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猫の尻尾はくるり
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本文7
「どうしたの……!!何があったの……ッ!!」
母屋の方へと駆け戻ると、悲鳴が聞こえたのだろう血相を変えた松里さんが飛び出してくるところだった。
鉢合わせする形になった私は、松里さんに向かって抱えていた汐を差し出す。
だらん、と猫特有の伸びる肢体。
「松里さん、汐が……汐が……ッ!!」
「汐がどうか……」
「尻尾が、二股に割れてるんです……!!」
「あっ……」
松里さんは、ハッとしたように瞳を見開いた。
そして心底、困惑したというように眉を寄せる。
小さく息をつき項垂れた松里さんの様子に、私は彼がこのことを知っていたのだと理解した。
「……そっか。気づいちゃったのね」
「松里さん……」
私は声が震えるのを押さえられなかった。
くらりと、眩暈がしそうになる。
「ばれちゃったなら、仕方ないわね。こんなこと、言いたくはなかったんだけど……」
「……いいえ」
私はかぶりを振って、汐をもう一度抱きしめた。
にぁ……という、猫にしてはありえない低音が応える。
「虐待……ですね……?」
「えっ……」
私が静かに訊ねると、松里さんは驚きでだろう表情を凍りつかせた。
その様子に、残酷な事実に気づいてしまった私は申し訳ない気持ちになる。
さっきの言葉はたぶん、こんなこと言いたくなかった、ということなのだろう。
「わかりますよ。だって、こんな見事に尻尾を二股にするなんて……。虐待以外に考えられません」
「器用すぎでしょ。どんな包丁技術よ、それ。板前か」
「え……?」
何かツッコミが来た気がする。
私の反応を見て松里さんは、ぱっと自分で自分の口のあたりを押さえた。
そしてくるりと、こちらに背を向ける。
小刻みに肩を震わせる松里さんは、か細い声で言った。
「……ごめんなさい。ちょっと笑っ……いえ、驚いちゃって」
「松里さん……」
松里さんにとっても、ショックな事実だったということかな。
それにしても、こんなことをした犯人はゆるせない。
「……ひどいことをする人がいるんですね。でも、そんな目に遭っても、こんなに人懐っこくて」
「……ッ!」
ゴッ、と何か物音がした。
顔を上げると、自身のみぞおちを拳で殴りつけている松里さんの姿があった。
「……!?」
どうしたっていうのだろう。
まさか、こんな犯行が行われたことを防げなかった自分を責めてそんな真似を?
だったらもうやめて……!
そんなにしたら、松里さんの腹筋が割れちゃう!
「ご……ごめんなさい、里ちゃんの想像の翼があらぬ方に飛んでいきすぎて、アタシ……」
松里さんは息も絶え絶えになりながら、そう言った。
なんだか言い訳まで支離滅裂になっている。
これ以上、傷口に触れるような真似はしない方がいいのかもしれない。
そう思った私は、出来るだけ笑顔を作った。
「あの……とにかく、御茶にしませんか。もう、お湯も沸いた頃でしょうし」
「どうしたの……!!何があったの……ッ!!」
母屋の方へと駆け戻ると、悲鳴が聞こえたのだろう血相を変えた松里さんが飛び出してくるところだった。
鉢合わせする形になった私は、松里さんに向かって抱えていた汐を差し出す。
だらん、と猫特有の伸びる肢体。
「松里さん、汐が……汐が……ッ!!」
「汐がどうか……」
「尻尾が、二股に割れてるんです……!!」
「あっ……」
松里さんは、ハッとしたように瞳を見開いた。
そして心底、困惑したというように眉を寄せる。
小さく息をつき項垂れた松里さんの様子に、私は彼がこのことを知っていたのだと理解した。
「……そっか。気づいちゃったのね」
「松里さん……」
私は声が震えるのを押さえられなかった。
くらりと、眩暈がしそうになる。
「ばれちゃったなら、仕方ないわね。こんなこと、言いたくはなかったんだけど……」
「……いいえ」
私はかぶりを振って、汐をもう一度抱きしめた。
にぁ……という、猫にしてはありえない低音が応える。
「虐待……ですね……?」
「えっ……」
私が静かに訊ねると、松里さんは驚きでだろう表情を凍りつかせた。
その様子に、残酷な事実に気づいてしまった私は申し訳ない気持ちになる。
さっきの言葉はたぶん、こんなこと言いたくなかった、ということなのだろう。
「わかりますよ。だって、こんな見事に尻尾を二股にするなんて……。虐待以外に考えられません」
「器用すぎでしょ。どんな包丁技術よ、それ。板前か」
「え……?」
何かツッコミが来た気がする。
私の反応を見て松里さんは、ぱっと自分で自分の口のあたりを押さえた。
そしてくるりと、こちらに背を向ける。
小刻みに肩を震わせる松里さんは、か細い声で言った。
「……ごめんなさい。ちょっと笑っ……いえ、驚いちゃって」
「松里さん……」
松里さんにとっても、ショックな事実だったということかな。
それにしても、こんなことをした犯人はゆるせない。
「……ひどいことをする人がいるんですね。でも、そんな目に遭っても、こんなに人懐っこくて」
「……ッ!」
ゴッ、と何か物音がした。
顔を上げると、自身のみぞおちを拳で殴りつけている松里さんの姿があった。
「……!?」
どうしたっていうのだろう。
まさか、こんな犯行が行われたことを防げなかった自分を責めてそんな真似を?
だったらもうやめて……!
そんなにしたら、松里さんの腹筋が割れちゃう!
「ご……ごめんなさい、里ちゃんの想像の翼があらぬ方に飛んでいきすぎて、アタシ……」
松里さんは息も絶え絶えになりながら、そう言った。
なんだか言い訳まで支離滅裂になっている。
これ以上、傷口に触れるような真似はしない方がいいのかもしれない。
そう思った私は、出来るだけ笑顔を作った。
「あの……とにかく、御茶にしませんか。もう、お湯も沸いた頃でしょうし」
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