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第二章 魔王と戦争
第71話 魔器の眠る洞窟
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ミサオは俺たちにダンジョン攻略を一緒にして欲しいのか。
カマス達はミサオとの会話の邪魔になるといけないと馬車を街の外まで運んで行った。
宿が無いからもし良かったら夜は馬車を寝所に使っても良いと言ってくれた。有難いことだ。
さて、ミサオは何故俺達をダンジョン攻略に誘ったのだろうか?
「でも、お前この間ダンジョン攻略をするために悪霊を捕まえたんじゃなかったか?」
「う……」
痛い所を突かれたとミサオは明らかに落ち込んだ。
「それが、そのPDが手に入ったから大丈夫と思ってダンジョンに挑んだんだけど……」
「うん、だけど?」
「あれ、あたしのMPごっそり持っていくわ、ドールは一体しか召喚出来ないわで、最奥まで行けなかったの……」
「成程。要は一人じゃ手に負えなかったんだな」
「そうよ。あたし自身は弱いんだから、守りと攻めの二体のドールが必要だけど、一体しか召喚出来ないんだからしょうがないじゃない」
まあ、ダンジョン攻略を手伝えばブラッドに会わせてもらえるというのなら手伝うべきだな。
「分かった。手伝うよ。いいね? ミコト」
「うん。ミサオさん。頑張りましょう」
「ありがとう! 二人共」
「で、どんなダンジョンなんだ?」
「岩山にある洞窟だよ。最奥には魔器を与えてくれる祠があるらしいわ」
洞窟か。そして魔器。神器と同じで魔王が授けてくれる成長に合わせて強化される武具。元々ブラッドに会って戦争を止める事が出来た後にでも挑戦しようと考えていたから、順番が逆になるだけのことだ。ただ、今は少し不味いと言えば不味い……。
「当然、中にはモンスターが」
「いるわよ。だからあたしだけじゃ無理なんでしょ」
ミコトが俺を見る。俺はコクリと頷くと、ミサオにあることを告げる。
「実は一つだけ問題があるんだ」
「何?」
「ここに来る前にオークの大群と出会って、レベルが四も上がったんだけど……」
「何よ。レベルアップしてるんだったら別に問題無いじゃない」
「いや、それは良いんだけど、レベルアップして新しいスキルを覚えたんだよ。<修練>っていう」
「何、そのスキル?」
「これが癖のあるスキルで、俺が装備できる武器は素材を<錬装>というスキルで武器に変えるんだけど、この武器の中にはどうも熟練度というステータスがあるみたいなんだ」
「それで?」
「その熟練度が百に達成したら、その武器に眠るスキルを習得出来るんだ」
「便利ね。あたしにはそんな物無いわよ。然りげ無く自慢?」
「違う。その熟練度をより早く上げる事が出来るのが<修練>なんだけど、ほら」
俺は両手に装備している緑色のスライムブロウを見せる。
「何、その弱そうな武器は?」
「これが、今<修練>でスキルを取得しようとしている武器。スライムブロウさ。癖があるっていうのはここからさ。これ、装備が外れなくなるんだよ。熟練度が百になるまで」
「は?」
「つまり、そのダンジョンをこの弱い武器で挑まないといけないという事さ」
「はぁっ!?」
ミサオの声が一際大きくなる。
「あんた、馬鹿じゃないの!? 何でそんなアホなことしてんのよ!」
「しょうがないだろ。試すには今の手持ちじゃこれくらいしか無かったんだ。それに、早く終わるかもしれないし、試さないと分からないだろ」
「二人共、落ち着いて」
「まぁいいわ。居ないよりかはマシだし、ミコトは大丈夫そうだから。じゃあ、行くわよ」
ミサオは少々腹を立てていたが、ミサオの案内で魔器の眠るダンジョンへと向かった。
「だいぶ戻るなぁ」
「そうだね」
「何が?」
ダンジョンは俺たちがゴス村からブラッド城迄の道中にあったらしい。尤もオークの大群から逃れる為に途中進路を変えたからダンジョンには気が付かなかったけど。
「ここよ」
洞窟の入口は至って普通の洞窟にしか見えない。洞窟に入ろうと歩き始めた所でミサオに呼び止められた。
「ちょっと待った!」
「どうしたの?」
ミコトが呼び止めた理由を質問する。
「あんた達強化の術とかスキルを持っているなら、入る前に使って。その分の消費したMPは回復して」
「どういうこと?」
ミコトは何故と疑問に思っているようだが、RPGゲームをしたことのある俺はあることに気が付く。
「まさか、洞窟内はアイテムが使えないのか?」
「そう。よく分かったね。どういう原理か知らないけど中に入ったら武器、防具以外のアイテムが使えないのよ。だから、MPが直ぐに足らなくなるの」
それでPDがどうのとか言っていたのか。確かにアイテムが使えなくなるのは困るな。攻撃が通じない時の<衝波>を封じられる事になる。
「分かった」
俺たちは洞窟に入る前に出来る強化を全て終わらせ、ミサオはPDを召喚すると、魔力回復薬を使い回復する。
「さあ、準備はいいわね! 行くわよ!」
ミサオの掛け声と共に洞窟の中へと入ると、大きな扉が閉まっていた。不気味なその扉は異様な雰囲気を醸し出している。
「洞窟の中に扉?」
「?」
ミサオも不思議そうな顔をしている。
「あれ? 何、この扉?」
「おい、ミサオ。お前ここに挑んだんだよな?」
「勿論! 昨日挑んだばかりよ!」
「因みに、今まで何回挑んだんだ?」
「そうねぇ……。五回くらい?」
確か、プリメラの試練の塔は挑む回数で難易度が上がると言っていた。これは、ひょっとして、ここも同じ仕様なのか? ミサオの挑戦回数で難易度が高くなってしまったという可能性が出てきた。
「まあいっか! 挑戦するのは変わらないんだし。開けるわよ」
ミサオが扉を開けると扉の上に、蒼い炎が三つ灯り、ボゥッと燃え上がると、扉と一緒に消えた。
「何よ。一体……」
「ミサオ、お前が今までに挑んだ時より、危険度が増しているかもしれない。気を付けてくれよ」
「任せなさい。あたしのPDがモンスターをバッタバッタと倒してくれるわよ!」
それで、今まで失敗しているんだろう? 兎に角注意する必要があるな。<感知>を発動すると、あぁ、居るわ。かなりのモンスターが奥に潜んでいる。頭痛で頭に手を当てていると、ミコトが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「大丈夫?」
「うん。大丈夫……。<感知>でこの洞窟を調べただけだから」
「へぇ。そんなこと出来るんだ。便利ね。で、どうなの?」
「そうだな。この洞窟、単純に奥へと一本道が続くだけだな。で、かなりのモンスターが蠢いている。その内の一グループがこっちに向かって来ているな」
俺の言葉の後に、遠くからこっちへ向かってくる犬? いや狼のようなモンスターの姿が見えてきた。
「さぁ、モンスターを蹴散らして、魔器を手に入れようか!」
カマス達はミサオとの会話の邪魔になるといけないと馬車を街の外まで運んで行った。
宿が無いからもし良かったら夜は馬車を寝所に使っても良いと言ってくれた。有難いことだ。
さて、ミサオは何故俺達をダンジョン攻略に誘ったのだろうか?
「でも、お前この間ダンジョン攻略をするために悪霊を捕まえたんじゃなかったか?」
「う……」
痛い所を突かれたとミサオは明らかに落ち込んだ。
「それが、そのPDが手に入ったから大丈夫と思ってダンジョンに挑んだんだけど……」
「うん、だけど?」
「あれ、あたしのMPごっそり持っていくわ、ドールは一体しか召喚出来ないわで、最奥まで行けなかったの……」
「成程。要は一人じゃ手に負えなかったんだな」
「そうよ。あたし自身は弱いんだから、守りと攻めの二体のドールが必要だけど、一体しか召喚出来ないんだからしょうがないじゃない」
まあ、ダンジョン攻略を手伝えばブラッドに会わせてもらえるというのなら手伝うべきだな。
「分かった。手伝うよ。いいね? ミコト」
「うん。ミサオさん。頑張りましょう」
「ありがとう! 二人共」
「で、どんなダンジョンなんだ?」
「岩山にある洞窟だよ。最奥には魔器を与えてくれる祠があるらしいわ」
洞窟か。そして魔器。神器と同じで魔王が授けてくれる成長に合わせて強化される武具。元々ブラッドに会って戦争を止める事が出来た後にでも挑戦しようと考えていたから、順番が逆になるだけのことだ。ただ、今は少し不味いと言えば不味い……。
「当然、中にはモンスターが」
「いるわよ。だからあたしだけじゃ無理なんでしょ」
ミコトが俺を見る。俺はコクリと頷くと、ミサオにあることを告げる。
「実は一つだけ問題があるんだ」
「何?」
「ここに来る前にオークの大群と出会って、レベルが四も上がったんだけど……」
「何よ。レベルアップしてるんだったら別に問題無いじゃない」
「いや、それは良いんだけど、レベルアップして新しいスキルを覚えたんだよ。<修練>っていう」
「何、そのスキル?」
「これが癖のあるスキルで、俺が装備できる武器は素材を<錬装>というスキルで武器に変えるんだけど、この武器の中にはどうも熟練度というステータスがあるみたいなんだ」
「それで?」
「その熟練度が百に達成したら、その武器に眠るスキルを習得出来るんだ」
「便利ね。あたしにはそんな物無いわよ。然りげ無く自慢?」
「違う。その熟練度をより早く上げる事が出来るのが<修練>なんだけど、ほら」
俺は両手に装備している緑色のスライムブロウを見せる。
「何、その弱そうな武器は?」
「これが、今<修練>でスキルを取得しようとしている武器。スライムブロウさ。癖があるっていうのはここからさ。これ、装備が外れなくなるんだよ。熟練度が百になるまで」
「は?」
「つまり、そのダンジョンをこの弱い武器で挑まないといけないという事さ」
「はぁっ!?」
ミサオの声が一際大きくなる。
「あんた、馬鹿じゃないの!? 何でそんなアホなことしてんのよ!」
「しょうがないだろ。試すには今の手持ちじゃこれくらいしか無かったんだ。それに、早く終わるかもしれないし、試さないと分からないだろ」
「二人共、落ち着いて」
「まぁいいわ。居ないよりかはマシだし、ミコトは大丈夫そうだから。じゃあ、行くわよ」
ミサオは少々腹を立てていたが、ミサオの案内で魔器の眠るダンジョンへと向かった。
「だいぶ戻るなぁ」
「そうだね」
「何が?」
ダンジョンは俺たちがゴス村からブラッド城迄の道中にあったらしい。尤もオークの大群から逃れる為に途中進路を変えたからダンジョンには気が付かなかったけど。
「ここよ」
洞窟の入口は至って普通の洞窟にしか見えない。洞窟に入ろうと歩き始めた所でミサオに呼び止められた。
「ちょっと待った!」
「どうしたの?」
ミコトが呼び止めた理由を質問する。
「あんた達強化の術とかスキルを持っているなら、入る前に使って。その分の消費したMPは回復して」
「どういうこと?」
ミコトは何故と疑問に思っているようだが、RPGゲームをしたことのある俺はあることに気が付く。
「まさか、洞窟内はアイテムが使えないのか?」
「そう。よく分かったね。どういう原理か知らないけど中に入ったら武器、防具以外のアイテムが使えないのよ。だから、MPが直ぐに足らなくなるの」
それでPDがどうのとか言っていたのか。確かにアイテムが使えなくなるのは困るな。攻撃が通じない時の<衝波>を封じられる事になる。
「分かった」
俺たちは洞窟に入る前に出来る強化を全て終わらせ、ミサオはPDを召喚すると、魔力回復薬を使い回復する。
「さあ、準備はいいわね! 行くわよ!」
ミサオの掛け声と共に洞窟の中へと入ると、大きな扉が閉まっていた。不気味なその扉は異様な雰囲気を醸し出している。
「洞窟の中に扉?」
「?」
ミサオも不思議そうな顔をしている。
「あれ? 何、この扉?」
「おい、ミサオ。お前ここに挑んだんだよな?」
「勿論! 昨日挑んだばかりよ!」
「因みに、今まで何回挑んだんだ?」
「そうねぇ……。五回くらい?」
確か、プリメラの試練の塔は挑む回数で難易度が上がると言っていた。これは、ひょっとして、ここも同じ仕様なのか? ミサオの挑戦回数で難易度が高くなってしまったという可能性が出てきた。
「まあいっか! 挑戦するのは変わらないんだし。開けるわよ」
ミサオが扉を開けると扉の上に、蒼い炎が三つ灯り、ボゥッと燃え上がると、扉と一緒に消えた。
「何よ。一体……」
「ミサオ、お前が今までに挑んだ時より、危険度が増しているかもしれない。気を付けてくれよ」
「任せなさい。あたしのPDがモンスターをバッタバッタと倒してくれるわよ!」
それで、今まで失敗しているんだろう? 兎に角注意する必要があるな。<感知>を発動すると、あぁ、居るわ。かなりのモンスターが奥に潜んでいる。頭痛で頭に手を当てていると、ミコトが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「大丈夫?」
「うん。大丈夫……。<感知>でこの洞窟を調べただけだから」
「へぇ。そんなこと出来るんだ。便利ね。で、どうなの?」
「そうだな。この洞窟、単純に奥へと一本道が続くだけだな。で、かなりのモンスターが蠢いている。その内の一グループがこっちに向かって来ているな」
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