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アガネスト帝国王立魔法学園

15,お姉ちゃん……と殿下まで!?

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「それでも俺は聞く。」

少しの間があり、ポツリとカイルが言った。

「どうして?」

 もしさ、話しちゃったら皆(神)にも関わってもらう必要になるし、カイルが私を選んでくれたらもう、人間でいられる保証は、ゼロに近い。

「あ~……こんな形で言うつもりは、なかったんだが、……めっちゃ恥ずいな……」

「……?」

 カイルが片手で顔を覆い、そっぽを向いてしまった。

どうした?

「……ナナはさ、俺と一生一緒に居てくれたりしないか?」

一生……?

……

私は、カッと顔を赤く染めてしまった。

「あ、……え?それって、そういう事で良いの?私の思い違い?勘違い?自意識過剰?妄想?」

「…………なんだ、そう悩まなくても、もうナナは俺の事……答えは貰えそうか?」

「へ?!……えっと……その……ね?私とその、一生を過ごすという事は、人間やめちゃうよ?良いの?」

「人間やめる?……ナナといられるならいいか……」

カイルと目が合う。

あ、これ本気だ。

「ナナ、俺と一生一緒に居てくれないか?」


……え?って事は?

私!?


好きな人に人生初告白された!?


「カイル……ナナとしてその返事は、返せない。」

「……そうか。」

「ナナは、卒業後にこの世から居なくなる。だから、私の本名を言うからもう一度言ってくれる?」

「……やっぱり偽名か……」

「うん。」

私は、『変化』を解いて言う。

「私は、如月 奈々葉。」

「奈々葉……奈々葉、俺と一生一緒に居てくれないか?」

 私は、その瞬間心臓がドクンッっと鳴ったのが分かった。

「はいぃぃぃぃ……!」
「おめでとぉぉぉー!!!」


「「え?」」

 私が『はい』っと答えると後ろから姉ねの声がして思いっきり抱きつかれた。

 私は、サッとカイルに引っ張られ後ろに守られる状態になる。

「いや~……見ていてとても初々しいくて、深い告白だったわよ~」

「誰だ?」

カイルが私を守りながら聞く。

「……あら~私の事を知らない?よく神殿とかで見ないかしら?」

「神殿?」

いやまぁそうなるんだけども……私が1番気になるのは……

「どうして、お姉ちゃんがここに居るの!」

「そんなの、恋愛を司っているのだから、恋愛がある所に私ありっよ。」

「……お姉ちゃん?(にこぉ)」

「ひっ!だって~……奈々葉ちゃんがやっと人間をやめて私達に近ずいた~って思ったら好きな男の子出来てるじゃない?だから、私が見守っていたのよ~」

「……あのさ……」

「「あ!」」
 
話の中に置いてけぼりにしてしまった。

「まず……奈々葉、お前この前姉さんにスキル貰ったとか言っていたけど、その姉さんか?」

「いや?姉さんは、今の所3人居るよ。」

「神殿っというのは?」

「そこは……」

「奈々葉ちゃん、カイル君は大丈夫だわ~。だって、ガイア母さんが見てたもの♪」

母さん……何を見ていたのかは後で聞こう。 

「……そうだね。カイルもちゃんと言ってくれたわけだし、私もちゃんと説明しなくちゃね。」

「うんうん♪たーだ……」

急にお姉ちゃんの顔が真顔になる。

「盗み聞きは、行けないわぁ~」

お姉ちゃんが一瞬パッと消えて直ぐに現れる。

「!!  ……何をするんだ。」

「「殿下!?」」

「奈々葉ちゃんもカイル君も自分の気持ちでいっぱいいっぱいのときなのにこんな邪魔は、どうしようかしら……?」

殿下は、お姉ちゃんに猫を掴むかんじで首根っこを掴まれている。

「いつからお聞きに?!」

「……ナナ嬢がカイルに忠告をしていた時辺りだ。」

「「だいぶ最初!!」」

「どういう事か、説明してもらえるね?」

……どうしようか……

「盗み聞きをしているただの人間に別に説明しなくてもいいんじゃないかしら~?」

お姉ちゃん……真顔がちょっと怖いです。


「な、王族の不敬罪に当たるがいいのか?」

「神にそんな口聞いてもいいの?この国を滅ぼすのも3秒あればあっという間よ?」

「うっ……」

だから、お姉ちゃん。綺麗なお顔が物凄く怖いです。

はぁ……いろいろと話がごっちゃになってるなぁ……

「お姉ちゃん、そこら辺でお願い……その『人間ごとき』が私の守護対象なんだから……」

「……奈々葉ちゃんがそう言うなら……」

お姉ちゃんは、元のムゥ……っと拗ねた顔になる。

「はぁ……疲れたぁ……モナ、お茶をお願い。」

 私がそうモナに言うと、どんな距離でも私が呼べば何故か一瞬で来れるっという得意技で来てくれた。

「かしこまりました。」

「……どこから来たんだ……」(殿下)
 
 私は、カイルの横で守られる体制から、カイルと向き合って言う。

「カイル、今から説明する事は全て本当なの。私を選んでくれて嬉しいけど、本当に人間に心残りは無いの?」

「だから、無いって。俺はお前が居ればいいの。後は……お世話になったカルドさんもある程度大事だけど……奈々葉程じゃない。」   

「カイルっ!ありがとう!」

私は、カイルをガバッと抱き締めてしまう。

「もう~奈々葉ちゃんったらその反応は遅いわよ~」

「お姉ちゃん……一体誰のせいだと……?お姉ちゃん?あのね?私まだ許してないよ?」

 私は、ニッコリとお姉ちゃんに向くとお姉ちゃんは、ビクッとしてそっぽを向いた。

「ご主人様、お茶のご用意が出来ました。」

「ありがとう、モナ。さぁ、とりあえず座って話し合いをしよう。」

私は、カイルから離れて椅子に座った。

するとお姉ちゃんは、私の右横の椅子に。

カイルは、私の左横の椅子に。

モナは、私の後ろに。

殿下は、カイルとお姉ちゃんの1つづつ空いた隣に。

丸いテーブルを囲んで座った。  

「カイル、まず話を始める前に聞きたいことはある?……殿下は、カイルへの説明の後にお話するので聞いておいてください。」

「分かった。」

「そうだな……とりあえず自己紹介からか?」

「いいよ……じゃあ私から。」

「あら、いいの?私からでもいいのよ~?」

「言い出しっぺが先に言うものじゃないの?」

「好きにするといいわ~」

「じゃあ、……そうだな……私の本名は、如月奈々葉。ベンナイト王国に召喚された勇者御一行として前の世界から呼び出されたただの人間……だったよ。」

「勇者……あぁ、勇者のうちの一人がベンナイト王国の王城で国の影のブラッドストーンの何人かを殺して逃走したって話か…… 
 それにしても、王国の暗殺者を殺ったことがあるって言うからそうか?
 っとか思ったが、王国の王都からこの国の王都まで1ヶ月は、かかるからそれは無いと思っていたが……この鳥女居るもんなぁ……」

「ブラッドストーン?あいつらそんな名前だったんだ……」

「あぁ、シャドウクローは、数多くある暗殺者組合のある帝国の最も力のある暗殺者組合だが、ブラッドストーンは、数多くある王国の最も力のある暗殺者組合だ。」

「へ~……」



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