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Side :ケン 3 臨死体験
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しかし、要は誰しもが持っているその精神エネルギーを拡散せずにどうやって一点に集中させるかということではないか。集中させて放出だか解放する術を会得しなければならない。
まあ、とにかくお金もらっちゃったんだし、その分は訓練しないとなと思うケンなのだった。結果はどうあれ目標に向かって努力しなければならない。ケンはまちがいなく生真面目なA型だった。
いろいろぶつくさいいながら、それでもケンはルーティンなエクササイズをこなしはじめた。
ところが、集中して小一時間ほどやっていただろうか、どこからともなく静謐な音楽が漂うように流れてくるや不意に猛烈な睡魔に襲われたのだった。
そして、次に目覚めた時には薄暗がりのジャングルみたいなところにケンはいた。熱帯雨林のジャングルが突然東京に出現するはずもない。
何者かに眠らされて連れて来られたのだろうか。予知能力が自分にあるとは思えないが、ケンはイヤな予感しかしなかった。
まさか、バケモノとか猛獣とか、あるいはアナコンダみたいな大蛇がいつ出てきてもおかしくはないシチュエーションだった。
そして、案の定お客さんがいらしたようだ。鳴き声は聞こえはしないが受けたことがないような獰猛な圧力をケンは感じた。頬がピリピリするほどだ。
現われたのはスライムのバケモノみたいなやつだった。ドロドロと変幻自在に形状を変えながら近づいてきたそれは、ケンの5メートル先くらいで移動をやめるのと同時に、ひとつのフォルムに固まった。
半透明だからまだよかったが、ご丁寧に色まで変えて肉色になっていたならば、ケンは鼻血を出していたかもしれない。
なんとそれは、ヒトの女性器を象っていたからだ。ケンもマジマジと間近で見たことはないので、よくは知らないのだが、間違いなく女性のそれだった。
どういうつもりなのだろう、このスライム野郎は。ケンはなんとなくこのスライムが憎めないヤツだなと思った。表情はうかがえないのでわからないが、笑っていそうな気がしたのだ。
だが、相手を油断させておいてピュッピュッと毒汁か何かヤバい液を放出する意図があるのかもしれず、油断大敵だ。
そして、ケンの当たってほしくない予想は、見事に的中したのだった。スライム的な何かは、さらに毒毒しい巨大な食虫植物であるラフレシアに変貌を遂げると、ケンに向けてチュバッ、チュバッと2度ドロドロの粘液めいた汁を放出したのだった。
粘っこいそれは、マジに腐ったような臭いがしてケンは思わず吐きそうになった。咄嗟にケンは頭を下げ右腕で防御したからよかったものの、目に入っていたら眼球が腐りそうな気がした。
しかし、食虫植物的な消化液ではないようなのは不幸中の幸いだったのかもしれない。などと思っていたケンだったが腐敗臭が臭すぎてクラクラと眩暈がしはじめた。
ヤバイどうにかしなければやられてしまうと思うがやがて意識が朦朧となりケンは前屈みになったまま、そこに崩折れた。
ケンはやがて意識を回復し、まだ死んではいない自分をそこに発見する。が、休む間もなく更に強力な牙を持つアゴだけのモンスターが現われ喰い殺されそうになる。
あるいは、巨大なゴーレムに叩き潰されそうになったり、ギャオスみたいな怪鳥に眼玉を突かれそうになったり、高層ビルや駅のホームから突き落とされたりと、とにかくシンプルに臨死体験を繰り返し繰り返し体験させられるのだった。
終いにはさすがのケンも何か狙いがあるのだなと考えはじめた。ただ単に殺すつもりならば少なくとももう100回は死んでいるはずなのだ。
これは、つまり。
ケンの能力を強制的に発動させる究極の修行なのかもしれない。ギリギリまでケンを追い詰めて潜在能力を抽き出す狙いがあるのかもしれない。
と、そこでケンの内耳にといえばいいだろうか、実際にハンスの声が外耳を通して聞こえてきたのではなく、ケンの頭の中で響いた。いわゆる念話というやつだ。
「ケンくん、やっと気がついてくれたみたいなので、うれしいかぎりだな。君の考えた通り、強制的にチカラを発動させるトレーニングを繰り返し体験してもらった。まだチカラが発現する経路が出来上がっていないから、何も感じないだろうけどね。幾度となく死に直面していくことによって、自然に肉体から抜け出してしまうことが出来るようになる。それが、いわゆる物理的世界からの解脱ということだね。そうなったらかなり自由になるよ」
「いや、わかりますけど、それってもう死んでるってことでは? とにかくまだまだこれから先臨死体験を繰り返し繰り返し延々とさせられるなんて、マジでもう本当に死んだ方がマシ。死の瞬間の恐怖ったらないし。俺もともと絶叫マシン系のヤツ駄目なんですよ。ディズニーのガジェットのコースターですら生きた心地しないんですから」
「そうなんだ。確かにね、ビルから飛び降りて生垣やアスファルトに激突するその自殺の瞬間をこれから死ぬほど繰り返し再現していくというのは、かなりつらいものがあるよね」
「まあ、ディシプリンですか? 反復練習して身体に叩き込まなきゃならないのはわかりますけどね。泣きたい気分だな」
「まあまあ。そう言わずに。でね、ケンくんに提案なんだけど、他にも修行の方法はまだまだあるからそっち試してみる?」
「そうですね。臨死体験は恐ろしすぎる。あれは何度やっても慣れることはないですよ」
「わかった。じゃあ、今日はここまでということで、次からは新しい修行をしてもらうよ。お楽しみに」
まあ、とにかくお金もらっちゃったんだし、その分は訓練しないとなと思うケンなのだった。結果はどうあれ目標に向かって努力しなければならない。ケンはまちがいなく生真面目なA型だった。
いろいろぶつくさいいながら、それでもケンはルーティンなエクササイズをこなしはじめた。
ところが、集中して小一時間ほどやっていただろうか、どこからともなく静謐な音楽が漂うように流れてくるや不意に猛烈な睡魔に襲われたのだった。
そして、次に目覚めた時には薄暗がりのジャングルみたいなところにケンはいた。熱帯雨林のジャングルが突然東京に出現するはずもない。
何者かに眠らされて連れて来られたのだろうか。予知能力が自分にあるとは思えないが、ケンはイヤな予感しかしなかった。
まさか、バケモノとか猛獣とか、あるいはアナコンダみたいな大蛇がいつ出てきてもおかしくはないシチュエーションだった。
そして、案の定お客さんがいらしたようだ。鳴き声は聞こえはしないが受けたことがないような獰猛な圧力をケンは感じた。頬がピリピリするほどだ。
現われたのはスライムのバケモノみたいなやつだった。ドロドロと変幻自在に形状を変えながら近づいてきたそれは、ケンの5メートル先くらいで移動をやめるのと同時に、ひとつのフォルムに固まった。
半透明だからまだよかったが、ご丁寧に色まで変えて肉色になっていたならば、ケンは鼻血を出していたかもしれない。
なんとそれは、ヒトの女性器を象っていたからだ。ケンもマジマジと間近で見たことはないので、よくは知らないのだが、間違いなく女性のそれだった。
どういうつもりなのだろう、このスライム野郎は。ケンはなんとなくこのスライムが憎めないヤツだなと思った。表情はうかがえないのでわからないが、笑っていそうな気がしたのだ。
だが、相手を油断させておいてピュッピュッと毒汁か何かヤバい液を放出する意図があるのかもしれず、油断大敵だ。
そして、ケンの当たってほしくない予想は、見事に的中したのだった。スライム的な何かは、さらに毒毒しい巨大な食虫植物であるラフレシアに変貌を遂げると、ケンに向けてチュバッ、チュバッと2度ドロドロの粘液めいた汁を放出したのだった。
粘っこいそれは、マジに腐ったような臭いがしてケンは思わず吐きそうになった。咄嗟にケンは頭を下げ右腕で防御したからよかったものの、目に入っていたら眼球が腐りそうな気がした。
しかし、食虫植物的な消化液ではないようなのは不幸中の幸いだったのかもしれない。などと思っていたケンだったが腐敗臭が臭すぎてクラクラと眩暈がしはじめた。
ヤバイどうにかしなければやられてしまうと思うがやがて意識が朦朧となりケンは前屈みになったまま、そこに崩折れた。
ケンはやがて意識を回復し、まだ死んではいない自分をそこに発見する。が、休む間もなく更に強力な牙を持つアゴだけのモンスターが現われ喰い殺されそうになる。
あるいは、巨大なゴーレムに叩き潰されそうになったり、ギャオスみたいな怪鳥に眼玉を突かれそうになったり、高層ビルや駅のホームから突き落とされたりと、とにかくシンプルに臨死体験を繰り返し繰り返し体験させられるのだった。
終いにはさすがのケンも何か狙いがあるのだなと考えはじめた。ただ単に殺すつもりならば少なくとももう100回は死んでいるはずなのだ。
これは、つまり。
ケンの能力を強制的に発動させる究極の修行なのかもしれない。ギリギリまでケンを追い詰めて潜在能力を抽き出す狙いがあるのかもしれない。
と、そこでケンの内耳にといえばいいだろうか、実際にハンスの声が外耳を通して聞こえてきたのではなく、ケンの頭の中で響いた。いわゆる念話というやつだ。
「ケンくん、やっと気がついてくれたみたいなので、うれしいかぎりだな。君の考えた通り、強制的にチカラを発動させるトレーニングを繰り返し体験してもらった。まだチカラが発現する経路が出来上がっていないから、何も感じないだろうけどね。幾度となく死に直面していくことによって、自然に肉体から抜け出してしまうことが出来るようになる。それが、いわゆる物理的世界からの解脱ということだね。そうなったらかなり自由になるよ」
「いや、わかりますけど、それってもう死んでるってことでは? とにかくまだまだこれから先臨死体験を繰り返し繰り返し延々とさせられるなんて、マジでもう本当に死んだ方がマシ。死の瞬間の恐怖ったらないし。俺もともと絶叫マシン系のヤツ駄目なんですよ。ディズニーのガジェットのコースターですら生きた心地しないんですから」
「そうなんだ。確かにね、ビルから飛び降りて生垣やアスファルトに激突するその自殺の瞬間をこれから死ぬほど繰り返し再現していくというのは、かなりつらいものがあるよね」
「まあ、ディシプリンですか? 反復練習して身体に叩き込まなきゃならないのはわかりますけどね。泣きたい気分だな」
「まあまあ。そう言わずに。でね、ケンくんに提案なんだけど、他にも修行の方法はまだまだあるからそっち試してみる?」
「そうですね。臨死体験は恐ろしすぎる。あれは何度やっても慣れることはないですよ」
「わかった。じゃあ、今日はここまでということで、次からは新しい修行をしてもらうよ。お楽しみに」
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