どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?

小松広和

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第四章 取り敢えず四天王を倒せ!

第六十九話 普通と逆だよね

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 その後もモンスターたちは戦いの途中で逃げていくという奇妙な行動を繰り返していた。
「もう、どうなってるのよ~」
ついにアイラが切れだした。気持ちはよくわかるような。

「きっと何かの作戦だろうが、さっぱりわからんな」
勇者様が腕組みをして言う。
「モンスターを生け捕りにして吐かせればいいんだ」
サラは相変わらず考え方が過激だけどそれもありかも?
「そうしたいが、この辺りのモンスターは強すぎてそう簡単にはいかないだろう」
確かに強い! 考えてみれば四天王が住む森だもんね。強いに決まってるか。

その時、勇者様が何かを発見する。
「あそこの木の陰で1匹のモンスターがこっちの様子を窺っている」
本当だ。ひょろひょろっとしたいかにも弱そうなモンスターがいる。
「あいつはブレインマスターというモンスターで非常に弱い」
「どうしてそんなモンスターがここにいるのよ?」
「アイラ、声が大きい。あいつに聞かれたら逃げられてしまう」
逃げられてしまう?

「あいつは非常に弱いが思いっきり頭がいいんだ。おそらく様々な作戦や戦術はあいつが考えているのだろう」
なるほど。
「そこであいつを捕まえてこの奇妙な行動の理由を聞きだそうと思う」
「おー!」
え? 人間の方からモンスターを襲うの?

 勇者一行が現れた。ブレインマスターは慌てて逃げだしたが、勇者一行に回り込まれてしまった。ブレインマスターは逃げられない。これっていつもと逆だよ~!
「助けてくれ」
ブレインマスターは頼み込んだ。
「お前を倒したら経験値がたくさん貰えそうだな。何しろ貴重なモンスターだからな」
「そんなことはないぞ。私を倒しても大した経験値は貰えない。貰える経験値の多さは倒したモンスターの強さに比例するからな」
「そんなものは倒してみないとわからんからな。覚悟しろ!」
「ひえええ~」

 ブレインマスターは震えあがっている。
「わかった。何でも言うことを聞く。だから助けてくれ」
「そうか。だったらお前たちの作戦について教えてもらおう」
そうか。勇者様、頭いい!

「それだけはできない」
「それは残念だ。みんなこいつを倒したい者はいるか? 経験値が多く入るぞ」
「じゃあ、私がやる!」
予想通りサラが手を挙げた。
「ええ~サラずるいよ~私の方が弱いんだから私がやるわ。たぶん魔法一つで死にそうだし」
「それなら私に倒させてください。使ってみたい魔法があるんです。真綿で首を締めるようにじわじわと殺していく魔法です」
「い!?」

 三人が構えると、
「わかったわかった。すべて言うから助けてくれ!」
「だったら、なぜこの辺りのモンスターはある程度戦ったら逃げていくんだ?」
「きっと体力に自信がないからじゃないかな?」
「サラ」
「任せて。私の疾風突きでこいつの目玉をくり抜いてもいいかな?」
「思い通りにやって構わんぞ」
サラがいつもの棒を構えると、勇者様がにっこりと笑った。

「ちょっと待ってくれ。今のは冗談だ。コーチャ様にお前たちの戦力を分析するよう命令されているからだ」
「なるほど。データ重視のコーチャらしいな。それでどんな分析結果が出ているんだ?」
さすが勇者様、話の持ってき方が上手だよね。

「それは絶対に言えない」
「アイラ」
「私この前灼熱の魔法を覚えたのよね。一瞬で灰になるやつ。まだモンスター相手に使ったことないから丁度よかったわ。あなたが第一号よ。光栄に思いなさい」
「わかった。お前たちの実力は中の上。おそらく氷属性の魔法に弱いだろうと分析している。一人を除いては対応可能だそうだ」
「一人を除いて? それは誰だ?」
「そこまではわからん」
 きっと勇者様のことね。分析できないほど強いって警戒されてるんだ。これって凄いかも?

「ここまで言っておいて白を切るのか?」
「本当だ」
「クレア」
「はい、私に任せてください。私の魔法でも特に惨い魔法をお見舞いします。徐々に心臓の動きを遅くしていって止めてしまう魔法です。脈拍が40を切ったあたりから意識が朦朧として死の恐怖を時間かけて味わうことができる究極の魔法です」
「やめてくれー! 本当に知らないんだ」

 勇者様は暫く考えた後、ゆっくりと口を開いた。
「わかった。信じよう。コーチャに伝えろ。お前たちが分析しているより勇者一行は強いとな」
勇者様が言い終わるとブレインマスターは大慌てで逃げて行った。

 それにしてもみんながこんな怖いとは思わなかったよ。
「惜しいことをしました。究極の魔法を試せるチャンスでしたのに」
これからは逆らわないようにしないといけないかも? こんな死に方だけはしたくないし。
「ああ、試してみたいですね」
クレアが私を見つめている。
「私を見て変な呟きをするのはやめてください!」
「冗談ですよ」
本当に冗談だよね? 一抹の不安とほんの少しの人間不信を覚える私なのだった。
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