169 / 189
第8章 颯斗の覚悟
169
しおりを挟む
「結崎、お前は初期メンバーの一人で、俺より謙兄との付き合いが長い。けどな、謙兄の夢は俺の方が理解してる。俺の前で軽々しく謙兄の夢を語るな。自分の力で叶える意気込みのねぇお前に、謙兄の夢は叶えられねぇよ。次俺の前で謙兄の夢を口にしてみろ。二度とその口利けねぇようにしてやるよ。」
「悪かったよ、そう怒るなって。本当にお前は怒ると怖ぇな。」
外堀をつつきながら様子を見て踏み込もうとしていた結崎は、ヘラヘラと笑って安全圏まで引き下がる。
会う度につつく場所を変え、どこまで踏み込めるか、どこが脆いのかと探ろうとしていることが良く分かる。
しかし、引き際もわきまえているので潰すまでに至らないのがこいつの賢いところだ。
「やること見つからなけりゃ、俺のこと思い出してくれよな。俺はいつでも歓迎するぞ。」
「しつけぇな。戻らねぇよ。その話がしたかったならもう帰るぞ。」
「そう言わずにもう少し付き合えよ。お前のダチの話聞いてないだろ。」
「話さねぇって言ってんだろ。話したところでお前知らないだろ。」
「だから気になるんじゃねぇか。そいつは喧嘩強ぇのか?」
「さぁな。お前俺のこと嗅ぎまわってんだろうけど、下手なことしてっと返り討ちに遭うこと覚えとけよ。お前が俺のことを知ってるように、俺もお前のこと知ってっからな。」
「おぉ怖い怖い。お手柔らかに頼むよ。」
降参のポーズをして手をヒラヒラと揺らす結崎を横目に、扉の開閉音が聞こえて咄嗟にそちらに視線を向ける。
そこから覗かせた顔を見て、俺は思わず舌打ちをこぼす。
「いや、あれはたまたま居合わせただけだ。そう怒るなよ。」
機嫌の悪い俺のカンに触ったことを察知した結崎が弁解を図る。
ただ、それはこの場を取り繕う嘘だろう。
その証拠に、入店してきた乙川は結崎の姿を見つけてこちらにやってくる。
「結崎さん、火神さんたちと一緒だったんですね。」
「あぁ、まぁな。」
「俺は帰るぞ。じゃあな。」
「え?あの、俺火神さんにお伝えしたいことが、」
「乙川、今はやめとけ。颯斗、また連絡するわ。」
「していらねぇよ。せいぜい目障りにならない程度に大人しくしとくんだな。」
「分かったよ。」
そうして俺らはやっとその場を切り上げ、数時間の付き合いに眠気を感じつつ店を出た。
智の運転するバイクの後ろに乗り、流れていくネオンの光を眺めながら、俺は謙兄と過ごした日々のことを思い出していた。
「悪かったよ、そう怒るなって。本当にお前は怒ると怖ぇな。」
外堀をつつきながら様子を見て踏み込もうとしていた結崎は、ヘラヘラと笑って安全圏まで引き下がる。
会う度につつく場所を変え、どこまで踏み込めるか、どこが脆いのかと探ろうとしていることが良く分かる。
しかし、引き際もわきまえているので潰すまでに至らないのがこいつの賢いところだ。
「やること見つからなけりゃ、俺のこと思い出してくれよな。俺はいつでも歓迎するぞ。」
「しつけぇな。戻らねぇよ。その話がしたかったならもう帰るぞ。」
「そう言わずにもう少し付き合えよ。お前のダチの話聞いてないだろ。」
「話さねぇって言ってんだろ。話したところでお前知らないだろ。」
「だから気になるんじゃねぇか。そいつは喧嘩強ぇのか?」
「さぁな。お前俺のこと嗅ぎまわってんだろうけど、下手なことしてっと返り討ちに遭うこと覚えとけよ。お前が俺のことを知ってるように、俺もお前のこと知ってっからな。」
「おぉ怖い怖い。お手柔らかに頼むよ。」
降参のポーズをして手をヒラヒラと揺らす結崎を横目に、扉の開閉音が聞こえて咄嗟にそちらに視線を向ける。
そこから覗かせた顔を見て、俺は思わず舌打ちをこぼす。
「いや、あれはたまたま居合わせただけだ。そう怒るなよ。」
機嫌の悪い俺のカンに触ったことを察知した結崎が弁解を図る。
ただ、それはこの場を取り繕う嘘だろう。
その証拠に、入店してきた乙川は結崎の姿を見つけてこちらにやってくる。
「結崎さん、火神さんたちと一緒だったんですね。」
「あぁ、まぁな。」
「俺は帰るぞ。じゃあな。」
「え?あの、俺火神さんにお伝えしたいことが、」
「乙川、今はやめとけ。颯斗、また連絡するわ。」
「していらねぇよ。せいぜい目障りにならない程度に大人しくしとくんだな。」
「分かったよ。」
そうして俺らはやっとその場を切り上げ、数時間の付き合いに眠気を感じつつ店を出た。
智の運転するバイクの後ろに乗り、流れていくネオンの光を眺めながら、俺は謙兄と過ごした日々のことを思い出していた。
0
あなたにおすすめの小説
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
【幼馴染DK】至って、普通。
りつ
BL
天才型×平凡くん。「別れよっか、僕達」――才能溢れる幼馴染みに、平凡な自分では釣り合わない。そう思って別れを切り出したのだけれど……?ハッピーバカップルラブコメ短編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる