継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 子供のダンス教室 〜 ノア4歳、イーニアス5歳

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~ 悪魔退治後すぐの頃 ~


「はいっ、みなさま注目! 本日は、日頃の運動不足を解消する為に、みんなでダンスをいたしますわっ」

ノア、イーニアス殿下、そしてフロちゃんと、偶々遊びに来ていたブルちゃんを集め、せっかくなので、と、子供たちに皆で出来る遊びの内容を発表する。ブルちゃんのお母様はニコニコと笑って拍手しているので、面白がってくれているようだ。

『アカ、ダンスすきー!』
『アオ、ダンスとくいー!!』
『チロ、ベルト、オドルノ~』

広い公爵邸(タウンハウス)のダンスホールで、妖精たちはダンスという言葉に張り切って飛び回っている。

「うむ! わたしも、ダンスはとくいなのだ!」
『アス、アカといつも、おどってる! くるくるー!』

あら、イーニアス殿下はダンスがお好きなのね。

「おかぁさま、ダンスのせんせ、いないのよ?」

ノアはキョロキョロと、いつも教えていただいているダンスの先生を探しているが、今日やってもらうのは、いつもの社交ダンスではない。

「今日はね、いつものダンスはしないのですわ!」
「「??」」
「今日やるダンスは、エビさんと、カニさんのダンスです!」
「えびしゃ!」

あら、フロちゃんがエビに反応しましたわ。可愛いわね~。

「ダンス……きりゃい……」
「まぁ、ブルちゃんはダンスが苦手ですの?」
「ぁい……できなぃの……」

ブルちゃんのお母様は、できないというブルちゃんを見ておろおろしている。

「ブルちゃん、大丈夫ですわ。と言っても、不安ですわよね。ですから、これからわたくしとミランダがそのダンスを踊って見せますわ!」

ミランダとアイコンタクトをし、エビさんとカニさんのダンスを歌いながら披露すると、子供たちの眼差しが、徐々に戸惑いからワクワクしたものへと変わっていくのが、手に取るようにわかった。

「おかぁさま、それ、わたち、するの!」
「わたしも、エビさんとカニさんのダンスをするのだ!」
『アカもー! アスと、エビさん、カニさん、するー!』
『アオも!! アオもノアと、おどるー!!』

フフッ、男の子たちは一度見ただけで覚えたみたいですわ。ノアとイーニアス殿下は、「こうなの」、「こうだ」と自主的に練習を始める。

「えびしゃ!」

あらあら、フロちゃんはエビさんの真似をしているのね。ブルちゃんは……、

「いちゅもの、ちがぅの……」

目が溢れるんじゃないかと思うほど見開いて、口を開けていた。

「ブルちゃん、どうかしら? ダンスというよりは、体操に近いのだけど、楽しそうではなくて?」
「エビしゃん、カニしゃん、ブリュネッラ……できりゅ?」
「ええ。わたくしとやってみましょう」

ブルちゃんは恐る恐る頷くと、持っていたテディをお母様に預かってもらい、「がんばりゅ」と気合いを入れてわたくしを見たのだ。

結局、普段ダンスを学んでいる子供たちにとって、子供向けの体操ダンスは簡単だったらしく、みんなすぐに踊れるようになった。

フロちゃんはまだ小さいから、可愛らしい動きをしていますけれど。

まぁ、エビの丸みを表現しているのか、若干お尻を浮かせた三角座りみたいな体勢ですわね。ぷるぷるしているところも可愛らしいですわぁ。

ノアは……、

「エビさーん!」
「カニさーん!」

か、可愛い! イーニアス殿下と鏡写しのように、小さな手足を懸命に動かして、なんて愛らしいのかしら!
アカとアオも二人の前で同じように踊って……フフッ、ブルちゃんもとっても上手に踊れていますわ。途中お母様の手を引いて、一緒に踊ってと言い出した時は、お母様がとても驚いていらっしゃったけれど、楽しそうに踊っていますわね。

『チロ、ベルト、オドリタイノ~』
「チロ、可愛いお誘いありがとう。では、一緒に踊りましょう!」
『ワーイ!』

こうして、皆で楽しくダンスをしたのだった。

このダンスが庶民の子供たちの間で爆発的にヒットし、国民保健体操のような扱いになっていくのは、また別のお話。


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