従順な俺を壊して 【颯斗編】

川崎葵

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第6章 暴走

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「荷物に服渡すからだろ。」

「お前、こいつに対する侮辱は俺に対する侮辱だからな、今はノーカンにしといてやる。覚えとけ。」


未だに喧嘩腰にくる智を睨めば、拗ねた子供のようにそっぽを向く。
智は智なりに俺のことを心配しているだけなのは分かっている。
それでもそれを許すわけにはいかない。
亀城が傷つくようなことがあってはいけないのだから。
俺は早く家に帰って温まろうと歩き始めると、亀城は慌てて付いてきて俺の隣に並んだ。


「ここ、火神さんの家なの?」


今更敬語は要らないだろうと判断したのか、甘えたように首を傾げている。
俺もそのほうが有難いので特に指摘をせず答える。


「そ。ここの最上階が俺の家。」

「最上階?お金持ちなの?」

「まぁ、そんな感じかな。家帰ったらお前風呂入るだろ?俺も一緒でいい?さすがに寒い。」

「いいけど、お風呂借りていいの?」

「別に構わねぇよ。それにお前も洗いたいだろ?好きなように使ったらいい。」


実際暫くは俺の家に一緒に住んでもらう予定だった。
そのほうが守りやすいし、あれだけ暴走している3年だ。
逐一情報を仕入れるより、守る対象は傍に置いておいたほうが安心だ。


「颯斗。どこまで曝け出すつもり?何でそんなに許すの。」


智は未だに怒っているようでそう尋ねてくるが、自分も苛立ちでいつもの語尾を忘れていることに気づいているのだろうか。


「俺がこいつのことを好きだから。それ以外に理由がいるか?」


俺の最大限の説明はそれ以外になかった。
今まで、自分のこの感情が何なのかずっと分からずにいた。
亀城が気になって、守りたいと思う理由が分からなかった。
亮に好きなんじゃないかと言われても、好きになったことが無い俺にはそれが事実なのかも分からなかった。

しかし、あいつ等に汚された亀城を見て、あいつ等を殺したくなるほど苛立ったとき、この掻き乱される激情が好意であることに気づいた。
大切なものを壊されたような気がして、自分が敢えて一歩引いてしまったがために引き起こした現実に、激しく後悔して胸が苦しくなった。

俺の心配ばかりする亀城を守りたい、もうこれ以上傷つかないようにしたい、これ以上苦しまないように大切にしたい。
きっとこの気持ちが好きだということなのだろう。

俺の真っ直ぐな告白に智は暫しの沈黙の後、観念したようにため息をつきながら首を振った。
どうやら諦めてくれたらしい。
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