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10:焼肉奉行

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「隠し事?」
 穏便じゃない言葉だ。
「バーベキューの肉を気にしていたのは、焼けたか色で分からなかったからではないでしょうか」
 意味わかんない。
「色が良く分からない、色弱なのではないでしょうか」
 あ?
「生肉の赤い色と焼けた茶色の違いが分からないので、焼けたかどうか、判断できないのでしょう」
 それで、焼肉の時だけ、騒いでたのか。
 もしかしてだけど、その子には、色弱の自覚がないのかもしれない。
 だとしたら、隠し事ではないのかもしれない。
「あくまで、可能性の話ですよ」
 比奈子は、黙り込んだ。
 色弱であるならば、子供に遺伝する可能性もある。
 学生だから、そこまで考えての告白ではないのかもしれない。
 自分が色弱だとは分かってないのかもしれない。
 どうするのがいいのだろう?
 ここはじっくり、ビールでパパのお料理を食べながら、考え、
「カナタ君と、このお店来てもいいかな?」
 比奈子が、思いつめた顔で聞いてきた。
 それって。
「え、いいんじゃない。えと、その、おめでとう、乾杯」
「ありがとう、乾杯」
 雪さんが、にゃー、と鳴いた。
「おめでとうございます。どうぞ、ご贔屓に」
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