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Side : ケン 1 修行の日々
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ケンはそのころどうしていたかというと、一生懸命地味な訓練を続けていた。
すぐさま、ふつうに空中浮遊してみたり、50メートルプールを歩いて若しくは走って渡ったり、デッカいビルを根元からズクズクにして倒壊させるとか、3階のフロアだけぶっこ抜くとか、ただの水をワインに替えるとか、やってはいけないことだけれど、未来に少し飛んで菊花賞の勝ち馬をたまたま知ってしまい、2012年8月4日の新潟第5R、メイクデビュー(芝1400)で発生した払戻金(3連単)2983万2950円の歴代最高配当を上回る馬券とは知らずにたまたま買ってしまったり、やってはいけないことだけれど、女子更衣室の生着替えをこっそり目撃してしまったり、現時点で世界で一番速い鉄道の最高速度である時速603kmを記録したリニアモータカーとレースをやって軽々と抜き去るとか、やってはいけないことだけれど女風呂を透視するとか、世界中を瞬間移動で飛び回るとか、やってはいけないことだれど大好きな推しメンの部屋をちょっと覗いてみるとか、いろいろやりまくりたかったがそんな一朝一夕に、超人になれるわけもなかった。
あの鬼滅でも、はじめの鍛錬だか修行の時間が長すぎるのではないかとの編集者サイドの意見に対して吾峠呼世春先生は、一般人がそんなに急に強くなれるはずがないので修行の描写の短縮はしないと譲らなかったというエピソードがあるくらいだし、話が進まないことに業を煮やして、というか作者自身も基礎鍛錬に励む単調な反復練習に時間を割いて重ねて描いていくのも、結構ツライという内情もあるやもしれなかったが、やはり端折ってしまうのはいろいろよくないのかもしれず、やはりトレーニングの日々をないがしろにしてしまうならば、つまらない小説がさらに輪を描いてつまらなくなりそうではあった。
それで、ぶっちゃけその単調な繰り返し作業を書いてみると、ランダムナンバージェネレーターというサイトでランダムに繰り出されてくる数字を、任意に1~100の中から5つとか設定し、頭に思い描いた数字をコンピュータに強引に出させるとか、真っ直ぐに伸ばしたクリップを消しゴムに刺して台座にし、クリップの一方の尖った先に小さな紙片で風車みたいなやつを作ってのせて、念力で回転さるとかティッシュを一枚浮かせてみるとか、トランプの数字を透視するとか、街角で次に角を曲がって来るのは男性か女性かを予想したり、電車に乗り合わせた見知らぬ人を念で呼び続け、こちらを向かせるとか延々とやり続けるのだ。
誰でもやればできるという先例があれば、なかなか結果がでなくともなんとか頑張り続けられるかもしれないが、誰もがそんな、たわけたまねをして大切な時間を潰してしまうなら、ゲームでもやっていた方がよっぽど楽しくて精神衛生上もいいというだろう。
たしかに、それはまちがってはいない。だが、ケンは実体験としてナオトの部屋でスプーンやらフォークを何本も曲げて使い物にならなくしてしまったり、なんでそんなマネをしたのか自分でもわからないが、たまたま電車で横に座った見知らぬ若い女性に、思いっ切りキスしたいとか好きだとか心の中で話しかけていたら、その女性が驚いたようにケンをマジマジと見たということがあり、ケンはヤバいと思いうつむいたまま、しらばっくれていたが女性は降車する際にもケンをジッと見つめていたということがあった。
あるいは、地下鉄の乗り換えの際の移動中に、向こうから来るリーマン風中年男性に対して、「ウザいんだよ、ジジィ」と心の中で呟いてしまったケンを、その男性はすれ違いざまケンの棘のある言葉に傷ついたように憮然とした表情で見返してきたということもあった。
だから、ケンとしては必ず何かあるという思いがあるのだった。恋人同士ならば喋らなくても以心伝心みたいなことは確かにあるだろうし、あとこれは冗談でもやって欲しくはないが、例えば四六時中、「死にたい!死にたい!」と考えていると本当にそういう状況になってしまうということは容易に想像できるのだった。
なので、人の想念は目に見えないものだから存在しないのではなく、目に見えないだけで、とんでもないパワーがあるとケンは思わざるを得ないのだ。
具体的な訓練は、少しでもやってみればすぐわかるが、全力で脱力し気持ちだけ強く念じるというのは、かなりムズイのだった。
腕力を使わないで、念だけ通すというコツを掴むまで繰り返し繰り返しやるしかない。しかし、なかなか容易に会得できるものではないし、雲を掴むような話なので忍耐がいる。
だが、どんな仕事やスポーツでもコツコツと毎日積み上げていくしかないのだから、まして超能力などというノウハウのないスキルを習得するのは、自分で試行錯誤を繰り返すほかないのだった。
あとは、まあ絶対できると信じることだろう。これもまた、新しい技を習得するとか、自己記録を更新するアスリートにはあたりまえのことで、絶対できるという強いメンタル、そして、できている自分を強く心の中でトレースする、イメトレは言うに及ばず重要だ。
実は、驚くべきことに脳は実際に行ったことと、鮮明にイメージしたことを区別できないらしい。なので未だ結果がついてこないケンもアスリートを見習って頑張るしかないなと思うのだった。
すぐさま、ふつうに空中浮遊してみたり、50メートルプールを歩いて若しくは走って渡ったり、デッカいビルを根元からズクズクにして倒壊させるとか、3階のフロアだけぶっこ抜くとか、ただの水をワインに替えるとか、やってはいけないことだけれど、未来に少し飛んで菊花賞の勝ち馬をたまたま知ってしまい、2012年8月4日の新潟第5R、メイクデビュー(芝1400)で発生した払戻金(3連単)2983万2950円の歴代最高配当を上回る馬券とは知らずにたまたま買ってしまったり、やってはいけないことだけれど、女子更衣室の生着替えをこっそり目撃してしまったり、現時点で世界で一番速い鉄道の最高速度である時速603kmを記録したリニアモータカーとレースをやって軽々と抜き去るとか、やってはいけないことだけれど女風呂を透視するとか、世界中を瞬間移動で飛び回るとか、やってはいけないことだれど大好きな推しメンの部屋をちょっと覗いてみるとか、いろいろやりまくりたかったがそんな一朝一夕に、超人になれるわけもなかった。
あの鬼滅でも、はじめの鍛錬だか修行の時間が長すぎるのではないかとの編集者サイドの意見に対して吾峠呼世春先生は、一般人がそんなに急に強くなれるはずがないので修行の描写の短縮はしないと譲らなかったというエピソードがあるくらいだし、話が進まないことに業を煮やして、というか作者自身も基礎鍛錬に励む単調な反復練習に時間を割いて重ねて描いていくのも、結構ツライという内情もあるやもしれなかったが、やはり端折ってしまうのはいろいろよくないのかもしれず、やはりトレーニングの日々をないがしろにしてしまうならば、つまらない小説がさらに輪を描いてつまらなくなりそうではあった。
それで、ぶっちゃけその単調な繰り返し作業を書いてみると、ランダムナンバージェネレーターというサイトでランダムに繰り出されてくる数字を、任意に1~100の中から5つとか設定し、頭に思い描いた数字をコンピュータに強引に出させるとか、真っ直ぐに伸ばしたクリップを消しゴムに刺して台座にし、クリップの一方の尖った先に小さな紙片で風車みたいなやつを作ってのせて、念力で回転さるとかティッシュを一枚浮かせてみるとか、トランプの数字を透視するとか、街角で次に角を曲がって来るのは男性か女性かを予想したり、電車に乗り合わせた見知らぬ人を念で呼び続け、こちらを向かせるとか延々とやり続けるのだ。
誰でもやればできるという先例があれば、なかなか結果がでなくともなんとか頑張り続けられるかもしれないが、誰もがそんな、たわけたまねをして大切な時間を潰してしまうなら、ゲームでもやっていた方がよっぽど楽しくて精神衛生上もいいというだろう。
たしかに、それはまちがってはいない。だが、ケンは実体験としてナオトの部屋でスプーンやらフォークを何本も曲げて使い物にならなくしてしまったり、なんでそんなマネをしたのか自分でもわからないが、たまたま電車で横に座った見知らぬ若い女性に、思いっ切りキスしたいとか好きだとか心の中で話しかけていたら、その女性が驚いたようにケンをマジマジと見たということがあり、ケンはヤバいと思いうつむいたまま、しらばっくれていたが女性は降車する際にもケンをジッと見つめていたということがあった。
あるいは、地下鉄の乗り換えの際の移動中に、向こうから来るリーマン風中年男性に対して、「ウザいんだよ、ジジィ」と心の中で呟いてしまったケンを、その男性はすれ違いざまケンの棘のある言葉に傷ついたように憮然とした表情で見返してきたということもあった。
だから、ケンとしては必ず何かあるという思いがあるのだった。恋人同士ならば喋らなくても以心伝心みたいなことは確かにあるだろうし、あとこれは冗談でもやって欲しくはないが、例えば四六時中、「死にたい!死にたい!」と考えていると本当にそういう状況になってしまうということは容易に想像できるのだった。
なので、人の想念は目に見えないものだから存在しないのではなく、目に見えないだけで、とんでもないパワーがあるとケンは思わざるを得ないのだ。
具体的な訓練は、少しでもやってみればすぐわかるが、全力で脱力し気持ちだけ強く念じるというのは、かなりムズイのだった。
腕力を使わないで、念だけ通すというコツを掴むまで繰り返し繰り返しやるしかない。しかし、なかなか容易に会得できるものではないし、雲を掴むような話なので忍耐がいる。
だが、どんな仕事やスポーツでもコツコツと毎日積み上げていくしかないのだから、まして超能力などというノウハウのないスキルを習得するのは、自分で試行錯誤を繰り返すほかないのだった。
あとは、まあ絶対できると信じることだろう。これもまた、新しい技を習得するとか、自己記録を更新するアスリートにはあたりまえのことで、絶対できるという強いメンタル、そして、できている自分を強く心の中でトレースする、イメトレは言うに及ばず重要だ。
実は、驚くべきことに脳は実際に行ったことと、鮮明にイメージしたことを区別できないらしい。なので未だ結果がついてこないケンもアスリートを見習って頑張るしかないなと思うのだった。
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