控えなさい! 私はマリーよ!

小松広和

文字の大きさ
2 / 109

第二話 これよこれ!

しおりを挟む
 小さな村で私たちが目にした光景は酷いものだった。村人全員が痩せこけて全く覇気がない。これは怪しいわ。
「この村は全て自給自足になっております。旅の方に食べ物をお出しする余裕はありません」
丁度お昼時だったから『この辺に食事ができるところはない?』って聞いたら、この返答が来たわ。早速聞き込み開始よ。

「村の皆さん、お困りのようですがどうかされたのですか?」
「ちょっとー! 何で小百合が聞くわけ? ここは主人公である私が聞くとこでしょ!」
私は小百合と村人の間に割り込んだ。
「ねえ、そうでしょう?」
私は笑顔で可愛く首を傾げて言った。私の可愛さ爆発のこの表情にハートを射貫かれない男なんていないわ。
「男の私としては美人な方に言っていただいた方が嬉しいですけど」
村人は小百合を指さしている。
「どういう意味よ! まるで私より小百合の方が美人みたいじゃない! 芽依、何を無言で頷いてるのよ!」
 私は四郎の方を見る。ここで頷いていたらこのパーティーは三人になって棺桶を一つ引きずって進むことになるわ。四郎はなぜか下を向いて顔を手で覆っている。体が小刻みに震えているのはなぜ? いったい何してるのよ。 

「それで何を困ってるの?」
「はい、ここ数年の日照りで作物が採れません。今日食べるものもないんです」
「年貢の取り立てが厳しすぎるのね」
「話をよく聞いてマリー」
なぜか小百合が私の肩をポンポンと叩く。何なのよ。

「悪代官による年貢の取り立てに困っているのね。私に任せてあなたたちを助けてあげるわ」
「悪代官て何ですか?」
「この地方を治める領主のことだよ」
芽依がそっと村人に教えている。

 これよこれ! 私の求めていたシチュエーションはこれよ。
「さあ、悪代官を懲らしめに行くわよ」
私たちはこの地を治める領主の館に乗り込んでいった。

「お前達は何者だ!」
兵士達が私たちを取り囲んでいる。ここは一暴れしてから正体を明かすべきよね。日本のテレビ番組で見たことがあるわ。
「四郎、小百合、芽依。やっておしまいなさい」

 しかし、黒魔術が使えないお供三人はいとも簡単に捕らえられてしまった。もう、使えないわねぇ!
「無礼者! 私を誰だと思ってるの。次期国王ピピプル・クレタ・ビチャ・○ンチよ」
兵士達の動きが止まる。領主が私の顔を凝視する。そして慌てて土下座をする。それを見た兵士達も一斉に土下座をする。

 何て気持ちがいいの。私はこのためだけに世直しの旅をしているようなものよ。
「大変失礼いたしました。まさかこのような地にピピプル・クレタ・ビチャ・シッコ様がお見えになっているとはつゆ知らず・・・・」
「それはお姉ちゃんよ!」
私は吹き出している小百合を見逃さなかった。こいつ絶対首にしてやるんだから。

「ところで随分暴利な年貢を農民から取っているようね」
「年貢?」
「税のことだよ」
芽依がそっと領主に教えている。

「いえ、私どもは取り立てた税の五パーセントしかいただいておりません。残りは全て城に納めております」
「・・・・・・・・」
「おい、マリー。まさか村人が苦しんでいる原因て・・・・」
こうして今日も世直しをしてゆく私たちなのでした。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...