クリシェ

トリヤマケイ

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Side :ナオト5 自然淘汰

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     バスから上がるとおねいさんは、打って変ってはしゃぎだした。

 何か、開き直った感じがしたけれど、ナオトの方は、逆に意気消沈してしまっていたので敢えてはしゃいで自分を鼓舞させようとしてくれているのだろうと思った。

 けれども、そこは若いナオト。ベッドの上でマッパのおねいさんと抱き合えば、ナーバスな気持ちなんてすぐ吹っ飛んでしまう。

 そして、ふたりはひとつになった。揺籃のなかでゆるゆると夢を食む赤子のように、ナオトは自然に目を瞑り夢のなかを彷徨っていった。おねいさんのきれいな巻き毛がさらさらと揺れているのがわかる。

 永遠にこのときが終わらなければいいのに、そうナオトは思った。だがやがて、くんずほぐれつしている内に、ひとかけらの快楽さえも逃さないように夢中になっているおねいさんの、その牝そのものの生態を見てしまったようで、ナオトは不意に醒めていく自分を感じた。

   そして、なにやらサディスティックな気持ちになった。

 本能のまま快感をむさぼり喰らう牝豚におねいさんが見えた。すると、自分でもわけがわからぬまま、おねいさんの首を後ろから絞めていた。

 おねいさんは、少し咳き込んだものの、動きを止めなかった。そしてまた、暫くしてナオトは首を絞めた。

 首を絞めるたびごとにおねいさんも一気に締まるのだった。更にナオトは今度は力を強めて、絞めてみた。

 キューッと、おねいさんも締まってナオトを締め付けた。たまらないと思いながらも、おねいさんの動きがぴたりと止ってしまって、ナオトは驚いた。

 おねいさんは、そのままゆっくりと前かがみに乱れたシーツのなかに倒れていった。

「大丈夫? ねえ!」

 ナオトは、今更になって自分のやった事の重大さに焦りまくった。この女(ひと)を、この手で殺してしまった!!

「ごめんよー、そんなつもりなかったんだよー」

「ねー、なんか言ってくれよー」

 客室にナオトの途方に暮れた声が木霊する。すすり泣きながら、ナオトは、後ろからおねいさんをきつく抱きしめた。

「好きだよ。好きだったんだよー!」

「愛してる。絶対愛してる。だから返事してくれよー」

 すると、おねいさんは、今まさに蘇生したようにくるりとナオトを振り返った。

「今のホント? 絶対、絶対ホント?」

 ナオトは、泣き笑いだ。

「馬鹿野郎、ざけんなよ! 嫌いだよ、おまえなんか大嫌いだ」

「あぁ。無理しちゃって。聞いたもんね。愛してるって泣きながら言ったもんね」

「うっせーよ」

「ね、じゃ、あなたの気持ちはわかったから、それを態度で示してちょうだい」

 そう言いながら、おねいさんはナオトに抱きついて、キスを求めた。

 ナオトは、キスをしながらおねいさんの頬を伝う涙に気づくと、やっぱ愛してるといったのは、まずかったかな、なんて思った……。





   こんな感じで、ナオトが『月明かりで本を読む会』という読書会終わりの恒例のロープのクジで引き当てたのは、妖艶なおばさまや、おねいさん、超絶美少女。そして中性的な美男子。

   ナオトには全員が、かなり怪しいとしか思えなかった。そして、そのうちの何人かと交渉を持ったのだけれど、すべて当てが外れた。

   もちろん、ナオトがただのやりたがりというわけではなく、ハンスにケットシーというネコの妖精を見つけ出してコンタクトを取るように言われていたのだった。

   そして、むろんそのケットシーは人間に成りすましているということであり、判別はかなり難しいだろうことは容易に想像できた。

   そして今夜も、また外れだった。ハズレはないはずなのに、相手の人が急遽欠席したらしい。

   余談になるが、ナオトには、実姉なのか、腹違いなのかもわからないが綺麗な姉がいるらしい。

   実はナオトが大病を患っていた時、週に一度お花を届けにきてくれる綺麗な女性がいた。

   彼女は、看護師さんにナオトの姉ですと名乗ったという。ナオトはそれを聞いた時に、なぜかやっぱり自分には姉がいたのだということを確信したのだった。

   いや、実際は、姉というものに憧れていたために、そう思い込むことが、ナオトにとっては快感だったのかもしれない。

   ナオトは、幼い頃からお姉ちゃんがほしかったし、お姉ちゃんがいるという、そんな生活を考えるだけで楽しかった。

   ラノベで妹が増殖し、人類と増殖し続ける『妹』との世界大戦にまで発展するお話があったけれど、なんなら、女はお母さんとお姉ちゃんだけでいいとさえナオトは思っている。

   そして、さらに言えばナオトはこのごろよく思うのだが、あまりにもこの世は、女ばかりではないかと思うことしきりなのだった。

   どこにいっても女、女、女。ほんとうにどこもかしこも若い女と、その昔若い女だった女と、女の子を連れた若いママと呼ばれる女ばかり、それこそ女の津波か、女の洪水やら、女の鉄砲水であるとか、女がうじゃうじゃそこらじゅうで溢れかえりこれから何年後かには、この地上には、オスであるヒトは、いなくなってしまうのではないだろうか。

   むろん、それは数年や数十年先のことではなく、数千年、数万年先の出来事であるとは思うが、しかし、その前に一度この世界は、滅んでしまうのかもしれない。

   つまり、それは、樹齢何百年もの五葉松などの盆栽が、なぜ、枯れずに美しい姿のまま生きているかを知ればよくわかるわけで、それは、二年か三年に一度は、鉢を変えて植え変えをするからであるらしい。

   つまり、そういったことをやらずに長生きすることは、不可能なのだ。だから、必ず天災やら戦争やらでヒトは、歴史的に大量に死ぬことになっているようだ。それは、つまり地球の浄化なのかもしれない。

   環境ホルモンやらの影響で、オスの精子自体の数が激減したり、海の生物であるメスのイボニシ貝に、ペニスと輸精管が形成されていたりと、もうかなりヤバイところまで地球は、来ているようなのだ。

   だから、例えばの話だけれどヒトのメスに、ある日突然ペニスが生えてくる、つまり、そういったカオス、無秩序な世界とならないように、人類はさらに自然淘汰されながら進化していかなければならないのだろう。








 
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