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第25話
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合同部隊の人たちをいくつかの班に振り分け、それぞれ分かれて魔草の情報を集めた。
魔力照合検査で赤く反応した魔草を抜き取り、野営テント前に集めた後、根の色を確認してから処分する。
こういう時ばかりは宮廷薬師であり、部隊の責任者でもある私が中心になった。
魔草の被害が出ないように、川の水を集めて洗浄し、毒素はしっかりと取り除く頃には、周囲はスッカリ暗闇に。
まだまだ情報整理が終えていないので、私とアレク様とセレス様と一緒にテントで過ごし、魔草が見つかった場所を地図に記載していった。
「密集地帯の場所がわかれば、魔草が生まれた原因にたどり着くと思っていたんですが、思っていた以上に広範囲ですね」
冒険者の事前情報と照らし合わせても、ハッキリとしたことがわからない。魔草を育てた経験なんてあるわけもないので、情報が集まっても答えが出なかった。
「うーん、サッパリわからないわね。こういうのはアレクに任せるわ。私、先に夜ごはんを取ってくる」
「あっ、私は全種類盛り合わせでお願いします」
「食べきれなくても知らないわよ。意外に種類が豊富なんだから」
それだけ言うと、セレス様はテントから立ち去っていった。
頼んでおいて言うのもなんだが、普通に受け入れてくれたことに驚いている。
友達というのは、とても素敵なものかもしれない。いや、別にパシりに使ったわけではないけど。
自分にできないことを気兼ねなく任せただけで……と、なぜか言い訳を考えている間に、アレク様が指で地図を指した。
「この森に何かありそうだな」
「どうしてわかるんですか?」
「魔草が何らかの魔力に影響されているのなら、必ず法則性が存在する。大きな魔力を発するものがここにあると、魔草の発生場所に納得がいくんだ」
「なるほど。よくわかりませんでした」
「だろうな。セレスが諦めるくらいだから、ニーナにわかるはずがない」
私が隊長の意味はあるのか、本格的にわからなくなってきた。騎士団と魔術師団が優秀すぎる弊害である。
せめて、魔草のデータをまとめるくらいは頑張ろうと思っていると、喉に引っ掛かりを感じた。「ん、ん!」と咳払いしつつ、コップに入った水を飲む干す。
「風邪でも引いたか? さっきから少し声が変だぞ」
「大丈夫です。今日は知らない人たちと行動を共にしていたので、喉に負担がかかっただけですよ」
周りの騎士たちに自分の存在をアピールするため、常に声を張っていたら、喉が潰れかかってしまった。
明日はアレク様かセレス様と行動しないと、絶対に喉が死ぬ。声の出ない私なんて、存在が消失するといっても過言ではない。
「ニーナが体調を崩したら、この部隊の活動に支障をきたす。本当に大丈夫なんだろうな?」
しかし、心配癖のあるアレク様は疑い深かった。
私がラルフ様の婚約者である以上は仕方ないかもしれないが、また距離感を間違えている。顔色をしっかり確認するためか、グイッと顔を近づけてきた。
そんなことされたら、思わず目を逸らすのも当然のことだろう。
「おい、どうして目を逸らした」
「至近距離で見つめ合うのは、さすがに恥ずかしいじゃないですか」
「やましいことがある時、人は目を逸らすことが多い。本当は風邪を引いているんじゃないのか?」
「引いてません。大丈夫です。元気です」
「怪しいな。ちゃんと目を見て言ってみろ」
なぜこんなことになったのか。アレク様は全然信じようとしてくれない。
このまま彼を説得するのは困難だと判断して、恥ずかしくはあるものの……目を合わせることにした。
「本当に大丈夫です。問題ありません」
「顔が赤くなってきたな」
「誰のせいですか。ちゃんと目を見て言ったんですから、納得していただかなくては困ります」
「ラルフみたいなことを言わないでくれ。熱がある時は、顔が赤くなるものだ」
悲しそうな表情を浮かべたアレク様は、きっとラルク様に同じことを言われた経験があるんだろう。でも、すぐに悪い知らせが届いたに違いない。
兄を心配させないように言ったラルフ様のその言葉は、事実とは異なっていたのだ。きっと、それからアレク様の心配症は加速していて……。
「専門外の拙い魔法だ。少しだけ我慢してくれ」
そんなことを考えていると、アレク様の手が私の額に添えられた。
男性らしい大きな手で、とても温かくて、どこかホッとする。まっすぐ見つめてくるアレク様の瞳は優しくて、知らないうちに恥ずかしいという気持ちがなくなり、安心感が芽生えて見つめていた。
なんだろう、この感じ。どこか懐かしくて、何かを思い出しそうなくらいモヤモヤする。
アレク様に看病された経験なんて、あるはずがないのに……。
うん、きっと気のせいだ。これは薬師がよく使う魔法で、体温を測られているだけ。子供の頃に風邪を引いた経験を思い出して、懐かしんでいるんだろう。
こんなことができるなら、目を合わせるなんてしないで、最初からやってくれればよかったのに。
普段は診察する立場の私は、患者になったような気分で新鮮だった。
「アレク先生、どうですか」
「どうやら熱はない。嘘ではなかったようだな」
「だから言ったじゃないですか。心配しすぎですよ」
「これくらいは普通のことだ」
ジッとアレク様と目を合わせていると、何を思ったのかわからないが、私の額からパッと大きな手が離れていった。それと同時に、顔を赤くしたアレク様が急いで目を逸らす。
「待ってください。今、どうして急に目を逸らしたんですか」
「いや、嘘ではないとわかったからな」
「怪しいです。実は、アレク様が風邪を引いていた可能性がありますね」
「そんなわけがないだろ」
「では、私の目を見ていってください」
「確認など不要だ。俺はこういう遠征の経験が何度もあり、体調管理に慣れている。間違いなく万全の状態で……」
「はい。おでこ失礼しますねー」
普段から治療している薬師の私が良い負けるはずもなく、トンッと額に手を置き、強引に診察を開始する。
うーん、目を逸らし続けるのはどう見ても怪しい。でも、熱はないし魔力にも異常がない。急激に心拍数が高まっているだけで、病理的な問題もなさそうだ。
アレク様も風邪ではないと診断した時、皿いっぱいにサンドウィッチを載せてきてくれたセレス様が戻ってくる。
「あんたたち、本当に付き合ってないのよね?」
どうやらまた誤解を与えてしまったみたいだ。そんな関係になることなんて、絶対にない……はず。
魔力照合検査で赤く反応した魔草を抜き取り、野営テント前に集めた後、根の色を確認してから処分する。
こういう時ばかりは宮廷薬師であり、部隊の責任者でもある私が中心になった。
魔草の被害が出ないように、川の水を集めて洗浄し、毒素はしっかりと取り除く頃には、周囲はスッカリ暗闇に。
まだまだ情報整理が終えていないので、私とアレク様とセレス様と一緒にテントで過ごし、魔草が見つかった場所を地図に記載していった。
「密集地帯の場所がわかれば、魔草が生まれた原因にたどり着くと思っていたんですが、思っていた以上に広範囲ですね」
冒険者の事前情報と照らし合わせても、ハッキリとしたことがわからない。魔草を育てた経験なんてあるわけもないので、情報が集まっても答えが出なかった。
「うーん、サッパリわからないわね。こういうのはアレクに任せるわ。私、先に夜ごはんを取ってくる」
「あっ、私は全種類盛り合わせでお願いします」
「食べきれなくても知らないわよ。意外に種類が豊富なんだから」
それだけ言うと、セレス様はテントから立ち去っていった。
頼んでおいて言うのもなんだが、普通に受け入れてくれたことに驚いている。
友達というのは、とても素敵なものかもしれない。いや、別にパシりに使ったわけではないけど。
自分にできないことを気兼ねなく任せただけで……と、なぜか言い訳を考えている間に、アレク様が指で地図を指した。
「この森に何かありそうだな」
「どうしてわかるんですか?」
「魔草が何らかの魔力に影響されているのなら、必ず法則性が存在する。大きな魔力を発するものがここにあると、魔草の発生場所に納得がいくんだ」
「なるほど。よくわかりませんでした」
「だろうな。セレスが諦めるくらいだから、ニーナにわかるはずがない」
私が隊長の意味はあるのか、本格的にわからなくなってきた。騎士団と魔術師団が優秀すぎる弊害である。
せめて、魔草のデータをまとめるくらいは頑張ろうと思っていると、喉に引っ掛かりを感じた。「ん、ん!」と咳払いしつつ、コップに入った水を飲む干す。
「風邪でも引いたか? さっきから少し声が変だぞ」
「大丈夫です。今日は知らない人たちと行動を共にしていたので、喉に負担がかかっただけですよ」
周りの騎士たちに自分の存在をアピールするため、常に声を張っていたら、喉が潰れかかってしまった。
明日はアレク様かセレス様と行動しないと、絶対に喉が死ぬ。声の出ない私なんて、存在が消失するといっても過言ではない。
「ニーナが体調を崩したら、この部隊の活動に支障をきたす。本当に大丈夫なんだろうな?」
しかし、心配癖のあるアレク様は疑い深かった。
私がラルフ様の婚約者である以上は仕方ないかもしれないが、また距離感を間違えている。顔色をしっかり確認するためか、グイッと顔を近づけてきた。
そんなことされたら、思わず目を逸らすのも当然のことだろう。
「おい、どうして目を逸らした」
「至近距離で見つめ合うのは、さすがに恥ずかしいじゃないですか」
「やましいことがある時、人は目を逸らすことが多い。本当は風邪を引いているんじゃないのか?」
「引いてません。大丈夫です。元気です」
「怪しいな。ちゃんと目を見て言ってみろ」
なぜこんなことになったのか。アレク様は全然信じようとしてくれない。
このまま彼を説得するのは困難だと判断して、恥ずかしくはあるものの……目を合わせることにした。
「本当に大丈夫です。問題ありません」
「顔が赤くなってきたな」
「誰のせいですか。ちゃんと目を見て言ったんですから、納得していただかなくては困ります」
「ラルフみたいなことを言わないでくれ。熱がある時は、顔が赤くなるものだ」
悲しそうな表情を浮かべたアレク様は、きっとラルク様に同じことを言われた経験があるんだろう。でも、すぐに悪い知らせが届いたに違いない。
兄を心配させないように言ったラルフ様のその言葉は、事実とは異なっていたのだ。きっと、それからアレク様の心配症は加速していて……。
「専門外の拙い魔法だ。少しだけ我慢してくれ」
そんなことを考えていると、アレク様の手が私の額に添えられた。
男性らしい大きな手で、とても温かくて、どこかホッとする。まっすぐ見つめてくるアレク様の瞳は優しくて、知らないうちに恥ずかしいという気持ちがなくなり、安心感が芽生えて見つめていた。
なんだろう、この感じ。どこか懐かしくて、何かを思い出しそうなくらいモヤモヤする。
アレク様に看病された経験なんて、あるはずがないのに……。
うん、きっと気のせいだ。これは薬師がよく使う魔法で、体温を測られているだけ。子供の頃に風邪を引いた経験を思い出して、懐かしんでいるんだろう。
こんなことができるなら、目を合わせるなんてしないで、最初からやってくれればよかったのに。
普段は診察する立場の私は、患者になったような気分で新鮮だった。
「アレク先生、どうですか」
「どうやら熱はない。嘘ではなかったようだな」
「だから言ったじゃないですか。心配しすぎですよ」
「これくらいは普通のことだ」
ジッとアレク様と目を合わせていると、何を思ったのかわからないが、私の額からパッと大きな手が離れていった。それと同時に、顔を赤くしたアレク様が急いで目を逸らす。
「待ってください。今、どうして急に目を逸らしたんですか」
「いや、嘘ではないとわかったからな」
「怪しいです。実は、アレク様が風邪を引いていた可能性がありますね」
「そんなわけがないだろ」
「では、私の目を見ていってください」
「確認など不要だ。俺はこういう遠征の経験が何度もあり、体調管理に慣れている。間違いなく万全の状態で……」
「はい。おでこ失礼しますねー」
普段から治療している薬師の私が良い負けるはずもなく、トンッと額に手を置き、強引に診察を開始する。
うーん、目を逸らし続けるのはどう見ても怪しい。でも、熱はないし魔力にも異常がない。急激に心拍数が高まっているだけで、病理的な問題もなさそうだ。
アレク様も風邪ではないと診断した時、皿いっぱいにサンドウィッチを載せてきてくれたセレス様が戻ってくる。
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どうやらまた誤解を与えてしまったみたいだ。そんな関係になることなんて、絶対にない……はず。
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