転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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ずるい!ずるい!(エリーゼside)

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なんで?どうしておねーちゃんがいるのよ!?

あたしは一度解散になった応接間を出て、自分にあてがわれた部屋に戻った。

おねーちゃんがバネッサ?
まあ、それは良いけど
だって最後にはあたしとレオっちに殺されちゃうんだから逆にいい気味だし。

ただ今のバネッサは小説の中と違ってスタイル良くて艶やかな黒髪、悔しいけどすごく綺麗な人だった。


「レオっちもなんかバネッサを気にかけてるし!なんなのっ!!」


恵里奈の時、小さい頃はママしかいなかった。
貧乏ってわけじゃないけどお金持ちでもない、あたしの好きな可愛くてキラキラした物をいっぱい買ってもらえる程じゃ無かった。

物心ついた頃にパパだと言われた人はたまにしか会いに来ないけど、来た時は可愛い物を買ってきてくれたから好きになった。


中学2年生になった時、パパとママが一緒に住むから引越しすると言われたの…

この時にはさすがにあたしだって何となくわかってたよ。
パパとママは不倫の関係だったんだって。

パパにはあたしより2歳上の娘がいるんだって。

おねーちゃんが出来るねってママが言うけどそんなのいらないし、パパが毎日一緒なら毎日可愛いの買ってもらえる事の方が嬉しかった。

でも実際には、仕事が終わって帰宅するパパは毎日買って来てくれるわけじゃなかったんだよね。

おねーちゃんになった人は別に高価な服を着てるわけじゃないし、メイクもしてないし平凡な人だと思ったけどなんでか惹きつけられた。

そうか!
おねーちゃんがいるから悪いんだ。
おねーちゃんがいない時はパパも色々買ってくれてたじゃん。

それからあたしはおねーちゃんの物はみんな私の物にしちゃおうって決めた。

パパやママとはあんまり話さないおねーちゃんだからバレっこないよね。

おねーちゃんが大学で家を出るまでの3年間で色々な物を貰ってきた。

おねーちゃんも行くはずだった旅行も、おねーちゃんの誕生日プレゼントも、おねーちゃんに気を遣って話しかけないパパとママに、

「おねーちゃん言ってたよー」

「おねーちゃんいらないってー」

って間に入ってあげてるフリして嘘ついてたんだー。

そんなおねーちゃんはパパやママに相談する事もなく、自分で大学を決めてさっさと家を出て行っちゃったけどね。

それからかなー?
奪う相手がいなくなってつまらなくなっちゃった。

パパとママも、遠慮してたおねーちゃんがいなくなったからかあたしに口煩くなってきた。
大学がどーだ、就職がどーだといちいち言って来る。

なんで働かなくちゃいけないの?
家にいるんだから別に良くない?

そしたらパパがボソッと言ったの。


「あかりの会社に聞いてみるか…」


え?
おねーちゃんの会社!!

そうか、おねーちゃんの所ならまた楽しくなりそうじゃない?

どこの職場を提案されても嫌って言って逃げてたあたしが


「おねーちゃんの所なら働きたい!」


って言えば、気まずそうな顔をしながらパパが電話してたよ。
実の娘相手なのに笑っちゃうねー

結局おねーちゃんと同じ会社は無理だったけど知り合いの会社のアルバイトで働く事になったんだ

おねーちゃんがいないなんて話が違うってゴネたけど、いい加減パパもママも煩いし、家から近くて楽な仕事だって言うから行く事にした。


渋々ながら何日か出勤してたら、知らない男の人に話しかけられたんだよね。


「君が恵里奈ちゃん?」


おじさんか不細工しかいなかった職場にピシッとスーツを着た爽やかでキラキラした男の人だった。
心臓がドキドキしたし、顔が熱くなったのも覚えてる。


「僕は長谷川優って言うんだ。君の姉のあかりの婚約者だよ。」


え?
婚約者?
おねーちゃんの?

あたしの芽生えた恋心が出会って1分で失恋しちゃった…

てか、おねーちゃんの彼氏なの?
えー!この会社の社長の息子だって?

ずるい、ずるーーい!!

おねーちゃんばっかり!!


あ、でもそうか…
おねーちゃんの物なら、今までみたいに奪っちゃえばいいんだ!


あたしは久しぶりに心から楽しい気持ちになった。



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