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第13話 2体のゴーレム
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俺は下手に動かず、まずはゴーレム2体の出方をうかがう。
相手が1体ならば迷わず攻めるのだが、2体となると正直攻め込みづらい。
それはエミリアも同じらしく、剣を構えながらじっと相手を見ている。
ちなみにミーシャには部屋の端の方に避難してもらっている。戦闘に巻き込まれたらえらいことだからな。
そんなことを考えていたら俺とエミリアがなかなか動かないもんだから、しびれを切らして青い方のゴーレムが攻撃してきた。
右手に持つ巨大なハンマーを俺たちへ向かって振り下ろしてくる。
しかし、そのスピードはそこまで大したことはなく、俺とエミリアは簡単にそれを避ける。
これはスピードに関しては俺たちに分がありそうだな。よーし、だったら。
「くらえ! サンダーストーム!!」
俺は技後硬直で隙だらけの青いゴーレムに向けて、雷系上級魔法のサンダーストームを放つ。
雷の嵐が青いゴーレムを襲う、
「んん!?」
はずだったのだが、その身体に魔法が当たった瞬間魔法がかき消えてしまった。何だ今のは。
「ち、ちょっと何やってるのよ。せっかくの攻撃のチャンスだったのに魔法の発動失敗しないでよね」
「わ、悪い」
失敗? おかしいな。上手く撃てたと思ったんだが。
「まあいいわ。今度はあたしがいくわよ」
そう言ってエミリアが今度は赤い方のゴーレムに素早く斬りかかる。ゴーレムはその速度に反応しきれずエミリアの剣撃をまともにくら……わなかった。
「きゃあっ!」
エミリアの剣が赤いゴーレムの身体に当たった瞬間、バチンと音を立てて弾き飛ばされた。一体どうなってやがる。
「大丈夫か? エミリア」
俺はエミリアの元へ駆け寄り声をかける。
「え、ええ。でも今の何かしら。何か見えない壁に弾かれたような感覚だったわ」
「俺の魔法もなんか知らんが、かき消されたように感じたぞ」
「あ……、ちょっと待って。思い出したわ。昔なんかの本で読んだんだけど、レッドゴーレムは物理攻撃無効で、ブルーゴーレムは魔法攻撃無効化の特殊能力があるって書いてたわ。なんか体の表面に見えないシールドがあるらしいの」
「あー、なるほど」
だから俺が青いゴーレムもといブルーゴーレムに撃ったサンダーストームも、エミリアがレッドゴーレムに放った剣撃も効かなかったのか。
だがそうと分かれば戦い方を変えるだけだ。
俺はレッドゴーレムへ向かって魔法を放つ。
「物理攻撃は効かなくても魔法はくらうだろ! サンダーストーム!!」
レッドゴーレムに雷の嵐が襲いかかろうとするが、レッドゴーレムに当たる直前のとこでブルーゴーレムが盾となり、またしても魔法がかき消されてしまった。やってくれるぜ。
次にエミリアがブルーゴーレムに斬りかかっていくが、今度はレッドゴーレムが間に入り、攻撃は無効化されてしまった。なんという華麗なコンビネーション。
「凄い連携ね。思いのほか厄介だわ」
「ああ、だけどコンビネーションなら俺たちも負けてないはずだ」
「……へ? そ、そうかしら?」
「お、おい。そこは同意してくれよ。なんか恥ずかしいじゃねーか……」
「あら、ごめんなさい。急に変な事言うからつい……」
出会ってそこまで経ってないが、毎日のように一緒にクエストに挑み、毎晩のように一緒に修行したんだ。きっといい連携がとれるはずなのだ。
「と、とにかくだ。俺が魔法で攻撃するとブルーゴーレムが必ず間に入ってくる。あとは分かるな?」
「あー、なるほどね。とにかくやってみるわ」
「理解が速くて助かるぜ。じゃあいくぞ。 フリーズブラスト!!」
俺は再びレッドゴーレムに魔法攻撃を仕掛ける。当然のようにそれを防ぎにブルーゴーレムが間に入る。
魔法は打ち消されるが、今度はそれで終わらない。その瞬間をねらい、エミリアがブルーゴーレムに剣で鋭い一撃を浴びせる。
戦闘開始以来初めて攻撃がまともに入った。しかもただ入っただけではない。
エミリアは防御力の高いゴーレムの身体の弱点である関節部分に攻撃をくらわせたのだ。それによりブルーゴーレムに一撃でかなりのダメージを与える事が出来た。さすがだぜエミリア。
それからは完全に俺たちのペースだった。
エミリアが攻撃してレッドゴーレムが出てきたところを俺が魔法で攻撃し、俺が魔法攻撃してブルーゴーレムが出てきたらエミリアが剣で攻撃するという完璧な連携攻撃。
これにより、ゴーレム2体はどんどんボロボロになっていく。
「よーし、そろそろ。決めちまうか」
俺が勝ちを確信し、そう言った時だった。
2体のゴーレムが突然抱き合った。え? そういう関係なの?
抱き合ったゴーレムは融合していき、1体の紫色のゴーレムへと変身してしまった。
なんだかいつしかのヴェノムオークを思い出す色だなあ。
……待てよ? 赤と青が混じって紫になったわけだよな。なんか嫌な予感がするぞ。
エミリアも俺と同じで嫌な予感がしているのか若干顔が引きつっている。
試しに俺はファイアボールを撃ってみた。ファイアボールはゴーレムに当たった瞬間に打ち消された。
「エ、エミリア。剣で攻撃してみてくれ」
「え、ええ」
エミリアがゴーレムを剣で一突きするが、弾き飛ばされる。
「そ……そんな」
エミリアが絶望の声を上げる。
おいおいマジか……。
この紫のゴーレム、物理攻撃も魔法攻撃も無効化しやがった。それってつまりは無敵ってことじゃねえか。
俺たちが立ちつくしていると、ゴーレムが今度はこっちのターンだと言わんばかりに襲いかかってきた。や、やべえ。
絶望の第2ラウンドが開始された。
相手が1体ならば迷わず攻めるのだが、2体となると正直攻め込みづらい。
それはエミリアも同じらしく、剣を構えながらじっと相手を見ている。
ちなみにミーシャには部屋の端の方に避難してもらっている。戦闘に巻き込まれたらえらいことだからな。
そんなことを考えていたら俺とエミリアがなかなか動かないもんだから、しびれを切らして青い方のゴーレムが攻撃してきた。
右手に持つ巨大なハンマーを俺たちへ向かって振り下ろしてくる。
しかし、そのスピードはそこまで大したことはなく、俺とエミリアは簡単にそれを避ける。
これはスピードに関しては俺たちに分がありそうだな。よーし、だったら。
「くらえ! サンダーストーム!!」
俺は技後硬直で隙だらけの青いゴーレムに向けて、雷系上級魔法のサンダーストームを放つ。
雷の嵐が青いゴーレムを襲う、
「んん!?」
はずだったのだが、その身体に魔法が当たった瞬間魔法がかき消えてしまった。何だ今のは。
「ち、ちょっと何やってるのよ。せっかくの攻撃のチャンスだったのに魔法の発動失敗しないでよね」
「わ、悪い」
失敗? おかしいな。上手く撃てたと思ったんだが。
「まあいいわ。今度はあたしがいくわよ」
そう言ってエミリアが今度は赤い方のゴーレムに素早く斬りかかる。ゴーレムはその速度に反応しきれずエミリアの剣撃をまともにくら……わなかった。
「きゃあっ!」
エミリアの剣が赤いゴーレムの身体に当たった瞬間、バチンと音を立てて弾き飛ばされた。一体どうなってやがる。
「大丈夫か? エミリア」
俺はエミリアの元へ駆け寄り声をかける。
「え、ええ。でも今の何かしら。何か見えない壁に弾かれたような感覚だったわ」
「俺の魔法もなんか知らんが、かき消されたように感じたぞ」
「あ……、ちょっと待って。思い出したわ。昔なんかの本で読んだんだけど、レッドゴーレムは物理攻撃無効で、ブルーゴーレムは魔法攻撃無効化の特殊能力があるって書いてたわ。なんか体の表面に見えないシールドがあるらしいの」
「あー、なるほど」
だから俺が青いゴーレムもといブルーゴーレムに撃ったサンダーストームも、エミリアがレッドゴーレムに放った剣撃も効かなかったのか。
だがそうと分かれば戦い方を変えるだけだ。
俺はレッドゴーレムへ向かって魔法を放つ。
「物理攻撃は効かなくても魔法はくらうだろ! サンダーストーム!!」
レッドゴーレムに雷の嵐が襲いかかろうとするが、レッドゴーレムに当たる直前のとこでブルーゴーレムが盾となり、またしても魔法がかき消されてしまった。やってくれるぜ。
次にエミリアがブルーゴーレムに斬りかかっていくが、今度はレッドゴーレムが間に入り、攻撃は無効化されてしまった。なんという華麗なコンビネーション。
「凄い連携ね。思いのほか厄介だわ」
「ああ、だけどコンビネーションなら俺たちも負けてないはずだ」
「……へ? そ、そうかしら?」
「お、おい。そこは同意してくれよ。なんか恥ずかしいじゃねーか……」
「あら、ごめんなさい。急に変な事言うからつい……」
出会ってそこまで経ってないが、毎日のように一緒にクエストに挑み、毎晩のように一緒に修行したんだ。きっといい連携がとれるはずなのだ。
「と、とにかくだ。俺が魔法で攻撃するとブルーゴーレムが必ず間に入ってくる。あとは分かるな?」
「あー、なるほどね。とにかくやってみるわ」
「理解が速くて助かるぜ。じゃあいくぞ。 フリーズブラスト!!」
俺は再びレッドゴーレムに魔法攻撃を仕掛ける。当然のようにそれを防ぎにブルーゴーレムが間に入る。
魔法は打ち消されるが、今度はそれで終わらない。その瞬間をねらい、エミリアがブルーゴーレムに剣で鋭い一撃を浴びせる。
戦闘開始以来初めて攻撃がまともに入った。しかもただ入っただけではない。
エミリアは防御力の高いゴーレムの身体の弱点である関節部分に攻撃をくらわせたのだ。それによりブルーゴーレムに一撃でかなりのダメージを与える事が出来た。さすがだぜエミリア。
それからは完全に俺たちのペースだった。
エミリアが攻撃してレッドゴーレムが出てきたところを俺が魔法で攻撃し、俺が魔法攻撃してブルーゴーレムが出てきたらエミリアが剣で攻撃するという完璧な連携攻撃。
これにより、ゴーレム2体はどんどんボロボロになっていく。
「よーし、そろそろ。決めちまうか」
俺が勝ちを確信し、そう言った時だった。
2体のゴーレムが突然抱き合った。え? そういう関係なの?
抱き合ったゴーレムは融合していき、1体の紫色のゴーレムへと変身してしまった。
なんだかいつしかのヴェノムオークを思い出す色だなあ。
……待てよ? 赤と青が混じって紫になったわけだよな。なんか嫌な予感がするぞ。
エミリアも俺と同じで嫌な予感がしているのか若干顔が引きつっている。
試しに俺はファイアボールを撃ってみた。ファイアボールはゴーレムに当たった瞬間に打ち消された。
「エ、エミリア。剣で攻撃してみてくれ」
「え、ええ」
エミリアがゴーレムを剣で一突きするが、弾き飛ばされる。
「そ……そんな」
エミリアが絶望の声を上げる。
おいおいマジか……。
この紫のゴーレム、物理攻撃も魔法攻撃も無効化しやがった。それってつまりは無敵ってことじゃねえか。
俺たちが立ちつくしていると、ゴーレムが今度はこっちのターンだと言わんばかりに襲いかかってきた。や、やべえ。
絶望の第2ラウンドが開始された。
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