異世界呪われた救世主~異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす~

陽月純

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第一章 救世主と聖女

第46話 魔王の刺客

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 プリメラの力を借りて何とかカオスドラゴンを倒すことが出来た俺達は疲れ果てていた。カオスドラゴンの力を封じ続けていたプリメラも女神とはいえ、疲労困憊して床に寝転がっているくらいだ。

「プリメラ様、大丈夫ですか?」
「大丈夫。ちょっと休めば魔力も回復するわ」

 ミコトの質問にプリメラは答えると、よいしょっと起き上がり自分の椅子に腰掛けて大きく深呼吸をした。

「ふぅぅぅぅ。うん。大丈夫。ちょっと回復したかな」

 もう? いくら何でも回復が早すぎるのでは?

 そんな事を思っていると、プリメラがさって手を横に振ると、カオスドラゴンのブレスで破壊された屋根がみるみると修復されていく。

「流石に屋根が無いままだと風通しが良すぎるからね。あなた達も立てるかな?」
「何とか」

 俺が答えると、ポーラもミコトも何とか立ち上がった。立ち上がった俺達にプリメラが再び礼を言う。

「今一度、お礼を言わせてもらうね。カオスドラゴンを倒してくれてありがとう」

 プリメラが頭を下げて礼をする。プリメラの力を借りて何とかカオスドラゴンを倒すことが出来た俺達は疲れ果てていた。

「だから、それはもういいって。それより、アルと一緒に光に包まれた時の事を話して欲しい」

 俺の言葉にプリメラは頷く。

「でも、その前にこれを」

 そう言うと、俺とミコトの前に光る宝箱が現れた。

「これは?」
「神器。あなた達は試練の塔を踏破したでしょ。その報酬よ。受け取って」

 ポーラは一度貰ったから何も無いということか。ミコトと俺は宝箱を開ける。中に入っていたのは……。

「バンダナ?」
「私は杖ですね」

 中から取り出すと宝箱は消えてしまった。<鑑定>を使ってバンダナを見てみる。【英傑のバンダナ】。これがこのバンダナの名前か。英傑とは、また御大層な名前だ。ステータスは……、何だ? このぶっ壊れステータス。AGI、DEF、MDEFが俺自身のステータスの十パーセント上昇……。

 レベルが低い今はカスに等しいけど、後々はチート装備になるんじゃないのか?

「それは、装備していないと成長しないから、常に装備しておくことをお勧めするよ」

 ポーラは常に装備していなかったけど、そこはポーラに何か思う所があったんだろうな。ポーラを見ると、持っていたグレートソードが無くなっていた。

「ポーラ? 神器は?」

 俺が質問すると、ポーラが収納袋から剣を取り出す。それは、グレートソードではなかった。一回り小さくなり、刀身は緋色。

「さっきの戦闘で進化したみたいね。ファイアソード。刀身に炎を纏う事が出来る火属性の片手剣だわ」

 ポーラが剣に魔力を通すと刀身が赤く光り、炎が刀身を覆った。俺のファイアナックルと同じか。兎に角これで俺達三人とも神器を手に入れたという事だ。これで戦力が少しは上がるかな。

「それじゃあ、話の続きを」
「そうですね」
「分かったわ。どこから話しましょうか……。そうね。アスカ、あなたはアルからこの世界の救世主として召喚されたと聞いているわね?」

 俺はプリメラの質問に肯定する。

「それは、正しいわ。あの方がこの世界を邪神から守るために、あなたを召喚したの。そして、アルはあの方の分体。私が思い出した事で、世界の理が少し変わっているわね」
「どういう事ぉ?」

 プリメラの言葉にアルが聞き返すと、プリメラは微笑みながら答えた。

「あなたは、救世主と共に行動する善きドラゴンとして、皆に認識されるわよ。これからは、姿を隠す必要なんてないわよ」
「やったぁ」

 そんな事があるのか。これも異世界だからなのかな? まあ、でも、アルの姿を見ても怪しまれないで済むのは良いことかもしれない。

「それって、アスカが救世主だっていうのが、皆に分かるという事……ですよね?」

 え?

「ふふ。そうね。だから、私の託した神器、上手く使ってね。邪神の手下や、あなたを邪魔と思う人が現れるかもしれないから」

 は?

「特に……。あ、ちょっと待って」

 プリメラが話を途中でやめる。どうしたのかと思ったら、後ろの階段から人が上がって来る気配がする。

「今日は試練をクリアする人が多いわね。あなた達以外にも現れるとは」

 階段から人が姿を現す。現れたのは長いコートを来た男だった。武器らしいものは持っていないけど、異空間の収納袋を持っているのかもしれない。

「おめでとう。あなたは試練を見事にクリアしました。こちらへ」

 男は、プリメラを見た後、俺達をジロジロと見ている。何か値踏みされているような、嫌な感じがする。ポーラも同じ事を感じ取ったのか、収納袋に手を入れている。

「ふぅん。あいつの言う通り。まだ無理か……。あいつなら殺れるか」

 男が小声で何か呟いていたが、今、殺れると言ったか? 男は一向にこちらへ来ようとはしない。プリメラが再び男に声を掛けた。

「どうしましたか? こちらへ」
「死ね」

 男が手を前に出し、ミコトに向ける。そして、次の瞬間男の手に一丁の銃が現れる。この世界に銃?

「何!? あんな武器見たことも無いわよ」

 銃から弾が発射される。撃たれた弾は、まっすぐミコトに向かって飛んでいく。

「ミコト!」

 ポーラが収納袋からファイアソードを取り出し、弾を弾こうと剣を振る。が、弾の方が早い。剣に当たらずポーラの胸に弾が命中し、その場に倒れた。

「ぐっ」
「ちっ、邪魔が入ったか」

 男は銃を構えると、

「チャージ、<ペネトレイトバレット>。次の弾は、邪魔しても無駄だぜ」

 ペネトレイト? 貫通弾か! 男が銃を撃つのと同時に俺は男に向かって駆け出す。

「<ホーリーバリア>」

 男の撃った弾がミコトの<ホーリーバリア>にぶつかる。弾はバリアに当たると砕けた。

「何だと! たかが、レベル十八の雑魚が俺の攻撃を防いだだと」

 男が驚いているところに俺の一撃が男の鳩尾に当たる。この感触は……。

「雑魚の。しかも女の細腕で殴った所で俺には効かねぇよ」
「くそっ。お前、何者だ! なんで銃なんて持っているんだ!」

 俺は男から離れ、反撃に備える。男は、自分の武器を理解した俺に興味を示したのか、俺に銃を向けると、

「これが分かるという事は、お前、俺と同じ世界の人間か? じゃあ、あっちのいかにも聖女って恰好の女じゃなくて、お前が聖女なのか?」
「俺は聖女じゃない。だけど、この世界の住人でもない」
「他の女神か魔王の召喚した人間? だが、そんな奴だったら聖女と仲良くしないと思うが……」
「なんで、聖女を狙う?」
「そうだな。自己紹介しようか。俺は、結城 英雄。職業は魔銃士。魔王セドニーの依頼で女神と聖女を殺しに来た。魔王の刺客さ」
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