タイムトラベル同好会

小松広和

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第3章 未来への旅立ち

第25話 未来人の生活

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 暫く走るとまた萌が言い出した。
「萌もう走れないよ~」
「いい加減にしなさい! もう騙されないわよ!」
「まあまあ、もう追いかけて来ないみたいだし少し休もう」
それにしても土のない空間だ。地面の全てがコンクリートのような物質でできている。更に、なぜか人が殆どいない。これはどういうことだろうか? 時折先ほど見た球状の乗り物は見るが、歩いている人は皆無だ。

 俺は何気に上を見上げた。きっとあの団子と団子をつなぐチューブ。そうウォータスライダーのようなチューブを行き来しているのだろう。
「ねえ、おなか空いたわね」
萌がおなかを押さえて言う。
「そう言えば何も食べてなかったわね」
これには胡桃も賛成のようだ。逃げるのに一生懸命だったので忘れていたが、そう言われると俺も何か食べたい気がする。だが、この殺風景な場所にはとても食べ物があるとは思えない。

「とにかく建物へ入ってみようよ。ここには何もないわ」
萌が提案すると、
「そうね。このままではどうすることもできないわよね」
胡桃は建物に近くに歩いて行った。
「あれ? この建物入り口がないわ」
確かに入り口らしき物は見あたらない。さすがは未来の建物だ。俺達のような未開人にはそう簡単に理解させてもらえない仕組みなのだろう。

「ねえ、どうせなら一番大きな建物に行こうよ」
「どうしてだ?」
「だっていろんな物がありそうじゃない。きっと食べる物もあるよ」
萌は大きな建物に走っていった。
「おい、待てよ!」
「ちょっと、もう走れないんじゃなかったの?」
俺と胡桃も萌を追いかけて、この辺りで一番大きな建物へと近付いた。

「やっぱり入り口はないようね」
胡桃が冷静な口調で言う。
「開けゴマ! なんちゃって」
萌は舌をちょこんと出して笑う。はっきり言って可愛い。この可愛さの百分の一でも胡桃に分けてやって欲しいものだ。
「何か言った?」
「な、な、何も言ってないぞ」
胡桃、なんて恐ろしい奴。なぜ俺の思ったことが分かるんだ? いくら幼馴染みでも凄すぎないか?
「じゃあ、何か思った?」
「な、何も思ってない」
「焦ってるってことは図星ね。どうせ私より萌の方が可愛いとか思ってたんでしょ?」
見事に正解だ。だが、そんなこと死んでも言えない。

「ねえ、これもさっきの滝と同じじゃない?」
「さっきの滝?」
「タイムマシンを降りたところから外へ出た滝の映像よ」
萌の言いたいことが何となくわかったぞ。壁に見えるところに隠された入り口があるってことか。

 俺は壁に触れてみた。何の変哲もない普通の壁だ。俺は壁を叩きながら横へと移動した。どこかに見えない入り口があるはずだ。
 数歩歩くと、俺は突然壁に吸い込まれていった。どうやら入り口を見つけたようだ。建物の中は外とは違い華やかな雰囲気だった。壁は様々な色に彩られとても明るい。

「凄く綺麗な場所ね。ここはデパートかしら?」
俺の後を追って入ってきた胡桃が言った。
「でも、何も売ってないみたいよ」
萌も入ってきて早速会話に参加した。

 確かに萌の言う通りだった。いろいろな物が展示されているが、売っている雰囲気ではない。人々は多くいるものの商品を手にする人はなくレジもない。ここは何のスペースか聞きたくても言葉は通じないのでどうすることもできなかった。

 俺達はキョロキョロしながら進むと、多くのエレベーターが並んでいる所に出た。20基ものエレベーターが並んでいる。さすがにこれは多くないか? そしてエレベーター全ての色が違っているのに気付く。これはどういうことだ? 単なるデザインなのだろうか?

「これ見て。説明が貼ってあるわ」
萌が見つけた説明は壁に貼られたプラスチック製のものだった。綺麗に色で分けられ何やら書いてある。残念なことに全くわからん。未来語なのだから仕方あるまい。

「どれに乗ってもいいんじゃない?」
「確かにそうだけど、この広い建物を歩き回るのも大変じゃない? できたら食べ物がある階へ直行したいわ」
胡桃はよほどお腹が空いてきたのだろう。地道に探すという発想はとうに捨てたようだ。

「ああ、こっちに絵で描かれた説明があるわよ」
その言葉を聞くと胡桃は光速で移動した。もちろん、1秒で30万メートルの速度で移動するわけではないが、そう思えるほどの瞬間移動だった。人間追い込まれると何でもできるものだな?

「これによるとピンクのエレベーターに乗れば食べ物がある階に行けそうね」
胡桃の目は真剣だ。これがあれだけのパワーを維持できる秘訣なのかも知れない。
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