継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 兄姉との交流1 〜 イーニアス6歳



「ネロ、イーニアスももうすぐ6歳になるのだから、兄姉たちと交流を深めるべきではないの?」
「ダメなのだ! イーニアスが、もしも傷つく事があったらどうするのだ!?」
「ネロ……」





「───という事があってね」と、話す皇后様の話を静かに聞く。

「ネロは同腹のお兄様にずっと虐められていたから、不安になる気持ちは分かるのよ。だけど、子供たちはそんな事をするような子たちではないし、イーニアスも人懐っこい子だもの。大丈夫だと信じてるわ」
「そうですわね……」
「イーニアスだって、いつまでも兄姉と交流しないわけにはいかないでしょう。でも、ネロが頑なで……」

皇后様は珍しく悩まし気な溜め息を吐き、「それでね……」と話を続けた。

「イザベル様に、ネロの説得を手伝って欲しいのよ」
「わたくしにですの!?」

悪魔の事が解決したと思って気を抜いていたら、思わぬ所から大変そうな悩み相談を受けてしまいましたわ。

「ですが、皇帝陛下の最愛の方である皇后様が説得出来ないのであれば、わたくしにはとても……」
「イザベル様はネロと模型やお料理の趣味仲間だし、イザベル様の言う事は聞くんじゃないかと思うの」

まさか皇后様、わたくしが皇帝陛下を組立式模型の沼に沈めた事、根に持っておりますの?


そんなわけで、皇帝陛下を説得する為に皇城にやって来たのだけど、他人のわたくしが皇帝陛下のプライベートに口出しするのってどうなのかしら。

「ディバイン公爵夫人、今日はどうしたのだ? まさか、新たな模型が出たのか!?」
「いえ、本日はその……」

なんて言えば良いの? 皇后様もいらっしゃると聞いていたのに、見あたらないわ。

「? レーテを探しているのか? レーテなら今、リュークの所にいっているのだぞ。少しぐずってしまっているようでな。朕が行こうとしたのだが、見ての通り仕事が溜まりに溜まって……レーテに仕事をしろと言われたのだ」

羊皮紙や資料なのか、豪華な装飾の本が机の上に積み重なり、トホホというように項垂れている。

「そ、そうでしたの。大変ですわね……。ですが、赤ちゃんは可愛いですわよね」
「うむ。イーニアスの赤ん坊の頃は洗脳されていて、残念な事にあまり記憶がないのだが、リュークの世話をしていると、少しだけイーニアスが赤ん坊だった頃の事が思い浮かんでくるのだ」

仕事の手を止めず、しかし優しい笑みを浮かべてそう仰る皇帝陛下は、本当にイーニアス殿下が大好きらしい。

「イーニアス殿下は、リューク殿下のお世話をしてはいるのでしょうか?」
「イーニアスは他の皇子にも皇女にも会わせてはいないのだ」

やはり皇后様が仰っていたように、ご兄弟(姉)とは会わせていないようですわ……。

「そうなのですか。殿下はノアと遊んでくださっている時、ノアを本当の弟のように面倒を見てくださいますから、てっきりリューク殿下のお世話もされていると思っておりましたわ」
「確かにイーニアスは、面倒見の良い子なのだ。しっかりしているし、賢いし、優しい子で、朕の自慢なのだぞ」

そうでしょうとも。自慢したくなる気持ちもわかりますわ。

「あんなに優しく年下の子に接する事が出来るのですから、きっとリューク殿下のお世話もしたがるのではないかと思いますわ」
「うむ。そうであろうな」
「赤ちゃんと接する機会も早々ございませんし、ご兄弟ですから、交流を考えてみられてもよろしいかと思います」

幼いうちに交流を深めている方が、大人になってからも仲良く過ごせると思いますし。

「……うむ。赤ん坊ならば、大丈夫だろうか……」
「陛下が何を心配されているのかはわかりませんが、イーニアス殿下が赤ちゃんに乱暴する事はありえませんし、赤ちゃんがイーニアス殿下に乱暴する事も絶対ありませんから、大丈夫ですわ」
「うむ……」

皇帝陛下は仕事の手を止め、何かを考えている。

「ただ心配なのは、皇后陛下があまりに赤ちゃんに構ってしまうと、殿下が拗ねて赤ちゃん返りをしてしまう可能性もありますので、皇帝陛下も一緒にいてあげると良いかもしれませんわね」
「そうか。確かに朕がイーニアスのそばにいれば、イーニアスも安心するのだ。うむ、イーニアスとリュークを会わせて見る事にしよう」

赤ちゃんであるリューク殿下との交流は、比較的簡単に説得出来るとは思っていましたわ。

ただ、ここからが問題ですわね。

どうやって、ご兄弟(姉)とイーニアス殿下の交流まで持っていくか……。ハァ、皇后様も無茶を仰るわ……。


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