11 / 77
上質な母乳の為に!
しおりを挟むそれからは…
私の指示でオスカーのベットをバネッサの部屋に運ばせて、四六時中我が天使オスカーの側にいた。
乳母グループの誰かが常に1人は居るが、そんなの気にならない。
今やオスカーのお世話はほぼバネッサの部屋で行われる。
と言ってもまだ、授乳とオムツ変えと沐浴。
ぐずって泣いたら抱いてあやすくらいしかする事はないけど…
そこで私はオスカーの為に上質な母乳を作る事を思いついた。
上質な母乳は言わば母体である私の食生活が重要である。
今までのバネッサはきっと…
食べたい物を食べたいだけ食べて、偏食もしまくり、お酒もガブガブ飲んでいた記憶がある。
何よりバネッサのこのワガママボディーを見る限り油っぽい肉や甘いお菓子も好物だろう。
あり得ない…
本当にバカチンなのだ…
するとマリーヌが休憩にといつもの様に紅茶と焼菓子を持って来た。
たしかにこの世界線ではお茶と言えば紅茶。喉が渇いたと言えば紅茶。なんでもかんでも紅茶だけど、紅茶ってたしか高カフェインじゃない?
これはあかん!上質な母乳がぁ!!
「マリーヌ、これから私ミルクかお水しか飲まないわ。」
と、紅茶を断るとマリーヌは驚いた顔で手を止めた。
どうやら自分が粗相したのかと慌てている様子。
「違うのよ、マリーヌの紅茶が嫌な訳じゃなくてオスカーのためなの。」
以前のバネッサなら紅茶が好みじゃないと侍女にカップを投げていたらしいからマリーヌがビビるのも仕方ないと、私はなるべく優しい口調で答えた。
するとマリーヌも
「オスカー王子のため…」
と呟くと
「わかりました!厨房へいってミルクをもらって来ます!!」
と顔を綻ばせた。
最近のマリーヌは漸く少し警戒を解いてくれた様で私も嬉しかった。
「あ、ついでに料理長も呼んできて欲しいわ食事のメニューについても相談したいから。」
と付け加えると、マリーヌは笑顔で了承して持ってきた紅茶をそのまま持って行った。
さて、
この世界にどれだけ日本と同じ食材があるのかわからないけど、オスカーの成長の為には頑張らないとね。
餅はあるのかしら?
たくさん母乳を出すにはやっぱり餅よねー。
でもお米すら無さそうだから餅なんて無いかぁー
と、私は色々この先の事を考えながら無意識に微笑んでしまう。
オスカーの事を考えるのは私の癒しであり幸せな時間なのだ。
少しすると、ミルクを入れたグラスを持ったマリーヌと、
青い顔でオドオドしている料理長と、何故かモーリスも一緒に戻ってきた。
モーリスは出産以降は小言も無くなったのだけど、すっごい色々聞いてくるし、監視されてるっぽい。
まだオスカーに害を成す母親だと思われてるのかな?
まぁモーリスは乳母グループのトップだし、用心深いのはオスカーにとっては良い事だし、レオナルド陛下に報告もしてるんだろうから仕方がないとは思うけどね。
オスカーを産んで、私の記憶が戻ってからレオナルド陛下には一度も会ってないし、今更レオナルド陛下にどう思われようと関係ないから私は好きな様にするんだ!
と、改めて誓ったのだった。
23
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる