死、逃げ出したあと

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死、逃げ出したあと

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 ブウウウーーー・・・・・・ンンンンンンーーー・・・ンンン・・・

 蜜蜂の羽の音のような音が聞こえていた日である。
 それは夏頃だっただろうか。彼の遺体は校門前で発見された。目を見開き、口を大きく開けて、手を空に向けて。

 その日は、なんの変哲もない夏の学校。そんな中での出来事。授業の前、彼は教室に来なかった。クラスのみんなや、先生とともに探し回った。なかなか見つからない。そして、階段を探している時、

ポツン。

頭の上に冷たい水滴のようなものが落ちてきた。頭を触ってみると、それは、赤色をした液体だった。上を見上げると一つ上の階から垂れてきている。急いでみんな上に上がった。彼は頭から赤色の液体を流して倒れていた。その後救急車によって、彼は病院へと運ばれていった。

 次の日、病院へ彼の様子を見に行くと、彼は頭を包帯でグルグル巻きにしてベットに横たわっていた。息はしているが意識はないそうだ。

 それからというもの、彼のことが気になって、授業のことなんて頭に入らなかった。暇があれば病院に行き、彼の様子を見に行った。そんなことがしばらく続いたある日のことだった。そして彼は目が覚めた。

 「病院から重症の少年が脱走」そんな見出しの新聞記事を見つけた。もしかしてと思い、病院へ急いだ。彼がいた病室には誰もおらず、立入禁止となっていた。彼は未だ捜索中。行方知れずとなった彼はどこに行ったのか誰にもわからない。

 彼は脱走する前日、昼夜構わず「なにか来る」「嫌だ」と叫んでいたという。そして脱走した日にはいつも以上に怯えていて叫んでいたという。

 それから3ヶ月後。彼の遺体は校門前で発見された。目を見開き、口を大きく開けて、手を空に向けて。一体彼の身に何があったのか、誰にわかることでもない。その日は蜜蜂の羽のような音が聞こえていた。

 ブウウウーーー・・・・・・ンンンンンンーーー・・・ンンン・・・
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