控えなさい! 私はマリーよ!

小松広和

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第十一話 恋人とフィアンセと妹

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 どこまでも続く白い砂浜。エメラルドグリーンの海。そしてこの海が一望できる結婚式場。そうよ、ここは全女性が憧れる島マリッジアイランド。ここで結婚式を挙げると一生幸せになれると言われてるわ。

「素敵よねえ。噂以上の眺めだわ」
私は四郎の腕にしがみついて言った。
「ちょっと何してるのかしら?」
小百合が私を無理矢理引っ張る。
「何するのよ」
「言っときますけど四郎君は私の恋人なの。馴れ馴れしくしがみつかないでくれる?」
「四郎は私のフィアンセよ。あなたこそいつまでも過去の恋を引きずってるんじゃないわよ」
私と小百合は睨み合った。

「二人ともお兄ちゃんは芽依と結婚する運命なんだよ。変な希望を持つのは止めた方がいいよ。将来精神的に傷付くのはあなたたちなんだよ」
芽依もにらみ合いに加わった。

「ねえ、お兄ちゃん。恋人とフィアンセと妹。誰が一番身近な存在なの」
「え?」
「そんなのフィアンセに決まってるじゃない」
「恋人もフィアンセも所詮は他人だよ。妹は身内だから、妹が一番身近な存在だよね」
「その通りよ芽依ちゃん。妹は身内よね。だから結婚できないの」
小百合が勝ち誇った顔で言う。

「あなたたち勘違いしてるんじゃなくて? この世界は私の思うままに動くの。なぜなら私は次期国王だからよ」
「次期国王がどうしたのよ」
小百合の言葉など無視して私は続けた。
「命令よ。四郎は私と結婚しなさい」
「いくら国王でも人の心まで自由にすることはできないんだよ。ねえお兄ちゃん」

 あれ? 四郎がいない! 浜辺の向こうをダッシュで走る四郎の姿を確認した。
「待ちなさい! あの男を捕らえなさい!」
私が無線のような物に叫ぶとSP的な人々がどこからともなく現れ、四郎を捕獲して頭の上に担いで持ってきた。

「どうして逃げるのよ!」
「こんなの俺が不幸になる未来しか見えないだろうが」
「どういうことよ」
三人のドスのきいた声が四郎を襲う。

「四郎。よく考えなさい。私と結婚すれば王族になれるのよ。一生贅沢三昧な暮らしができるわ」
「四郎君。三年間も付き合った彼女をお金に目が眩んで捨てるようなことはしないわよね?」
「お兄ちゃん。芽依はお兄ちゃんを信じてるよ。あの日の夜の出来事は遊びじゃなかったって確信してるから」
「芽依! 読者が誤解するようなことを言うんじゃない!」

「四郎。そろそろはっきりとしなさい。でないとこの二人に余計な希望を持たせるだけよ」
「権力で全ての物が手に入ると思ってるの? 四郎君、はっきり言ってあげて。でないとわがままプリンセスを勘違いさせるだけよ」
「お兄ちゃんは私を今までもてあそんでいたの?」
「だ・か・ら芽依は誤解を受けるようなことは言うなって言ってるだろう!」

「どうするの四郎? まあ、私を選ばなかった場合、一生牢屋で暮らすことになるでしょうけど」
「権力に屈するの四郎君!」
「お兄ちゃん! 今こそ真の自分を覚醒させるときだよ! 芽依を選ぶときだよ!」
追い詰められた四郎は深々と土下座をした。

 こうしてまた世直しと全く関係のない一日が過ぎていくのであった。
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