58 / 186
番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 ハロウィン? パーティー2 〜 ノア4歳、イーニアス5歳
しおりを挟む「イザベル様は、猫耳カチューシャがとても素敵ね! 可愛いわ!! あら、尻尾も生えているのね! 良く出来ているわぁっ」
「髪の毛と同じ色の耳にいたしましたの。あとは耳を髪の毛でかくすと、案外違和感なく溶け込みますのよ」
猫獣人のコスプレをしたわたくしを、可愛いと褒めてくださるレーテ様は凛々しく、女性たちに黄色い声を上げられそうだと思いながら、わたくしも美しさにドキドキしてしまう。
「ははうえは、きしで、イザベルふじんはねこさんなのだな!」
「はい! おかぁさま、ねこさん! かわいいのよ」
「うむ。わたしのははうえも、かっこいいのだぞ」
あらあら、赤と青のドラゴンさんが、わたくしたちを褒めてくださっておりますわ。
可愛いのはあなたたちよ、と言いたいけれど、これを言ったらノアに「めっ」されますわね。
『アス、かっこいー!』
『ノア、かっこかわいー!!』
蜂さんの着ぐるみを着た妖精たちが、やっぱりキノコは被ったまま、二人のドラゴンさんの周りを飛び回る。
「アカも、とってもかわいいのだぞ」
「アオも、かわいーのよ! ハチさん、キノコかぶってるのね」
蜂と仲が良いドラゴン、可愛すぎますわ。
「イザベル様っ、見てちょうだい! あの尻尾ふりふりしながら、のっしのっし歩いてるつもりの、あのうしろ姿も可愛いわぁ!!」
「本当に! 何て可愛いのでしょうっ、わたくしメロメロになってしまいますわ」
「オホホッ、めろめろになっているのは、テオ様もみたいよ!」
「え?」
皇后様にそう言われ、まだ始まっていないパーティー会場に様子を見に来ていたテオ様を見る。
すると、テオ様と目が合って、こちらへやって来たのだ。
「ベル、何と愛らしい姿をしているのか」
「テオ様?」
「可愛すぎて、攫ってしまいたくなる」
まぁっ、テオ様ったらまたクサイ台詞を言っておりますわ。何の本を見ればそんなお言葉が出てくるのかしら?
「猫可愛がりという言葉があるが、このように愛らしいと、可愛がりたくなる気持ちもわかるな」
「テオ様、わたくしペットではございませんのよ」
「わかっている。君は私の妻だ」
「もぅ、テオ様ったら」
やっぱり美形はクサイ台詞も様になりますわ。
「おとぅさま、わたち、どりゃ、どらごんさんよ!」
「こうしゃく、わたしも、どらごんさんなのだ」
「アスでんかと、おそろいなのよ」
そこへ、のっしのっし(のつもり)と戻って来たノアとイーニアス殿下が、テオ様に嬉しそうに自分たちの着ぐるみを見せているではないか。
『テオ、アカ、はちさん!』
『アオも、かわいーはちさん!!』
妖精たちも寄ってきて、可愛いが大渋滞している。
「そうか。ドラゴン……? ドラゴンなのか?? まぁ、可愛らしいな」
あ、テオ様、それは言ってはいけませんわ。
「おとぅさま、めっ! わたちたち、かっこいぃのよ!」
「そうだぞ、こうしゃく。わたしたちは、かっこいいのだ」
「ぅ、そ、そうか。格好良い……か?」
わかりますが、そこは断言してくださいませ。
『テオ、アカは!』
『テオ、アオもかっこいー!!』
「お前たちは滑稽だ」
この一言に、妖精たちがほっぺたをぷくっと膨らまし、ブーンと言いながらテオ様の周りを飛んで怒られていた。
そして、パーティーが始まった。
あっちを見てもこっちを見ても、ドラゴンやユニコーン、蜂やクジャク、定番のクマさんなど、着ぐるみの子供たちで可愛さが天元突破している。
「みんな可愛いですわ!」
ご夫人方も皆楽しそうに、我が子の可愛さにはしゃいでいる。そして、ご自身のコスプレにもテンションが上がっているようで、いつものパーティーよりもキャッキャとしている。
「……イザベル、ふじん……、ほ、ほんじちゅは、おまねき、ありがと、ごじゃいましゅ」
「ブルちゃん! 丁寧なご挨拶、ありがとう存じますわ。まぁっ、ブルちゃんはクマちゃんの着ぐるみですのね!」
テディ大好きなブルちゃんは、安定のクマちゃん。しかもテディを抱っこして、可愛すぎますわ!!
「なんて可愛いのかしら!」
女の子の可愛さにメロメロになっていると、ブルちゃんのお母様がやって来てご挨拶してくれましたのよ。
「イザベル様、本日はこのように素晴らしいパーティーにご招待いただき、ありがとう存じます。もうっ、ブルネッラが可愛すぎて……っ、失礼を承知でご相談なのですが、ぜひ、こちらのお洋服を買い取らせていただきたいのです!」
この一言がきっかけで、「私も!」と我が子に着ぐるみを! というお母様方に囲まれてしまい、その後、着ぐるみロンパースがバカ売れするのだけれど、今はこの幸せで可愛い着ぐるみパーティーを堪能させてほしいわ。
2,303
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる