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第四章 取り敢えず四天王を倒せ!

第六十五話 アイラ対ビューティー

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 アイラと一人の少女が睨み合っている。
「あんた、名前はなんて言うの?」
「アイラよ。あなたは?」
「これから死ぬ人に名乗っても仕方ないけど、冥土の土産に教えてあげるわ。私の名前はビューティー。美しいって意味なの。わかるかしら?」
「名前負けだってことはわかるわ」
「何ですって!」

 二人とも凄い気迫。アイラさん大丈夫かな?
「こいつと戦えばいいのね?」
ビューティーが勇者様に聞いた。
「ダメだ」
「どういこと?」
「戦えばお互いに傷つく。場合によっては命を落とす可能性もある。それではこのパーティーも痛手を受けるだろう?」
「それはそうだけど。恐らく一瞬で片が付くわ。私は無傷だろうからパーティーに取って痛手にはならないはずよ」
「あら、それはどうかしら? あなたなんか私の爆裂魔法で木っ端微塵よ」
アイラさん爆裂魔法なんて使えないよね?

「このパーティーに相応しい人物とはどんな理由があろうと人は殺さない人物だ。嫌なら諦めてくれ」
「わかったわよ」
ビューティーは小さな声で言った。

「まず最初は火属性の魔法で前にある的を早く壊した方が勝ちだ」
「ちょっと待ってよ! 私の得意魔法は水属性よ。思いっきり不利じゃない!」
「これから戦うコーチャは氷属性のモンスターだ。火の魔法は必要だ」
なるほどアイラさんて火の魔法が得意だもんね。

 当然のようにアイラが勝った。
「これで決まりね」
アイラが喜ぶ。
「いや、まだだ。次は美しさを競って貰う」
あれ? アイラさんが勝つように仕組んだんじゃないの?

「は、は、は、は。これは私の勝確ね」
アイラさんはとてもキュートだけど美しいって感じじゃないもんね。
「でもどうやって決めるのですか?」
クレアが聞いた。
「町の広場に行ってそこにいる男性にどちらが美人かを人気投票して貰おう。二人とも思いっきりメイクしてきていいぞ」

「ふふふメイクだったら誰にも負けないわよ」
アイラが不敵な笑みを浮かべた。
「その自信はどこから来るわけ? いくらメイクしたって結果は変わらないわ」
「それはどうかしら? 私はメイク系の魔法が使えるの。この意味がわかるかしら?」
そんな魔法があるんだ。
「魔法を使うなんて卑怯だわ。正々堂々と戦いなさいよ」
「メイクは女の命よ。勝ち目がないからっていちゃもんを付けるのは止めてくれるかしら?」

「準備ができたら町の広場へ移動するぞ」
「いつでもいいわよ」
アイラは余裕の表情だ。

 そして30分後。
「町の男性50人に聞いた結果を発表する。50対0でビューティーの勝ちだ」
アイラさん悲しすぎます。魔法まで使って完敗だなんて。確かにビューティーさんは物凄い美人だけど。

「これで1勝1敗だな。次が最後の対戦だ。これに勝った方がこのパーティーに残る。それでいいな?」
「いいわよ」
ビューティーが余裕の笑みで答えた。
「わ、私だっていいわよ」
アイラは美人対決に完敗して相当なダメージを受けたようだ。
「では最後の対戦方法を発表する」
二人が注目する中、最後の対戦方法が言い渡された。アイラさん大丈夫かな?
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