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漫遊編
蓬莱の國 捌
しおりを挟む「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ…」
息荒く古志加が返り血で血塗れになりながら小刻みに震えている
足元には首を刎ねられ、胴を薙斬られ、手足を刎ね飛ばされ事切れた盗賊が7人転がっていた
それを横目に、ルーンが優し気に金の目を細めながら問い掛ける
『さぁ残りは君1人だよ?君達の塒は何処かな?』
盗賊の首領は震えながら
「知るか!さっさと殺せや!」
と蔦が絡まり身動きは取れないが嘯く
『ふ~ん、まだ死ねないよ?』
と、右目に指を突き入れ捏ねる
「あ”あ”ぁぁぁぁぁ…」
『輪廻で生まれ変わっても目が1つあれば良いよね?』
「ひぃっ、ひぃっ…な、なにを言って…」
『うん、簡単な事だよ、死んだら来世に行かせてあげるけど死ぬ前の傷も来世に…って事だね』
「そ、そんなことが…」
『うん、出来るんだなコレが。まぁ呪いみたいなものかな?』
「あ、あ、あぁぁぁ…い、言うから…言うから五体満足で死なせてくれ…」
『しょうがないなぁ、じゃあ教えて?』
「こ、ここから…並み足で四半刻ぐらい南の洞穴だ…い、言ったぞ…殺せ…」
『先ずは確かめないとね?フー兄、頼める?』
『あぁ良いぞ?そのぐらいなら一瞬で確かめて戻れるからな』
「ああ、あ、あ、ま、間違えた…北だ…」
『ふう、やれやれ…』
と、右足首と右手首をもぎり取った
「ひぎゃあぁぁぁぁぁ…」
『五体満足で生まれ変わりたいんじゃなかったの?』
「こ、今度は本当に…」
『よし、行ってくる』
と、フーが風を巻いて一瞬消えたと思えば再び現れた
風に巻かれた木の葉が地面に落ちてもいなかった
『ルーン、洞穴があったぞ』
『ありがとうフー兄、じゃあお休み』
ルーンが一瞬で人差し指の爪を20cmぐらい伸ばし、盗賊の額に突き入れ止めを刺した
爪はそのまま折れて水晶になり墓標の様になる
『お土産だよ』
ルーンは最後まで優し気な目のままだった
『じゃあ一寸寄り道していこう』
と、盗賊の塒に小走りで向かった
大人5人が並んで入れるぐらいの洞穴に着いたルーン達は何の躊躇も無く中へ入る
洞穴の中には幾つかの小部屋があり
1部屋、1部屋開けて行くと奥まった場所に盗賊が隠していた財宝が武具と一緒に置いてあった
『う~ん、持って行くの面倒くさそうだなぁ…あ!古志加さん要る?』
「いえいえ、これはルーンさん達の物ですよ。俺には過ぎた物です」
『でも、有れば助かるんじゃない?』
と、ルーンが革袋に入った銭を大きな頭陀袋に詰め直しツァブに渡すと
ツァブは5袋もあった頭陀袋を何処かに仕舞い込んだ
古志加が目をパチクリしていると
『ほっほっほ、儂の甲羅の隙間に仕舞っただけじゃよ』
『僕達は世界中を周るから、此処でしか使えない銭は要らないんだ、だから銭は古志加さんの村に全部あげるよ』
『後、大した物は無いけど他の財宝は四獣で分けて、好きだよね?武具は都まで持っていこう、何かの役に立つかもしれない』
と、根こそぎ持って洞穴を後に都へ向かった
「女王様、蓬莱山に近いシズの村へ旅人の様な一行が向かったのを見たと報告がありました」
「シズですか、先の戦さ場にも近いですね」
「はい、行商人以外の往来は珍しいので可能性は高いかと愚行します」
「そうですね、では無駄足になろうとも使者を出しましょう」
「は、では使者に何か持たせますか?」
「いえ、神相手には何を贈れば良いか想像もつきませんから都まで来訪して戴くよう言上するのが良いと思います」
「は、では使者は幾人送りますか?」
「健脚の使者を5人と護衛を10人ぐらいが妥当でしょう、使者には呉々も失礼がないよう申し付けてください。場合によっては相手が神である事も言って構いません」
「は、承知致しました。では早速準備して早急に向かわせます」
「はい、お願いしますね。あ、言い忘れました。神を急かしてはなりません、と伝えてください。神を人の都合で動かせば、必ず災いがある、と」
「ははっ、使者には必ず言い含めて送り出します」
倭の都を出た使者一行は、駆けるように西へ向かう
しかし、都で無類の健脚揃いとはいえ
夜は休まなければ身体が保たないし、夜盗や魔獣の危険もあった
5日目の夜、拓けた場所で焚き火を囲んで談笑していた一行は
遠くからザザザザ…と此方に向かってくる数人が走る様な足音を聞いて武器を取り身構える
『やあ、こんばんは、野営中ですか?』
暗闇から金の瞳の優し気な若者を先頭に6人の老若男女が現れた
「夜盗でも無さそうだが、こんな夜更けにお主達は何処から来て何処に向かっている?」
使者一行を代表して護衛の荒久真が問い掛けた
『?、あ、古志加さん、聞いてなかったけど村の名前はあるんですか?』
「あ、はい、シズの村です」
古志加が言った事に使者一行が騒つく
「付かぬ事を伺うが、先頃蓬莱山より下りて来た方々か?」
『おや?よく知ってますね?』
「あいや、方々を御探ししておりました。我々は倭の都の女王、日御子様よりの使者でございます」
使者を代表して麻佐利が言上する
「方々におかれましては、是非共 都迄御越し戴きくださり。女王 日御子より先の非礼をお詫び申し上げたいとの言上を承って参りました」
と、使者一行が片膝ついて平伏する
『あぁ、そうでしたか。僕達もシズの村の古志加さんの案内で都に向かっているところでした。ここから先は一緒に行きましょう』
「「「「ははっ!」」」」
「では、直ぐにでも出立なされますか?」
『いや、朝からにしましょう。古志加さんが少々疲れているみたいですから』
「い、いや、俺はまだイケますよ」
と古志加が焦ると麻佐利が
「女王より、決して方々を急かすことが無きよう厳命されております」
「はい…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
う~、都に入れない…
次回は都入りです
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