68 / 222
#68 もうすぐハロウィン🎃
しおりを挟む*月*日
ドッグタグというのは、いわゆる認識票のことで、軍隊における兵士の個人識別に用いられていた。その名の由来は、首から下げた認識票が犬の鑑札札(狂犬病予防法に基づく登録票)に似ていたことから、それになぞらえてドッグタグと呼ぶようになったらしい。しかし、そこには似ているというだけではなく、多分に自嘲的な皮肉の意味合いが込められているようだ。
旧日本陸軍における認識票は、小判型の真鍮の板を上下の穴に紐を通して胴体にたすき掛けにしていたという。この認識票には、氏名、生年月日、性別、血液型、所属軍、認識番号、宗教等が打刻される。映画などで戦死した兵士の下げる二枚あるドッグタグの内の一枚を引きちぎるシーンを見受けるが、あれは戦死報告用に片方を回収し、残りの一枚は識別用に遺体に装着したままにするというわけだが、実はそれは誤りであるらしい。
実際には爆発などによって胴体が、上下に分かれてしまったような遺体の損傷が著しい場合に、足にも付けるために二枚あるのだという。また、戦地など遺体の収容先で、遺体をボディバッグに収める際に一枚をバッグのジッパーに付ける場合もあるようだ。
◇
ドラマ「ラジエーションハウスII」で軒下がマッチングアプリで見つけた彼女とレストランで食事をする際に、雑学を披露していた。
彼女いない歴=年齢のオレもマッチングアプリで連戦連敗なのだが、何かそのわけがわかったような気がした。
やっぱり女子は知性的な男にグッとくるのではないか。むろん、スポーツマンタイプな男が好きな人もいるだろうが、タッパもなく、シックスパックなんてすぐになれるわけもない、そんなオレが、いちばん手っ取り早く一家言あるような立派な人物に見えるようにするには雑学を披露する、ということではないのか。
そんな考えがあって、今回こそはうまくいくという意気込みでドッグタグの雑学を披露してみたのだった。
ドラマではギブスの雑学を披露した軒下だったが、オレもいろいろネタを漁ってみた。ギブスは、彼女の友人の怪我からの発想だろうが、なかなか意外性のあるアイテムだった。
やはり意外性が結構大切なのかもしれない。レアすぎて誰も知らないのでは意味はない。彼女も知ってはいるけれども滅多に日常的には使わない単語。そこでオレは、ドッグタグに行きついた。
彼女も洋画が好きだというから、知らないはずはない。実際、感触は悪くなかった。
だが、見事に今回も撃沈したのだった。
雑学を披露した後の彼女の微妙な微笑みを未だにオレは思い出す。まるでモナリザみたいな複雑な笑みだった。
でも、オレはくじけない。たぶん、雑学の選定を見誤ってしまったのだ。正しい選定に足りなかった何かがあるはずなのだ。
そしてオレは、またひとつ『気付き』を貰えた。
左目の下に刃物傷みたいなのがあるヤンキーと白い杖を持った女子のドラマを観ていて、気付いたのだ。
ヤンキーが職に就こうとするのだが、ことごとく断られてしまう。で、結局等身大のありのままの自分が一番だと思うのだが、まさにオレもそれな! と思った。
ヲタクのオレの自然体。それを見てもらえばいい。だから雑学もヲタク用語で行こう。
DD、TO、出禁、他界、最前管理、ガチ恋、リリイベ、ワンチャン何にするか。
『後方彼氏ヅラ』これに決めた!
自然体の自分、ありのままの自分を見てほしい。これでやっと推しと○○から卒業できる。そんな予感しかしない、独り寝の夜。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる