どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?

小松広和

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第三章 魔王退治

第五十二話 お笑いの頂点を目指せ

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 私達は長老に教えて貰ったエムイチに参加するため会場へと向かった。
「あ、これですよ。『エムイチグランプリ』の看板があります」
ん? どこにも会場になりそうな建物はないけど。私達は看板に書かれた矢印を頼りに進んだ。しかし、会場らしき物は見当たらない。あるのは何もない空き地に高さ10センチ程度の台が置かれているだけだ。

「何もないですね」
私はクレアに話しかけた。
「この台がステージでしょうか?」
「まさか」
「でも、係の人がこの台の横に『エムイチグランプリ』の看板を設置しましたよ」
「で、でも。エムイチグランプリって異世界最大のお笑いイベントなんですよね?」
「はい、そう聞きましたけど」
「最大のイベントをこのちゃちな台の上ではやらないですよね?」
「私に聞かれましても」

 練習の時でも、もう少しましな台を使うよね?
「この世界は娯楽が少ないからね。いつもこんな感じさ」
ポチが当然のようにとんでもないことを言う。どうやら本当にこの台で異世界最大のイベントをするらしい。

「出場希望者は受付を行ってください」
「行こうぜ」
結局、私の相方はサラに決まった。できれば一番避けたかった選択肢なんだけど。
「では、出場者の代表の方は順番を決めるクジを引いてください」

「麗華、引いて来いよ」
「私が引いていいのですか?」
「なぜだ?」
「私の運のなさは国宝級ですよ」
「大丈夫だって。一番最初と最後は引くなよ。緊張が半端ないから」
「はい、頑張ります」

 結局、一番最初でした。
「50組も出るのに何で最初を引くんだよ。確率50分の1だぞ!」
「それが私なのです」
「観戦者も結構増えてきたな」
「はい、緊張します。何で一番なのでしょう?」
「お前のせいだろうが!」

「それではエントリーナンバー1番。麗華ちゃんファイトさん、どうぞ」
「おい、どうして私の名前が入ってないんだよ?」
「緊張して忘れました」

「はいどうもー。これから漫才をやっていくわけですが、麗華さんどうですかこの雰囲気」
『そんな、練習してないこと言わないでください』
『アドリブだよ。漫才なんてその時の雰囲気で変わっていくもんだろ?』
『知りませんでした』

「みなさんレベルの高い漫才をされるので驚きました」
「私達がトップバッターだよ!」
ブン。ヒョイ。
『何でツッコミを避けるんだよ』
『だって』
『もう避けるなよ。漫才にならねえから』
『うん』

「それにしても最近は本当に暑い日が続いてますなあ」
「そうですね」
「何でこんなに暑いんでしょうか?」
「そうですね」
「だから何で暑いのかって聞いてるねん。何か答えろや!」
「地球の自転軸が傾いているため、夏は太陽の光が地面に当たる角度が90度に近付くなり」
「誰がそんな専門的なことを言えって言った!」
ブン。ヒョイ。
「だから避けるなって言うてるやろ!」
「はははは」
ウケてる。

「あの二人殆どアドリブだな」
「ある意味天才なのかも?」

「そんじゃ君はどんな暑さ対策をしてますの?」
「そうですね」
「だから暑さ対策を答えろや!」
「通気性のいい薄手の服を着たり、外に出る時は帽子や日傘を差すようにしてます」
「まともか! 普通に答えてどうするねん! 笑いに持ってかんかい!」
ブン。ヒョイ。
「はははははは」

『今度ツッコミを避けたらわかってるだろうな』
『脅さないでください』

「やっぱり夏は熱中症が怖いね。どんな対策を取ってますの?」
「寝る時もクーラーを消さないようにしています」
「ここは異世界やで。そんな物あるかーい!」
ブ・・・・
「わー! 剣でツッコミを受け止めようとすな! 危ないやろ!」
「あはははははははは」
「失礼しましたー」

 舞台を下りるとサラが言いよってきた。まあ当然か。
「麗華! 何で台本通りやらねえんだ!?」
「サラさんのツッコミが強そうだったので」
「まあまあウケてたからいいじゃないですか」
クレアのフォローが嬉しい!

「あそこに猫が寝転んでるぞ」
「だじゃれかいな」

「この家の壁は長いねえ」
「へー」

 あれ? もしかしてみんなおもしろくないのでは?
「それでは優勝者の発表です。優勝はエントリーナンバ1番。麗華ちゃんファイトさんです。おめでとうございます」
「やったー! 私達お笑いの頂点に立ったんですね」
「良かったね。麗華ちゃん」
「ありがとうございます。なんてお礼を言っていいやら」

「それでは表彰式を行います」
司会者が賞状とトロフィーを差し出した。
「あのう、剣を置いて受け取って貰えますか?」
「・・・・・・・・・・」
それでも剣は手から離れませんでした。
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