の前に飛ばされる小林の毘沙門天。
 衝撃で、小林が気をうしなった。その様子を見て、再度襲う敵モービル。
 きよしのアタッカーモービルは単機で立ち向かった。
 ルオも上空からスナイピングしてきよしを助ける。
 行動不能状態の小林の自機の毘沙門天。その毘沙門天に昇竜モービル小隊が襲い掛かった。
 3機1チームのAXIS軍の機動モービル。
 その1機はオンライン・シュミレーションバトルでいつも世界の順位の1、2位を小林と争っていた昇竜マークの機体とそのチーム機だった。
 
 動けない毘沙門天を3機が囲み、殴る、蹴る。
 そして、もて遊ぶ。
 即座に椎葉のシバの神と、同僚の黄ルオのパールバディ機がカバーに入った。
 小林の前に立ちはだかるパールバディ。
 しかし、黄ルオのパールバディは既に弾切れの上、そして、至る所が既に被弾していた。
 AXISの3機は、弾切れでほぼ無抵抗のパールバディに弾をぶち込んだ。
 とうとう、パールバディ機のルオが愛機と共に爆死したのだ。
 それも木っ端みじんだった。
 ルオのパールバティを打ち破り、勝ち誇る昇竜モービル小隊。
 その隙をついて、きよしのシバの神は昇竜のチーム機、2機を一撃で撃破した。
 
 しかし、昇竜モービルは倒せなかった。
 
 その後、昇龍マークの機動モービルのHARMORが、まともに戦ってもシバの神にかなわない事を悟ると、倉庫前で防弾シールドの準備をしていた生身の技術武官の黄夫婦(ルオの両親)に狙いをつけた。
 
 シバの神の単機突進に慌てた昇竜は、黄夫妻を撃った。
 そして、妻のリーリンが重症を負う事になる。
 
 とっさに黄夫妻の盾となる椎葉きよしのシバの神。
 動けない椎葉をいいことに40ミリ速射カノン砲を昇竜マークの敵HARMORが至近距離からシバ神のコクピットに連射した。
 
 ついに撃ち抜かれてコクピットから上半身が吹き飛び、シバの神は大爆発を起こした。
 その時の小林の記憶……。
 
 1度目のシバの神が起こした大爆発の振動や音で小林は息を吹き返した。大量出血によって再び気を失いかけた小林は歯を食いしばり、無理やり気合を入れて意識を戻した。
 2度目のシバの神の爆発。
 明るい光が左モニターから差し込んだ。
 左モニターを振り向くと異様な光景が映し出されていた。小林のひび割れたモニターには、左目から血を流し、左半身が血だらけになり、コクピットから右足だけで立って拳銃を向ける椎葉きよしが映った。
 
「シー、まだ動いていやがる。あんな状態で立ち上がってやがる!シー!」
 
 意識が遠のく中、大破炎上し、その炎の中に立つ生身の椎葉に40ミリカノン砲を近づける敵HARMOR。
 
「生身の人間に砲口を向けるとは!どこまでも卑怯で腐った野郎だぜ。これはシュミレーターなんかじゃない!現実だ!この野郎っ~!くらえ!」
 
 小林は必死に最後の力を振り絞り、左腕を伸ばし50ミリ速射カノン砲を敵機動モービルのコクピット・シールド・バイザーに向け連射した。
 敵のコクピット・シールド・バイザーが吹き飛び、コクピットがむき出しになった。
 生身になった敵HARMORの少女パイロット。
 目の前に構えた血だらけで銃を構える椎葉きよし。
 
「キャー!」
 
 と悲鳴を上げ、震え上がり、ヘルメットを押え怯えた。
 しかし構わず、きよしが敵兵の気配を頼りに拳銃を連射。

( パンッパンッパンッ!パンッパンッパンッ! )
 
 ここまでが小林の記憶だった。
 
 その後、聞いた話では占冠村から応援に来た女真帝国の機動モービルHARMOR部隊20機と恵庭の自衛隊機動モービルHARMOR20機が残りを掃討したとの事だった。
 
 そんな昔の事も今、それも最近、嫌に思い出す小林だった。
 しかも、椎葉をだまし続けている罪悪感が今も小林の心のシコリになっていた。
 しかしそれは、椎葉の妻のシルビア、妹のエルジビエタ、オディア。母親の京子は特に今も悩んでいるはずだった。だが、それも明後日25日の非公式ではあるが慰霊式典で全て椎葉に打ち明けるつもりでいる小林だった。
 何とも言えない気持ちの小林だった。

( この仕事、ホント!キッツイわぁ~! )
 
 と、天井を見て、心の中で叫ぶ小林だった。
 
 「ん?どったの?」
 
 不意に目が覚めた椎葉だったが、お腹が膨らんでいよいよ瞼が重くなる。へなへなへなっと、手枕に沈み始める椎葉。
 
「もぅ行くぞ!シー!」
 
「フニャフニャ、もう食べきれないですー、南さん……。」
 
 無理やり椎葉を立たす小林。
 
「山ちゃん!ご馳走さん!」
 
「あいよっ!」

 小林は、椎葉の腕をつかんだまま、スマハンドを会計レジ端末に付けた。

( ピッ!3,150円を入金いたしました。テンテンポント31ポイント加算いたしました。ご利用有難うございます。)

 と、レジから自動音声が流れた。
 椎葉を店の外に押し出す小林。その時、店主の山ちゃんが余計な事言った。
 
「毎度~!ありがとうな、コバちゃん。また、エルちゃんとおいで!また、2人で飲んだ帰りに来たら、いいやんか!イチャイチャしたらいいがなぁ。あはは。こんどは、友達とさっきの綺麗な女の子と一緒に……。」
 
 と店主の山口。
 
「あわわ、山ちゃんシーッ!シーッ」
 
 慌てて、唇に人差し指をあてて、手のひらで店主の話をさえぎる小林。口に手の平を当てて慌てる店主。
 
「あっ、あっ。」
 
 小林は今の会話が聞かれたのかと焦って、椎葉きよしが先に出ているのを確認してた。
 
「ほっ。もう、頼むで~山ちゃん。んもうっ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

【総集編】未来予測短編集

Grisly
SF
❤️⭐️お願いします。未来はこうなる! 当たったら恐ろしい、未来予測達。 SF短編小説。ショートショート集。 これだけ出せば 1つは当たるかも知れません笑

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

処理中です...