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第9話 初クエストを終えて
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俺とエミリアはクエストの報酬を受け取りにギルドに戻ってきた。
そして、受付のエマのもとを訪れる。
「クエストクリアおめでとうございます。報酬の10万レードです。」
「おう、ありがとうエマ。確かに受けとったぜ。」
やったー。ようやくこの世界に来てお金を得ることができたぜ。しかも10万レードって結構な額らしいし、こりゃ今晩はごちそうだな。
「それにしてもB級クエストをあっさりクリアなんて、やっぱりユウトさんって凄いんですね」
「いやいや、そんな大したことないって。それに1人でクリアしたわけじゃないしな」
「そ、そうよ。あたしだって一緒にクリアしたんだからねっ」
俺だけが褒められるもんだから、エミリアがふくれっ面で言う。
「す、すみませんエミリアさん。エミリアさんの実力ももちろんわかってます。ほんとすみません」
慌ててぺこぺこ謝るエマ。普段しっかりしてるからこういう姿は新鮮だな。
「まあいいわよ。ユウトが凄いのは事実だしね」
「まあ、また明日以降もじゃんじゃんクエストやりに来るからよろしく」
「ええ、お待ちしています」
「じゃ、今日のところは帰るわ。あ、そうだエミリア。今日この後予定あるか?」
「いいえ、特にないわよ。夕食食べてお風呂入って寝るだけだしね」
「おお、そいつは良かった。じゃあこれから夕食食べに行こうぜ。この前おごってもらったし、今日は俺のおごりで」
「ほ、ほんと? そういうことならもちろん行くわよ」
「よし、決まりだな。じゃあレッツゴー」
俺とエミリアはギルドを後にした。
俺たちはギルドを出て5分くらいのとこにあった店に入って、現在食事にありついている。
「ああー、くっそー。ヴェノムオークを倒したってエマやギルドの冒険者たちに言いたかったなー」
「だからそれは駄目って、クエストからの帰り道に言ったでしょ」
「それは、まあ」
そう。俺はヴェノムオークを倒したことをエミリアに口止めされていた。その理由は、一撃で消し炭にしてしまったせいで倒した証拠がないということと、ガイをあっさり倒したりとただでさえ注目されているのに、ここでヴェノムオークを倒したとなれば一気に噂が広がり、危ない奴らに目をつけられかねないからだそうだ。
うーむ。正論すぎてぐうの音もでねえ。
まあ危ない奴らが来ても返り討ちにしてやるけどな。
「だけどさあ、ヴェノムオークを狩ったら1体につき100万レード貰えるんだろ? 黙ってるなんてもったいなすぎるぞ」
「それはあたしもそう思うわよ。でもしょうがないじゃない。あんたが一撃で消し飛ばさずに首の1つでも残してくれれば、証拠ありってことであたしだって倒したって言ってもいいかなとか考えたかもだけど。あとかたもなく消し飛ばしちゃったんだから、もう諦めるしかないわよ」
「はあ……」
俺は深くため息をついた。
「だいたいファイアボールがあんな威力なのがおかしいのよ。あんなの見たことないわ。あんたやっぱりいろいろと異常よ」
「俺だってあれは驚いたよ。そもそもちゃんと撃てるかすら不安だったんだからな」
「はあ……、なんかあんたならそのうち本当にS級冒険者になっちゃいそうな気がしてきたわ」
「まあまだE級なんだけどな。あ、そうだB級昇級クエストが今度あるんだったよな?」
「ええ、2週間後にあるわよ」
「それ、俺も受けようと思うんだ」
そう。俺はE級なんかにいつまでもとどまっているわけにはいかない。早く上の世界へいくのだ。
「へえ、いいんじゃない? あんたなら普通に昇級できると思うし」
「まあな。それでさ、質問なんだけど昇級クエストって1人で受けなきゃ駄目とかあるのか?」
「いいえ。3人までなら一緒に受けても問題ないわよ。ただし、受ける昇級クエスト以上のランクの冒険者は一緒には受けられないわ。要するに今回で言うと、B級冒険者以上の人と一緒には挑戦できないってことね」
ああ、なるほど。そりゃそうか。高いランクの冒険者と一緒にクエストを受けたりなんかしたら、簡単にクリアできちゃうもんな。まったくよくできてるぜ。
「ならさあ、一緒に昇級クエスト受けないか? せっかくパーティー組んでる訳だし」
「えっ、あたしと一緒に?」
「ああ」
「全然いいわよ。というかむしろ大歓迎だわ。あんたがいれば昇級間違いなしだしね」
「それは保証できんけど……。まあ、とにかく一緒に受けるの決定ってことでよろしく」
「ええ、こちらこそ」
その後夕食を食べ終わり、俺はまた宿をとることを忘れていたことに気付いて、エミリアの家に再び泊めてもらった。まあその夜も何もなかったがな!
3度目はさすがにないなということで、翌日朝一で宿をとりに行きました。
それからの2週間は、昼はクエストに挑み、夜はエマに貰った魔法大全を読んで魔法をいろいろと覚えたり、エミリアと一緒に剣の修業をしたりして過ごした。
俺の今までの人生の中でもトップクラスに充実していた期間だったと思う。
そして、そんなこんなであっという間に2週間が過ぎ、B級昇級クエスト当日がやってくるのだった。
そして、受付のエマのもとを訪れる。
「クエストクリアおめでとうございます。報酬の10万レードです。」
「おう、ありがとうエマ。確かに受けとったぜ。」
やったー。ようやくこの世界に来てお金を得ることができたぜ。しかも10万レードって結構な額らしいし、こりゃ今晩はごちそうだな。
「それにしてもB級クエストをあっさりクリアなんて、やっぱりユウトさんって凄いんですね」
「いやいや、そんな大したことないって。それに1人でクリアしたわけじゃないしな」
「そ、そうよ。あたしだって一緒にクリアしたんだからねっ」
俺だけが褒められるもんだから、エミリアがふくれっ面で言う。
「す、すみませんエミリアさん。エミリアさんの実力ももちろんわかってます。ほんとすみません」
慌ててぺこぺこ謝るエマ。普段しっかりしてるからこういう姿は新鮮だな。
「まあいいわよ。ユウトが凄いのは事実だしね」
「まあ、また明日以降もじゃんじゃんクエストやりに来るからよろしく」
「ええ、お待ちしています」
「じゃ、今日のところは帰るわ。あ、そうだエミリア。今日この後予定あるか?」
「いいえ、特にないわよ。夕食食べてお風呂入って寝るだけだしね」
「おお、そいつは良かった。じゃあこれから夕食食べに行こうぜ。この前おごってもらったし、今日は俺のおごりで」
「ほ、ほんと? そういうことならもちろん行くわよ」
「よし、決まりだな。じゃあレッツゴー」
俺とエミリアはギルドを後にした。
俺たちはギルドを出て5分くらいのとこにあった店に入って、現在食事にありついている。
「ああー、くっそー。ヴェノムオークを倒したってエマやギルドの冒険者たちに言いたかったなー」
「だからそれは駄目って、クエストからの帰り道に言ったでしょ」
「それは、まあ」
そう。俺はヴェノムオークを倒したことをエミリアに口止めされていた。その理由は、一撃で消し炭にしてしまったせいで倒した証拠がないということと、ガイをあっさり倒したりとただでさえ注目されているのに、ここでヴェノムオークを倒したとなれば一気に噂が広がり、危ない奴らに目をつけられかねないからだそうだ。
うーむ。正論すぎてぐうの音もでねえ。
まあ危ない奴らが来ても返り討ちにしてやるけどな。
「だけどさあ、ヴェノムオークを狩ったら1体につき100万レード貰えるんだろ? 黙ってるなんてもったいなすぎるぞ」
「それはあたしもそう思うわよ。でもしょうがないじゃない。あんたが一撃で消し飛ばさずに首の1つでも残してくれれば、証拠ありってことであたしだって倒したって言ってもいいかなとか考えたかもだけど。あとかたもなく消し飛ばしちゃったんだから、もう諦めるしかないわよ」
「はあ……」
俺は深くため息をついた。
「だいたいファイアボールがあんな威力なのがおかしいのよ。あんなの見たことないわ。あんたやっぱりいろいろと異常よ」
「俺だってあれは驚いたよ。そもそもちゃんと撃てるかすら不安だったんだからな」
「はあ……、なんかあんたならそのうち本当にS級冒険者になっちゃいそうな気がしてきたわ」
「まあまだE級なんだけどな。あ、そうだB級昇級クエストが今度あるんだったよな?」
「ええ、2週間後にあるわよ」
「それ、俺も受けようと思うんだ」
そう。俺はE級なんかにいつまでもとどまっているわけにはいかない。早く上の世界へいくのだ。
「へえ、いいんじゃない? あんたなら普通に昇級できると思うし」
「まあな。それでさ、質問なんだけど昇級クエストって1人で受けなきゃ駄目とかあるのか?」
「いいえ。3人までなら一緒に受けても問題ないわよ。ただし、受ける昇級クエスト以上のランクの冒険者は一緒には受けられないわ。要するに今回で言うと、B級冒険者以上の人と一緒には挑戦できないってことね」
ああ、なるほど。そりゃそうか。高いランクの冒険者と一緒にクエストを受けたりなんかしたら、簡単にクリアできちゃうもんな。まったくよくできてるぜ。
「ならさあ、一緒に昇級クエスト受けないか? せっかくパーティー組んでる訳だし」
「えっ、あたしと一緒に?」
「ああ」
「全然いいわよ。というかむしろ大歓迎だわ。あんたがいれば昇級間違いなしだしね」
「それは保証できんけど……。まあ、とにかく一緒に受けるの決定ってことでよろしく」
「ええ、こちらこそ」
その後夕食を食べ終わり、俺はまた宿をとることを忘れていたことに気付いて、エミリアの家に再び泊めてもらった。まあその夜も何もなかったがな!
3度目はさすがにないなということで、翌日朝一で宿をとりに行きました。
それからの2週間は、昼はクエストに挑み、夜はエマに貰った魔法大全を読んで魔法をいろいろと覚えたり、エミリアと一緒に剣の修業をしたりして過ごした。
俺の今までの人生の中でもトップクラスに充実していた期間だったと思う。
そして、そんなこんなであっという間に2週間が過ぎ、B級昇級クエスト当日がやってくるのだった。
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