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第三章 魔王退治

第四十話 楽してレベルを上げる方法

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 今回のモンスターは少し強いかも?
「アイラは後方に移動、クレア回復魔法を掛けてやってくれ」
「任せてください」
私は早々に後方部隊。いつになったら強くなるんだろう。

「危ない!」
サラが大きな声を上げる。
「私は大丈夫だ。それよりサラ、このモンスターは私を狙っている。隙を見つけて攻撃をするんだ」
「わかった」

 何とか勝利。それにしても勇者様って頼りがいがあるというか、かっこいいよね。本当に男の中の男って感じ。女だけど。
「麗華ちゃん、大丈夫だったか? 怪我はしてないか?」
「ありがとうございます。私は大丈夫です。それよりごめんなさい。いつも皆さんの足を引っ張っちゃって」
「気にすることはないさ。そのうちレベルが上がって強くなるから焦らなくても大丈夫だ」
ううー、なんて優しいの?

 今日はいい日だよ。このパーティーに入れて超幸せ。この幸せがいつまでも続きますように。
「麗華ちゃん」
「あ、はい」
「まだまだ遠いけどこの先に尖った大きな山があるだろう」
「あの草も生えていない山ですか?」
「そうだ」
「あの山がどうかしたんですか?」
「あの山の頂上に魔王城がある」
「ああ、あそこに魔王城があるんですか。・・・・えーー!!!」
一瞬で幸福感が吹き飛んでしまった。私絶対に死ぬよね。

「わ、私レベル上げなきゃ!」
「大丈夫だよ。ここからでも見えるけど、まだまだあそこには着かないから」
勇者様は豪快に笑った。
「でも私戦闘になるとほぼ確実に死にかけてます」
「この辺りのモンスターは強いからだよ」
「魔王はもっと強いんですよね?」
「まあ、それはそうだが」

 何とか早くレベルを上げる方法を見つけなければだめだわ。
「どうしたらレベルが早く上がりますか?」
「そうだな」
やっぱり都合良すぎだよね。そんな簡単にレベルが上がるわけないか。
「実は戦闘が終了した時、敵に近い順に経験値が多く上がる仕組みになっているんだ。だから戦闘が終わりそうになったら前に出てくるといいかもしれないな」
「なるほど、わかりました」
いい方法があるもんだわ。これでバッチリね。

「よし! 次の攻撃でこのモンスターは倒れるぞ。麗華ちゃん今だ!」
「はい!」
ゴールデンゴーストは最後の力を振り絞った。麗華に1035のダメージ。麗華は倒れた。

「麗華ちゃん大丈夫か?」
「私死んでたの?」
「まあ、何というか、そうだね」
やっぱり。こうなるような気がしてた。

「麗華ちゃん。誠に言いにくいんだが」
「え?」
「この方法は無理だね」
ガーン! 私ってそんなに弱かったの?

「仕方ない。まっすぐに魔王城に行かず大回りをしてレベルを上げることにしよう」
え? これって物凄いラッキーなのでは? そもそも私は魔王と戦いたいわけじゃなんだよね。ポチが勝手に魔王と戦うことにしてるだけだし。
「はい、勇者様ありがとうございます。できるだけ大回りをしてレベルを上げましょう」

「ギャンブルの実を食べるといいよ」
ポチが何か言い出した。別に大回りでいいのに。
「ギャンブルの実?」
みんなが一斉に聞く。みんなも知らないアイテムなんだ。

「ギャンブルの実は食べると経験値が何倍かになるという不思議な実だ。大当たりなら百倍以上になることもある」
「でもギャンブルの実ってどこにあるんだ?」
「さっき見つけたんだ」
「おい、そういうことなら早く言えよ」
サラは興味を持ったようだ。

「ほら、この木だよ」
「この木って実が一つしか付いてないぞ」
「ギャンブルの実は数年に一つしか実を付けないんだ。これを見つけられるなんて本当に運がいいよ」
「やっぱり大回りをしてレベル上げをする方が確実だよね。何だったら舞魔王と戦う選択肢も止めにして・・・・」

「この実は麗華ちゃんが食べるべきよね」
「わかってるさ。まさか実が一つとは思ってなかったから」
「さあ、麗華ちゃん。食べなよ」
みんな私の話を聞いてない・・・・よね。

「麗華。さあ、食べるんだ。一番多く出る確率は2倍だ。運が良ければ100倍以上になる」
これは食べる運命的な奴だよね。アレルギー反応が出たりはしないのかな? まあ私はアレルギーなんて全くないんだけど。これって異世界の食べ物だもんね。もしかすると・・・・。
「さあ、早く」
みんなの注目の眼差しが痛い。ええい、どうとでもなれだわ! パク。

 突然、私の体が光り出した。
「え? 何これ?」
「効果が出始めたんだ。早速レベルを確認しよう」
ポチが例の本を広げると全員が覗き込んだ。

「ええーーー!!! レベルが十分の一になってる!」
「これはハズレを引いてしまったようだね」
「大ハズレ?」
「一万分の一の確率でレベルが下がることがあるんだ。凄い引きだね」
よく考えたら私って運が悪い女なんだよね。ギャンブルの実だから当たりばかりじゃないのは当然か・・・・。私は自分の持って生まれた運のなさに改めて落ち込むのであった。
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