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第二章 魔王と戦争
第59話 発見! 悪霊モーレス
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ゴス村にやって来た女はその大きな胸を見せびらかすように揺らしながら、冒険者ギルドへと向かっていた。身長は百五十センチメートルくらいの小柄で髪はショートヘア。ボーイッシュな感じに反したその大きな胸が一際目立つ。
「マスター居る!?」
大声でウィズを呼ぶ女。受付カウンターの奥からウィズが現れると、胸を見せつけるように腰に手を当て、ふんぞり返る。
「今日は騒がしい日だな。何だ?」
「あたしはミサオ! ブラッドに聞いてここに来たの!」
ミサオは、大きな声でウィズに自己紹介する。
「うるさい。そんな大きな声出さなくても聞こえる。全く……。それにしてもブラッド様を呼び捨てにするとは中々度胸のある奴だ」
「あたしはブラッドに呼び出されたんだもの。ブラッドをブラッドと呼んで何が悪いのよ」
ミサオは堂々と宣言する。
「うん? じゃあ、お前が例の召喚者なのか?」
「そ。人形使いのミサオ。よろしくね」
「で、何の用でここに来たんだ?」
ウィズが尋ねるとふっふっふと笑い出したかと思うと、人差し指を一本立て、右手を上げる。
「あたしがここの悪霊をどうにかしてあげる!」
ミサオはニヤっと満面の笑みを浮かべるのだった。
ミコトが宿には泊まりたくないと言い張るため、俺達は馬車の中で泊まる事にした。
その夜、村は霧に覆われていた。悪霊が現れるようになってから、毎夜のように霧が村全体を覆うらしい。ただ、この日の霧はいつもと様子が違うと食事を持ってきてくれた宿屋のおばさんが教えてくれた。
「気を付けてね。あれが襲って来るかもしれない」
「ありがとう。おばさん」
俺は食事を受け取り、礼を言うとミコトと一緒に食事をした。食事をしていると、商隊の主とバランがやって来た。主は巻物を一枚手に持っている。
「食事中にすまない。これをアスカさん。君に」
「これは?」
「俺のスキルをそいつに写した。使ってくれ」
俺は巻物を受け取るとバランに尋ねる。
「何のスキルです?」
「<感知>だ。俺はこれで盗賊やロックワームの存在に気付いていたんだよ。お前達の力になると思ってな」
確かにあると便利なスキルだと思うが、巻物はかなり高価なものだ。簡単に受け取っていいのか? 知り合ってまだ二日しか経っていない。俺達よりも付き合いの長い冒険者達にあげた方がいいんじゃないか? 俺が中々受け取らず考え込んでいる姿を見て、バランが笑う。
「何を悩んでいるんだ。心配するな裏など何もない。俺の命が助かったことに対する感謝の印だ。受け取れ」
「命を救ったのはミコトだけど……」
「ミコトはこのスキル要るか?」
バランがミコトに尋ねると、ミコトは首を横に振る。
「いえ、後衛の私より前衛のアスカが持っている方が、何かと都合が良いと思います」
前衛、後衛共に持っている方が便利なスキルだと思うけど、巻物は高価だから一枚しか準備出来なかったのだろう。一枚しかないのなら、確かに俺が持っていた方が戦闘には役立つ。
「分かりました。それじゃあ、遠慮なく使わせてもらいます」
巻物を受け取り、使用する。巻物が光を放ち、俺の手から消えた。スキルを覚えた事を確認するためにステータスプレートを確認する。あ、レベルが上がっていた。
レベル:19
HP(体力):128
OP(闘気):111
MP(魔力):138
STR(筋力):15
AGI(敏捷):14
VIT(耐久力):11
INT(知力):7
MND(精神力):7
DEX(器用):11
LUK(幸運):24
AP(魅力):416
スキル・アーツ
<アクセルブースト>、<パワーライズ>
<錬装>、<双牙>、<疾風>、<衝波>、<紅蓮>、<毒手>
<空納>、<鑑定>、<錬気>、<感知>、<探知>
状態
???の加護、アルの加護、性別反転の呪い、モーレス・マッシュの呪い
ちょっと待て。<感知>と一緒に<探知>というスキルを覚えている。<探知>を確認すると<鑑定>と<感知>の合成スキルみたいだ。<感知>で得た気配を自動で<鑑定>してくれるらしい。そして、状態の欄。これには驚きの色を隠せなかった。
???の加護は、文字の色が黒ずんでいる。この間使用したから今はクールタイム中という事なのだろう。これは特に驚かなかったが、何故、モーレス・マッシュの呪いが付いている。俺の驚いた様子に、三人が心配そうにしている。
「どうした? まさか、取得出来なかったのか?」
「いえ。スキルはしっかり取得出来ました。おまけのスキルに<探知>も取得出来たくらいです」
「それは凄いな。では、何をそんなに驚いているのかね?」
「それは……。この村の人が受けている呪いに俺も呪われているからです」
「「「え!?」」」
俺は三人に頼まれ、この場にいる全員に<鑑定>を行うと、アル以外の全員に同じ呪いがかかっていた。
「何で? この村出身の者にだけ呪いがかかるはずじゃ?」
「すみません。俺達のせいかも」
俺とミコト。若い女が久しぶりにこの村へやって来た。それを逃がさないために商隊全員に呪いをかけた可能性がある。
「いや、君たちのせいではないよ。とにかく、私は村長にこの事について話してくる。他の者はこのまま待機だ。決して無茶はするな」
商隊の主は、そう言うと馬車から出ていき、村長の家へと向かって行った。
「何でアルは呪われなかったんだ?」
「僕、人間じゃないからねぇ。呪っても意味がないんじゃなぁい?」
「まあ、それもそうか」
アルの言う事も尤もか。子竜に呪いをかけた所で何の意味もないだろう。それにしても、モーレスとかいう奴はどこまで執念深いのだろう。こいつをどうにかしない限り、俺達はここから出る事も出来なくなってしまった。
「もしかして、早速<感知>か<探知>が役に立つんじゃないのか?」
<感知>を見るとこれは常時発動可能なスキルだった。MPやOPの消費も無い。便利なものだ。<探知>は<感知>よりも狭い範囲でより正確に情報を入手可能なスキルだ。<感知>を発動すると、色々な情報が頭に入って来る。これは、慣れないと頭がパンクしそうだ。次に<探知>を発動。
「見つけた。こいつが元凶か」
俺の頭に悪霊モーレス・マッシュの情報が入って来る。ここから近い。そして、その近くに人が居る。ミサオ・カタシロ。それがその人物の名前。そして、これは俺達と同じ召喚者だ。
「ミコト。悪霊が苦手なのは分かるけど、君の力が必要だ。一緒に来てくれるか?」
ミコトは恐怖に顔を引きつらせているが、小さく頷く。
「うん。どうにかしないと私たちも困るもの。頑張って勇気を出すよ」
俺とミコトは、モーレスのいる場所へと向かうのだった。
「マスター居る!?」
大声でウィズを呼ぶ女。受付カウンターの奥からウィズが現れると、胸を見せつけるように腰に手を当て、ふんぞり返る。
「今日は騒がしい日だな。何だ?」
「あたしはミサオ! ブラッドに聞いてここに来たの!」
ミサオは、大きな声でウィズに自己紹介する。
「うるさい。そんな大きな声出さなくても聞こえる。全く……。それにしてもブラッド様を呼び捨てにするとは中々度胸のある奴だ」
「あたしはブラッドに呼び出されたんだもの。ブラッドをブラッドと呼んで何が悪いのよ」
ミサオは堂々と宣言する。
「うん? じゃあ、お前が例の召喚者なのか?」
「そ。人形使いのミサオ。よろしくね」
「で、何の用でここに来たんだ?」
ウィズが尋ねるとふっふっふと笑い出したかと思うと、人差し指を一本立て、右手を上げる。
「あたしがここの悪霊をどうにかしてあげる!」
ミサオはニヤっと満面の笑みを浮かべるのだった。
ミコトが宿には泊まりたくないと言い張るため、俺達は馬車の中で泊まる事にした。
その夜、村は霧に覆われていた。悪霊が現れるようになってから、毎夜のように霧が村全体を覆うらしい。ただ、この日の霧はいつもと様子が違うと食事を持ってきてくれた宿屋のおばさんが教えてくれた。
「気を付けてね。あれが襲って来るかもしれない」
「ありがとう。おばさん」
俺は食事を受け取り、礼を言うとミコトと一緒に食事をした。食事をしていると、商隊の主とバランがやって来た。主は巻物を一枚手に持っている。
「食事中にすまない。これをアスカさん。君に」
「これは?」
「俺のスキルをそいつに写した。使ってくれ」
俺は巻物を受け取るとバランに尋ねる。
「何のスキルです?」
「<感知>だ。俺はこれで盗賊やロックワームの存在に気付いていたんだよ。お前達の力になると思ってな」
確かにあると便利なスキルだと思うが、巻物はかなり高価なものだ。簡単に受け取っていいのか? 知り合ってまだ二日しか経っていない。俺達よりも付き合いの長い冒険者達にあげた方がいいんじゃないか? 俺が中々受け取らず考え込んでいる姿を見て、バランが笑う。
「何を悩んでいるんだ。心配するな裏など何もない。俺の命が助かったことに対する感謝の印だ。受け取れ」
「命を救ったのはミコトだけど……」
「ミコトはこのスキル要るか?」
バランがミコトに尋ねると、ミコトは首を横に振る。
「いえ、後衛の私より前衛のアスカが持っている方が、何かと都合が良いと思います」
前衛、後衛共に持っている方が便利なスキルだと思うけど、巻物は高価だから一枚しか準備出来なかったのだろう。一枚しかないのなら、確かに俺が持っていた方が戦闘には役立つ。
「分かりました。それじゃあ、遠慮なく使わせてもらいます」
巻物を受け取り、使用する。巻物が光を放ち、俺の手から消えた。スキルを覚えた事を確認するためにステータスプレートを確認する。あ、レベルが上がっていた。
レベル:19
HP(体力):128
OP(闘気):111
MP(魔力):138
STR(筋力):15
AGI(敏捷):14
VIT(耐久力):11
INT(知力):7
MND(精神力):7
DEX(器用):11
LUK(幸運):24
AP(魅力):416
スキル・アーツ
<アクセルブースト>、<パワーライズ>
<錬装>、<双牙>、<疾風>、<衝波>、<紅蓮>、<毒手>
<空納>、<鑑定>、<錬気>、<感知>、<探知>
状態
???の加護、アルの加護、性別反転の呪い、モーレス・マッシュの呪い
ちょっと待て。<感知>と一緒に<探知>というスキルを覚えている。<探知>を確認すると<鑑定>と<感知>の合成スキルみたいだ。<感知>で得た気配を自動で<鑑定>してくれるらしい。そして、状態の欄。これには驚きの色を隠せなかった。
???の加護は、文字の色が黒ずんでいる。この間使用したから今はクールタイム中という事なのだろう。これは特に驚かなかったが、何故、モーレス・マッシュの呪いが付いている。俺の驚いた様子に、三人が心配そうにしている。
「どうした? まさか、取得出来なかったのか?」
「いえ。スキルはしっかり取得出来ました。おまけのスキルに<探知>も取得出来たくらいです」
「それは凄いな。では、何をそんなに驚いているのかね?」
「それは……。この村の人が受けている呪いに俺も呪われているからです」
「「「え!?」」」
俺は三人に頼まれ、この場にいる全員に<鑑定>を行うと、アル以外の全員に同じ呪いがかかっていた。
「何で? この村出身の者にだけ呪いがかかるはずじゃ?」
「すみません。俺達のせいかも」
俺とミコト。若い女が久しぶりにこの村へやって来た。それを逃がさないために商隊全員に呪いをかけた可能性がある。
「いや、君たちのせいではないよ。とにかく、私は村長にこの事について話してくる。他の者はこのまま待機だ。決して無茶はするな」
商隊の主は、そう言うと馬車から出ていき、村長の家へと向かって行った。
「何でアルは呪われなかったんだ?」
「僕、人間じゃないからねぇ。呪っても意味がないんじゃなぁい?」
「まあ、それもそうか」
アルの言う事も尤もか。子竜に呪いをかけた所で何の意味もないだろう。それにしても、モーレスとかいう奴はどこまで執念深いのだろう。こいつをどうにかしない限り、俺達はここから出る事も出来なくなってしまった。
「もしかして、早速<感知>か<探知>が役に立つんじゃないのか?」
<感知>を見るとこれは常時発動可能なスキルだった。MPやOPの消費も無い。便利なものだ。<探知>は<感知>よりも狭い範囲でより正確に情報を入手可能なスキルだ。<感知>を発動すると、色々な情報が頭に入って来る。これは、慣れないと頭がパンクしそうだ。次に<探知>を発動。
「見つけた。こいつが元凶か」
俺の頭に悪霊モーレス・マッシュの情報が入って来る。ここから近い。そして、その近くに人が居る。ミサオ・カタシロ。それがその人物の名前。そして、これは俺達と同じ召喚者だ。
「ミコト。悪霊が苦手なのは分かるけど、君の力が必要だ。一緒に来てくれるか?」
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