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第二部 第5章
580.送迎パーティー
しおりを挟むグランニッシュ帝国皇城内にあるいくつかの広間のうち、王たちの会議最終日の送迎パーティーが行われるのは、焔の間と呼ばれる大広間で、イーニアス殿下が貴族の前で初めて魔法を使用した場所でもある。
あの時は皇帝陛下も悪魔に操られていたし、イーニアス殿下も無理矢理魔法を使わされた事から、苦い記憶を持つ場所ではないだろうか。
そういえば、ノアがわたくしの教えた魔法コントロール法を、イーニアス殿下に伝えていたと聞いたのも、あの焔の間でしたわ。あの時は、ノアの記憶力に度肝を抜かれましたのよね。
「おかぁさま、アスでんか、だいじょうぶ……?」
わたくしとノアはディバイン公爵家の屋敷でお留守番なので、そろそろ始まるだろうパーティーを思ってか、ノアは先ほどからソワソワと心配している様子だ。
「大丈夫ですわ。イーニアス殿下には皇帝陛下と皇后様、それにノアのお父様も付いておりますもの」
「しょうね! アスでんか、みかた、たーくさん!」
「ええ。殿下には味方がたくさんおりますわ」
『アカもいるー!!』と妖精が付いている事をアピールするのは、ノアと契約している妖精のアオだ。今日も青いキノコ帽が主張している。
チロがそれを聞いたら、自分もいると言い出して大騒ぎになりそうですわ。ノアが宥めているのが目に浮かびますわね。
「お留守番組は、信じて待ちましょう」
「はい、おかぁさま」
未だ目覚めないチロが心配ではあるが、寝返りをうつなどはしているので、早く目覚める事を願うばかりだ。
「チロが目を覚ます前に、決着がつくかしら……」
ーーーーーーーーーーーーーーー
マルグレーテ皇后視点
「おおっ、これは利発そうな子だ!」
「何と可愛らしい!」
イーニアスの周りには各国の王たちが集まり、口々にその可愛さを称えている。
正式に立太子していないとはいえ、こういった場で皇子を紹介するという事は、皇太子に決まったも同然。今日の主役はイーニアスといっても過言はないから、注目の的なのよね。
そうでしょう。アタシの自慢の息子なのよ! なんて思いながら、こちらへやって来る王たちを捌いていく。話の内容は大体が新素材や新型馬車などのイザベル様関連だ。
こういう場では、ネロは外交には明るくないから、アタシがフォローしないと。イーニアスの事はもちろん心配だけど、ネロの方が頼りないのよね。ほら、今だって口の上手い王たちに手玉に取られそうになってるわ。
「ははうえ、わたしはだいじょうぶです。アカもフィニもついていますから、ちちうえのところへ、いってください」
アタシの息子、頼もしすぎよね!
「イーニアス、何かあったらすぐに伝えるのよ」
「はい」
『アカ、いるからだいじょーぶ!』
妖精と珍獣に守護されているイーニアスを傷つけられる者はいないだろうけど、ロギオン国王の狙いがね……心配だわ。
『けーかく、イーニアス、ひとりになる、ひつよーある!』
言われなくてもわかってるわよ!
アタシがなかなか動かないからか、アカが促してくる。この広間にロギオン国王がいる事は確認できているのだ。エリス王女も一緒に参加しており、監視してくれてはいるが、まだ動きはない。きっとイーニアスが一人になれば動き出すだろう。
心配でたまらないが、アタシは後ろ髪引かれる思いでその場を後にしたのだ。
イザベル様が、ノアちゃんを誘拐された時の憔悴しきったあの気持ちが少し、わかった気がするわ。愛息子に何かあったらって、気が気じゃないわよね。
アタシは不安を振り払うように頭を振り、深呼吸をして気持ちを整えた。
絶対に、チャンスは逃さないわ───
ーーーーーーーーーーーーーーー
いつも『継母の心得』をお読みいただきありがとうございます。
皆様、大変お待たせいたしました。
やっと、久々に更新する事が出来ました!
やっぱりこうして継母を書ける時間は幸せだなぁとつくづく感じます。
こんな風に思えるのも、皆様が応援してくださり、読み返してくださったり、コメントをくださるお陰です。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです!
楽しみにしてくださっていた読者の皆様、
本日より毎日更新を、と考えていたのですが、現在三作品を同時進行中で、ちょっとあっぷあっぷな状況により、6月いっぱいまでは不定期更新になるかと思います。
一息つきましたら、毎日更新に戻しますので、お付き合いいただけますと幸いです。
今後とも何卒、『継母の心得』をよろしくお願いいたします。
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