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後悔
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みんなで盛り上げた文化祭。高校3年間の集大成だった。
文化祭の打ち上げと題して企画されたカラオケ。別に興味はなかった。でも、参加メンバーに好きな子がいた。
名前は『エリ』
どこが好きかなんて自分でも正直わからない。強いて言うなら雰囲気。好きに理由はなかった。
薄暗い空間。もちろんお酒は飲んでいない。それでも高揚するのはなぜだろう。
面白半分で始めたゲーム。負けた僕への罰ゲーム。
それは『いとしのエリー』を歌うこと。
みんな僕がエリを好きなことを知っていた。だからの罰ゲーム。
そんな思いと裏腹に僕は歌えなかった。イントロが流れた。だが、僕はマイクを受け取らなかった。
打ち上げも終わり、帰りに僕はエリを家まで送る。この道のりが嬉しいような、悲しいような・・・
「あーあ。聴きたかったな。いとしのエリー」
「君までそんなこと言うの?」
「だって聴きたかったもん」
「じゃあ・・・また今度ね」
「うん。楽しみー」
こんな時間が愛おしかった。
それから1週間、エリは入院をした。先天性の病、その治療に専念するため。先生は文化祭前から知っていた。
本人から言うのを止められたと話していた。
「すぐ戻ってくるから」
そう先生に言われ、みんな安心していたが、僕の心は落ち着かなかった。
そんな不安も取り越し苦労。冬休みの終わりに、エリが戻った。クラスのみんなはもちろん。僕も嬉しかった。
楽しく過ごす毎日・・・そんな日常が幸せだった。
「ねぇ、いつになったらいとしのエリー歌ってくれるの?」
「そっ、そのうちね」
「私いなくなっちゃうよ~」
冗談だと思った。でも、その言葉の意味を知るのにさほど時間はかからなかった。
卒業式前に彼女はまた入院した。この時から僕たちは『みんなで卒業する』が合言葉になっていた。
きっと大丈夫。きっと・・・
でも、その願いも届かなかった。
卒業式の前日、エリは亡くなった。
本人は今日を楽しみにしていたと先生が言った。
僕たちは泣いた。卒業式はいらないと。
エリがいない卒業式なんて・・・
打ち上げのために予約したカラオケ。歌う気なんてなかった。でも、1人でいることが辛かった僕たちはみんなで集まった。
誰も歌わないカラオケ。CMだけが流れ続けている。
1人が声を上げて泣き出した。それに釣られるようにみんな泣き出す。きっとみんな笑顔のエリが浮かんでる。僕たちにとって彼女を失ったことはあまりにも大きすぎた。
僕は曲を入れた。
流れるイントロ。不意に流れる曲に注目が集まる。
僕が歌う曲、それは『いとしのエリー』
『笑ってもっとBaby むじゃきにOn my mind』
君の笑顔が好きだった。もっと笑ってほしかった。
僕は君が好きだった。
こんなことになるのなら歌えばよかった。
なにも変わらなかったかもしれない。
それでも少しは君に安らぎを与えられたかもしれない。
僕は君が好きだった。
『エリー My love so sweet』
文化祭の打ち上げと題して企画されたカラオケ。別に興味はなかった。でも、参加メンバーに好きな子がいた。
名前は『エリ』
どこが好きかなんて自分でも正直わからない。強いて言うなら雰囲気。好きに理由はなかった。
薄暗い空間。もちろんお酒は飲んでいない。それでも高揚するのはなぜだろう。
面白半分で始めたゲーム。負けた僕への罰ゲーム。
それは『いとしのエリー』を歌うこと。
みんな僕がエリを好きなことを知っていた。だからの罰ゲーム。
そんな思いと裏腹に僕は歌えなかった。イントロが流れた。だが、僕はマイクを受け取らなかった。
打ち上げも終わり、帰りに僕はエリを家まで送る。この道のりが嬉しいような、悲しいような・・・
「あーあ。聴きたかったな。いとしのエリー」
「君までそんなこと言うの?」
「だって聴きたかったもん」
「じゃあ・・・また今度ね」
「うん。楽しみー」
こんな時間が愛おしかった。
それから1週間、エリは入院をした。先天性の病、その治療に専念するため。先生は文化祭前から知っていた。
本人から言うのを止められたと話していた。
「すぐ戻ってくるから」
そう先生に言われ、みんな安心していたが、僕の心は落ち着かなかった。
そんな不安も取り越し苦労。冬休みの終わりに、エリが戻った。クラスのみんなはもちろん。僕も嬉しかった。
楽しく過ごす毎日・・・そんな日常が幸せだった。
「ねぇ、いつになったらいとしのエリー歌ってくれるの?」
「そっ、そのうちね」
「私いなくなっちゃうよ~」
冗談だと思った。でも、その言葉の意味を知るのにさほど時間はかからなかった。
卒業式前に彼女はまた入院した。この時から僕たちは『みんなで卒業する』が合言葉になっていた。
きっと大丈夫。きっと・・・
でも、その願いも届かなかった。
卒業式の前日、エリは亡くなった。
本人は今日を楽しみにしていたと先生が言った。
僕たちは泣いた。卒業式はいらないと。
エリがいない卒業式なんて・・・
打ち上げのために予約したカラオケ。歌う気なんてなかった。でも、1人でいることが辛かった僕たちはみんなで集まった。
誰も歌わないカラオケ。CMだけが流れ続けている。
1人が声を上げて泣き出した。それに釣られるようにみんな泣き出す。きっとみんな笑顔のエリが浮かんでる。僕たちにとって彼女を失ったことはあまりにも大きすぎた。
僕は曲を入れた。
流れるイントロ。不意に流れる曲に注目が集まる。
僕が歌う曲、それは『いとしのエリー』
『笑ってもっとBaby むじゃきにOn my mind』
君の笑顔が好きだった。もっと笑ってほしかった。
僕は君が好きだった。
こんなことになるのなら歌えばよかった。
なにも変わらなかったかもしれない。
それでも少しは君に安らぎを与えられたかもしれない。
僕は君が好きだった。
『エリー My love so sweet』
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切なくなる。でも、梅松さんらしい作品だと思います^_^
ありがとうございます😊
これからも頑張ります。