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雨は嫌いだ。
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雨が嫌いだ。
朝アイロンをかけた前髪が割り箸を乗せられるほどにカールする。癖毛の人間には湿気と雨は大敵だ。何をどうしても髪が決まらず、終いには全てを悟り、諦める。雨はどうしても好きになれない。
折角の一張羅であるセレクトショップで買った艶のある灰っぽいセットアップに水滴が付く。雨宿りするたびにハンカチで水滴を飛ばすがそれもあまり意味がないように思える。ハンカチが徐々に水を含んでいく。
「雨なんてツいてない。こんな人がいるのに雨男の方が多いなんてことある?」
待ち合わせているグループにメッセージを送る。
「それな」
「だるいわ」
なんて返信が次々画面に表示されるのを横目に携帯をポケットに入れる。孤独感を拭う。
袴を着て髪を盛った女子大生とスーツ姿の男子大学生が武道館に向かって押し寄せる。片手には大学からもらえる卒業祝い、もう片手には最近「エモい」と言われブームになっている写ルンですを持っている。名前も知らない顔見知り達と目が合い、挨拶を交わす。名前が出ないから適当にあしらって人混みを掻き分ける。
待ち合わせをしていた友人達と合流し、武道館の前で写真を数枚取り満足したのか卒業式には参列せず、昼食を食べることにした。
一度行ったら忘れない、声に特徴を持つオヤジとその息子夫婦の3人でやっているイタリアンだ。日替わりとは書いてあるが大体いつも同じランチメニュー。それぞれが学生時代食べていたメニューを注文し、そこに懐かしさを覚える。酸味の効きすぎた前菜のサラダと何度も水のおかわりを持ってくる店主もまた懐かしい。いつもと違うのはパスタのソースがシャツに付かないように丁寧に食べていることくらいだ。
「イタリアだとスプーンを使ってパスタ食べないらしいよ。あの方法は上手に食べられない人がする方法らしいよ」
「へぇ~」
各々反応はするもののリアクションは薄い。
お互いの職場の話、彼女の話、パチンコ、車、時計の話をする。去年一昨年みんなでやっていたソシャゲの話は一切でない、合宿でよくやっていた家庭用ゲーム機に新作がでるなんて話もしない。会話の内容に変遷に、寂しさと大人に近づいているという感覚を与えられる。
中学、高校の頃はもっと今の時期は大人びていると思っていた。現実はというとあの頃と精神年齢はまるで変わっていない。変わったといえば酒タバコを嗜むことができるようになったことと、人に話せないどうしようも無い失恋が増えたことだろうか。
趣味にバイトに就活にゼミ、卒論、当たり障りのないそれなりに充実した大学生活を送り、それが終わりを迎える。
これから待っているのは奨学金という名の借金の返済とスーツに身を包み週5で身を粉にし、残りの決まったレールを歩み続けるだけだ。
朝アイロンをかけた前髪が割り箸を乗せられるほどにカールする。癖毛の人間には湿気と雨は大敵だ。何をどうしても髪が決まらず、終いには全てを悟り、諦める。雨はどうしても好きになれない。
折角の一張羅であるセレクトショップで買った艶のある灰っぽいセットアップに水滴が付く。雨宿りするたびにハンカチで水滴を飛ばすがそれもあまり意味がないように思える。ハンカチが徐々に水を含んでいく。
「雨なんてツいてない。こんな人がいるのに雨男の方が多いなんてことある?」
待ち合わせているグループにメッセージを送る。
「それな」
「だるいわ」
なんて返信が次々画面に表示されるのを横目に携帯をポケットに入れる。孤独感を拭う。
袴を着て髪を盛った女子大生とスーツ姿の男子大学生が武道館に向かって押し寄せる。片手には大学からもらえる卒業祝い、もう片手には最近「エモい」と言われブームになっている写ルンですを持っている。名前も知らない顔見知り達と目が合い、挨拶を交わす。名前が出ないから適当にあしらって人混みを掻き分ける。
待ち合わせをしていた友人達と合流し、武道館の前で写真を数枚取り満足したのか卒業式には参列せず、昼食を食べることにした。
一度行ったら忘れない、声に特徴を持つオヤジとその息子夫婦の3人でやっているイタリアンだ。日替わりとは書いてあるが大体いつも同じランチメニュー。それぞれが学生時代食べていたメニューを注文し、そこに懐かしさを覚える。酸味の効きすぎた前菜のサラダと何度も水のおかわりを持ってくる店主もまた懐かしい。いつもと違うのはパスタのソースがシャツに付かないように丁寧に食べていることくらいだ。
「イタリアだとスプーンを使ってパスタ食べないらしいよ。あの方法は上手に食べられない人がする方法らしいよ」
「へぇ~」
各々反応はするもののリアクションは薄い。
お互いの職場の話、彼女の話、パチンコ、車、時計の話をする。去年一昨年みんなでやっていたソシャゲの話は一切でない、合宿でよくやっていた家庭用ゲーム機に新作がでるなんて話もしない。会話の内容に変遷に、寂しさと大人に近づいているという感覚を与えられる。
中学、高校の頃はもっと今の時期は大人びていると思っていた。現実はというとあの頃と精神年齢はまるで変わっていない。変わったといえば酒タバコを嗜むことができるようになったことと、人に話せないどうしようも無い失恋が増えたことだろうか。
趣味にバイトに就活にゼミ、卒論、当たり障りのないそれなりに充実した大学生活を送り、それが終わりを迎える。
これから待っているのは奨学金という名の借金の返済とスーツに身を包み週5で身を粉にし、残りの決まったレールを歩み続けるだけだ。
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