86 / 109
第八十六話 一致団結
しおりを挟む
「四郎、今日からあなたは外出禁止よ! いいわね!」
「外出禁止って何だ?」
「城の外に行くなってことよ!」
「朝の散歩ができなくなるのか?」
「そういうことよ」
「なぜだ?」
「あんたが城の外で何してるかわからないからに決まってるでしょ!」
四郎は悪びれた様子もなく続けた。
「別に何もしてないよ。ただカノンちゃんと会って話をしてるだけだよ」
「どうやら死刑になりたいようね」
その時、突然小百合が私の前に割り込んできた。
「カノンとどんな話をしているの?」
「どんなことが好きだとか。将来どんな家に住みたいとか。子どもは何人欲しいとか」
「死刑決定ね!」
こうして四郎は外出禁止になった。当然よね。
四郎が部屋をうろうろと歩き回っている。落ち着きがないわね。
「ああ、カノンちゃんと会いたい・・・・」
「何か言った?」
「な、何も言ってないよ」
その時、外からとんでもない声がした。
「四郎君、四郎君いる?」
「あ! カノンちゃんだ!」
四郎はバルコニーへと飛んでいった。
「ああ、四郎君。会いたかったよ」
「ああ、カノンちゃん。僕もだよ」
「ああ、四郎君、四郎君、どうしてあなたは四郎君なの? マリーさんと縁を切り、その名を捨てて。それが無理ならせめて私を愛すると誓って」
「何なのよこれ!!!」
四郎を牢屋に入れてやったわ。これくらいしないと何するかわからないもの。
「さすがにやり過ぎじゃない?」
「そうだよ。牢屋は酷すぎだよ」
「うるさいわね。四郎がこれ以上カノンとひっついてもいいって言うの?」
「それは困るけど。牢屋はないわよ」
「だったらどうすればいいのよ?」
四人は黙り込んだ。
「四郎様の様子をご報告します」
家来の一人が私に向かって言った。
「どう? 元気にしてる?」
「下を向いたまま全く動きません。食べ物も一切お召し上がりになりません」
「・・・・・・・・」
「禁止すればするほど燃えるんじゃないの?」
菫にしては鋭いことを言うわね。
「勉強だってやれって言われたらやりたくなくなるでしょ?」
確かにそうだわ。
「だったらどうしろって言うのよ!」
「いっそのこと会わせてみてはどうかしら? カノンの悪い面を見せて幻滅させるのよ」
「それは危険だわ」
小百合が口を出す。
「二人は恋に夢中なのよ。益々仲良くなるに決まってるわ」
「でも、このままじゃ埒が明かないじゃない。とりあえず家来にカノンの欠点を調べさせて。四郎君を外出させるのはその後よ」
これは驚きだわ。まさか菫が『埒が明かない』なんて言葉を使うなんて思わなかったわ。
そして数日後、カノンを調べた家来達から報告が届いた。
「これはどういうことよ!」
「成績優秀。先生やクラスメイトからの信頼が厚く生徒会長を四期連続でしてるわね。まるで私のようだわ」
「小百合の場合は性格に問題ありなのよ」
「どういう意味?」
「肝心の色恋沙汰も全くないわね。三角関係の路線で行けると思ったのに」
菫はため息をついた。
「なかったらねつ造すればいいんだよ」
「芽依、どういうこと?」
「付き合ってるという高校生を出現させれば、さすがのお兄ちゃんもショックでカノンちゃんのことを諦めるよ」
「そんなうまくいかないわよ」
「いや、やる価値はあるわね」
私は自信たっぷりに言った。
「四郎はなぜかやたらとモテるけど振られた経験はないはずよ。初めての経験でショックを受けさせるのよ」
「そうね。だったら相手役のイケメンを捜すことからね。家来にめぼしい人はいないの?」
「この城には美女は山のようにいるけどイケメンは皆無よ」
「さすがハーレム系の小説ね。まずはイケメン捜しからね」
こうして私達はこの小説始まって以来初めて一致団結するのであった。
「外出禁止って何だ?」
「城の外に行くなってことよ!」
「朝の散歩ができなくなるのか?」
「そういうことよ」
「なぜだ?」
「あんたが城の外で何してるかわからないからに決まってるでしょ!」
四郎は悪びれた様子もなく続けた。
「別に何もしてないよ。ただカノンちゃんと会って話をしてるだけだよ」
「どうやら死刑になりたいようね」
その時、突然小百合が私の前に割り込んできた。
「カノンとどんな話をしているの?」
「どんなことが好きだとか。将来どんな家に住みたいとか。子どもは何人欲しいとか」
「死刑決定ね!」
こうして四郎は外出禁止になった。当然よね。
四郎が部屋をうろうろと歩き回っている。落ち着きがないわね。
「ああ、カノンちゃんと会いたい・・・・」
「何か言った?」
「な、何も言ってないよ」
その時、外からとんでもない声がした。
「四郎君、四郎君いる?」
「あ! カノンちゃんだ!」
四郎はバルコニーへと飛んでいった。
「ああ、四郎君。会いたかったよ」
「ああ、カノンちゃん。僕もだよ」
「ああ、四郎君、四郎君、どうしてあなたは四郎君なの? マリーさんと縁を切り、その名を捨てて。それが無理ならせめて私を愛すると誓って」
「何なのよこれ!!!」
四郎を牢屋に入れてやったわ。これくらいしないと何するかわからないもの。
「さすがにやり過ぎじゃない?」
「そうだよ。牢屋は酷すぎだよ」
「うるさいわね。四郎がこれ以上カノンとひっついてもいいって言うの?」
「それは困るけど。牢屋はないわよ」
「だったらどうすればいいのよ?」
四人は黙り込んだ。
「四郎様の様子をご報告します」
家来の一人が私に向かって言った。
「どう? 元気にしてる?」
「下を向いたまま全く動きません。食べ物も一切お召し上がりになりません」
「・・・・・・・・」
「禁止すればするほど燃えるんじゃないの?」
菫にしては鋭いことを言うわね。
「勉強だってやれって言われたらやりたくなくなるでしょ?」
確かにそうだわ。
「だったらどうしろって言うのよ!」
「いっそのこと会わせてみてはどうかしら? カノンの悪い面を見せて幻滅させるのよ」
「それは危険だわ」
小百合が口を出す。
「二人は恋に夢中なのよ。益々仲良くなるに決まってるわ」
「でも、このままじゃ埒が明かないじゃない。とりあえず家来にカノンの欠点を調べさせて。四郎君を外出させるのはその後よ」
これは驚きだわ。まさか菫が『埒が明かない』なんて言葉を使うなんて思わなかったわ。
そして数日後、カノンを調べた家来達から報告が届いた。
「これはどういうことよ!」
「成績優秀。先生やクラスメイトからの信頼が厚く生徒会長を四期連続でしてるわね。まるで私のようだわ」
「小百合の場合は性格に問題ありなのよ」
「どういう意味?」
「肝心の色恋沙汰も全くないわね。三角関係の路線で行けると思ったのに」
菫はため息をついた。
「なかったらねつ造すればいいんだよ」
「芽依、どういうこと?」
「付き合ってるという高校生を出現させれば、さすがのお兄ちゃんもショックでカノンちゃんのことを諦めるよ」
「そんなうまくいかないわよ」
「いや、やる価値はあるわね」
私は自信たっぷりに言った。
「四郎はなぜかやたらとモテるけど振られた経験はないはずよ。初めての経験でショックを受けさせるのよ」
「そうね。だったら相手役のイケメンを捜すことからね。家来にめぼしい人はいないの?」
「この城には美女は山のようにいるけどイケメンは皆無よ」
「さすがハーレム系の小説ね。まずはイケメン捜しからね」
こうして私達はこの小説始まって以来初めて一致団結するのであった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる