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子犬を拾う
【2】
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それに気をよくして、更に噛み痕をつけてやろうと肩のあたりに顔を寄せれば、こちらを見つめる二人とリキョウの視線がぶつかりあう。
「おわっ」
驚いたのリキョウだけ。
「なんだ、起きたのか」
ユーエンは慌てるようすもなく、無く二人の頭を撫でた。
「少しの間、向こうの部屋に二人で居てくれるか? 用事が済んだら主の許可を貰ってご飯を食べよう」
その言葉に、こくっと頷いて手をつないで寝室を出ていく二人。
その姿を見送った後に呆然とするリキョウの、かぶっている毛布を剥がして何事もなかったかのようにユーエンが口づけをしようと顔を近づけてくる。
「待て」
流石にやる気を削がれてしまった。ユーエンの顔面を抑えるように手を広げてそれを拒否する。
「萎えた」
ベッドから降りて脱ぎ散らかした服を着始める。
ユーエンは主が拒めば襲い掛かることはしない。そういう時の調教もちゃんとしてあるからだ。
完璧な調教に対して自画自賛する。だが、胸の奥深くではもどかしさを感じてしまう。矛盾しているとおもうが、それでももっと欲しがってもと考えてしまう。
「主、食事の用意をしても?」
「あぁ」
犬に育てのは自分だ。
期待する方が間違っているのに、あまりに馬鹿馬鹿しくて八つ当たりとばかりにユーエンの脛を蹴とばした。
部屋の隅の方で小さくなる二人に、
「こっちにこい」
と手招きをして食堂へと連れて行く。
ランプの灯りと暖かい湯気のたつキッチンで、改めて二匹の子犬たちを眺める。
とても愛らしい、同じ顔をした犬だ。すこし華奢だが、白い肌と真っ赤な唇がいろっぽい。
飼い犬である証の首輪、そして柔らかそうな白いシャツに半ズボン。ハイソックスと皮の靴。どの品も上等なもので、金持ちの飼い犬なのだろう。
「名前は?」
「僕はシアです。こちらはシユです」
シユを守るように背中に隠し、シアと名乗った赤毛がリキョウの前へ立つ。
「そうか。飼い主の確認の為に首輪を外させてもらう」
リキョウはシアの首輪を外し裏面を見る。首輪は犬が自ら外してはいけないのでリキョウが外す。
そして飼い主の連絡先を首輪の裏に記入しておくのは、犬を所有するためのルールの一つだ。
その名前を見た瞬間、リキョウは低く唸り声を上げる。
「お前等、アンデ家の犬か」
今の当主は愛犬家ではあるが、息子であるベルノルト・アンデに対しては悪評しか聞かない。
名家だという事を盾に権力を振りかざし犬たちを二束三文で手に入れる。飽きたら買った店にクレームをつけ新しい犬を手に入れるのだ。
そして綺麗な者が好きなようで、リキョウを何度も館に紹介しようとしていたが忙しいとすべて断っていた。
本当は強引にでも手に入れたいと思っているだろうが、リキョウに無理強いはできない。強力な後ろ盾がいるからだ。
「お前達は息子に飼われているのか?」
首輪を元に戻しそう尋ねれば、二人が違いますと首を横に振るう。
「僕達のご主人様は、アンデ家のご当主です」
小さく消え入りそうな声でそう答えたのはシユで。
「俺らは愛玩目的で飼われました」
と、シアが言葉を続けた。
「成程。そういう趣味の奴らもいるからな」
愛でて楽しむ飼い方。上等なものを与え着飾ったり、犬同士に性行為をさせて楽しむ。
犬を自慢したい奴等が集まってパーティを開くこともあるそうだ。
「何故、逃げだした?」
と、リキョウが尋ねればシアが逃げた理由を話しはじめた。
「おわっ」
驚いたのリキョウだけ。
「なんだ、起きたのか」
ユーエンは慌てるようすもなく、無く二人の頭を撫でた。
「少しの間、向こうの部屋に二人で居てくれるか? 用事が済んだら主の許可を貰ってご飯を食べよう」
その言葉に、こくっと頷いて手をつないで寝室を出ていく二人。
その姿を見送った後に呆然とするリキョウの、かぶっている毛布を剥がして何事もなかったかのようにユーエンが口づけをしようと顔を近づけてくる。
「待て」
流石にやる気を削がれてしまった。ユーエンの顔面を抑えるように手を広げてそれを拒否する。
「萎えた」
ベッドから降りて脱ぎ散らかした服を着始める。
ユーエンは主が拒めば襲い掛かることはしない。そういう時の調教もちゃんとしてあるからだ。
完璧な調教に対して自画自賛する。だが、胸の奥深くではもどかしさを感じてしまう。矛盾しているとおもうが、それでももっと欲しがってもと考えてしまう。
「主、食事の用意をしても?」
「あぁ」
犬に育てのは自分だ。
期待する方が間違っているのに、あまりに馬鹿馬鹿しくて八つ当たりとばかりにユーエンの脛を蹴とばした。
部屋の隅の方で小さくなる二人に、
「こっちにこい」
と手招きをして食堂へと連れて行く。
ランプの灯りと暖かい湯気のたつキッチンで、改めて二匹の子犬たちを眺める。
とても愛らしい、同じ顔をした犬だ。すこし華奢だが、白い肌と真っ赤な唇がいろっぽい。
飼い犬である証の首輪、そして柔らかそうな白いシャツに半ズボン。ハイソックスと皮の靴。どの品も上等なもので、金持ちの飼い犬なのだろう。
「名前は?」
「僕はシアです。こちらはシユです」
シユを守るように背中に隠し、シアと名乗った赤毛がリキョウの前へ立つ。
「そうか。飼い主の確認の為に首輪を外させてもらう」
リキョウはシアの首輪を外し裏面を見る。首輪は犬が自ら外してはいけないのでリキョウが外す。
そして飼い主の連絡先を首輪の裏に記入しておくのは、犬を所有するためのルールの一つだ。
その名前を見た瞬間、リキョウは低く唸り声を上げる。
「お前等、アンデ家の犬か」
今の当主は愛犬家ではあるが、息子であるベルノルト・アンデに対しては悪評しか聞かない。
名家だという事を盾に権力を振りかざし犬たちを二束三文で手に入れる。飽きたら買った店にクレームをつけ新しい犬を手に入れるのだ。
そして綺麗な者が好きなようで、リキョウを何度も館に紹介しようとしていたが忙しいとすべて断っていた。
本当は強引にでも手に入れたいと思っているだろうが、リキョウに無理強いはできない。強力な後ろ盾がいるからだ。
「お前達は息子に飼われているのか?」
首輪を元に戻しそう尋ねれば、二人が違いますと首を横に振るう。
「僕達のご主人様は、アンデ家のご当主です」
小さく消え入りそうな声でそう答えたのはシユで。
「俺らは愛玩目的で飼われました」
と、シアが言葉を続けた。
「成程。そういう趣味の奴らもいるからな」
愛でて楽しむ飼い方。上等なものを与え着飾ったり、犬同士に性行為をさせて楽しむ。
犬を自慢したい奴等が集まってパーティを開くこともあるそうだ。
「何故、逃げだした?」
と、リキョウが尋ねればシアが逃げた理由を話しはじめた。
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