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エピローグ
午後のワクカブ
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梅雨の晴れ間の午後、ワクカブは、新居城跡へと足を運んでいた。
そこにはかつての城の姿はなく、模擬天守と石碑がひっそりと立っている。
歴史を刻んだ城というより、近所の公園に佇む“再現された何か”だ。
でも——それでもいい、とワクカブは思う。
「模擬かどうかって、そんなに大事なことかな」
誰に言うでもない、独り言だった。
しんと静かな午後の空気が、その言葉をふわりと包み込んだ。
ふと、足元に目をやると、雑草の隙間に小さな茶色いキノコが顔を出していた。
あまりに可愛らしいその姿に、思わず笑みがこぼれる。
「お城とキノコ……なんか、あの有名なゲームみたいだな」
かつての悲しみも、出会えなかった人も、消えてはいない。
でも、こうしてワクカブは歩き続けている。自分の足で、静かに、しみじみと。
帰り道、紅茶専門店で見つけた、ちょっといいもの。
世界三大銘茶の一つ——ダージリン。
その香りの高さから「紅茶のシャンパン」とも呼ばれる、特別な茶葉。
帰宅後、お気に入りのカップにお湯を注ぎ、しばし蒸らす。
部屋にふわりと広がる、優雅な香り。
ワクカブはそっとひと口、味わった。
酸味も渋みも、今の午後にはちょうどいい。
珈琲時間は、ここで終わる。
けれど、ワクカブの野望は——まだ終わらない。
「今度はどこの城へ行こうか」
そうつぶやくと、彼は御朱印帳の空白ページをながめながら、
ゆっくりと立ち上がった。
【ワクカブの野望・完】
そこにはかつての城の姿はなく、模擬天守と石碑がひっそりと立っている。
歴史を刻んだ城というより、近所の公園に佇む“再現された何か”だ。
でも——それでもいい、とワクカブは思う。
「模擬かどうかって、そんなに大事なことかな」
誰に言うでもない、独り言だった。
しんと静かな午後の空気が、その言葉をふわりと包み込んだ。
ふと、足元に目をやると、雑草の隙間に小さな茶色いキノコが顔を出していた。
あまりに可愛らしいその姿に、思わず笑みがこぼれる。
「お城とキノコ……なんか、あの有名なゲームみたいだな」
かつての悲しみも、出会えなかった人も、消えてはいない。
でも、こうしてワクカブは歩き続けている。自分の足で、静かに、しみじみと。
帰り道、紅茶専門店で見つけた、ちょっといいもの。
世界三大銘茶の一つ——ダージリン。
その香りの高さから「紅茶のシャンパン」とも呼ばれる、特別な茶葉。
帰宅後、お気に入りのカップにお湯を注ぎ、しばし蒸らす。
部屋にふわりと広がる、優雅な香り。
ワクカブはそっとひと口、味わった。
酸味も渋みも、今の午後にはちょうどいい。
珈琲時間は、ここで終わる。
けれど、ワクカブの野望は——まだ終わらない。
「今度はどこの城へ行こうか」
そうつぶやくと、彼は御朱印帳の空白ページをながめながら、
ゆっくりと立ち上がった。
【ワクカブの野望・完】
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