継母の心得 〜 番外編 〜

トール

文字の大きさ
61 / 186
番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 我が家の重役会議 〜 ノア4歳、イザベル妊娠初期

しおりを挟む


「みんな、あちゅまって、くださーい!」
『ミンナ、アツマルノ~』
『なーに、ノア、チロ!』
『なに、なにー!!』
『ノア、何かあった?』
「どうしたのだ? ノア」

リビングでアス殿下と遊んでいたノアとチロが、突然みんなに集合をかけていたので、面白そうなことをしているわ、と眺めていたら、

「これかりゃ、じゅーやく、かいぎ、ちます!」
『カイギ、スルノ』

まぁっ、もしかして先日やった、ベル商会の重役会議を真似しておりますの!?

『カイギー?』
『カイギって、なに??』
『どういう遊び?』
「うむ! かいぎかっ、たのしそうだ!」

妖精たちは戸惑っているけれど、アス殿下は嬉しそうですわ。

「かいぎの、ぎだい? はぁ……、みんなの、だいすきなおもちゃと、おかちについて、なのよ!」
『ニンキノオカシ、オモチャ、ベルニ、オシエテアゲルノ~』
「なるほど、にんきのおもちゃと、おかしか……」
『はいはーい! アカ、プリン!』
『はいはーい!! アオ、スフレパンケーキ!!』
『ボクは、全部好きだけど、人気のやつだから……あっ、ドーナツ!』

あらあら、可愛い我が家の重役会議ですわね。ほっこりしますわ。

「にんきの……あ、おおきなすべりだい! とってもにんきなのだ!」
「わたちも、しゅ、すべりだい、だいすき!!」
『アイスクリームも、すき!』
『チョコレートも、すき!!』
『パフェも人気だよねっ』
『チロ、マシュマロ、ヤイタノ、スキナノ~』
「あっ、メモ、とりゅのよ!」

ノアがみんなの意見を紙に書いているのだけど、まったく読めませんわ。あら、アス殿下も書いてくださるのね。まぁ、アス殿下が文字で、ノアは絵を描きますの? わかりやすいですわね。二人ともお上手ですわよ。

「ノア、おかしのいちばんを、きめよう!」
「はい! おかしの、いちばん……すふれ、パンケーキ!」
『ノア、ちがう! プリン!』
『ノア、あってる!!』
『ボクはアイスクリームが良いと思うよ』
『チロ、マシュマロ、スキナノ』

これは……なかなか一番が決まらないようだわ。

「あっ、じゃあ、ぜーんぶ、いちばんなのよ!」
「うむっ、ぜんぶ、いちばんなのだ!」
『ノア、スゴイノ~! チロモ、ソーオモウノ』
『ぜんぶ、いちばーん!』
『さすが、アオのノア!!』
『全部一番かぁ。確かに全部人気だもんね』

ノアったら、みんなのいけんを汲み取って、全部一番人気という事にしましたのね。
あら、それをメモにして、今度はおもちゃも? おもちゃも全部一番? フフッ、そのメモをどうするのかしら?

「これ、ほーこくちょ、よ。おとぅさまと、おかぁさまに、おわたちすりゅの!」
『ベル、キットヨロコブノ~』
「では、いっしょに、わたしにいこう!」
「はい!」
『アカも、いっしょいくー!』
『アオも、ほーこくするー!!』
『ボクも行くからねっ』

あらあら、みんなで会議の報告をしてくれますのね。わたくしもお部屋で待っていたほうが良いみたいですわ。

「奥様、先ほどから中を覗いて入室されないようですが、何かございましたでしょうか?」
「フフッ、ミランダ、ノアが報告書を持ってきてくれるようですから、部屋に戻っていましょうか」
「報告書、ですか?」

戸惑うミランダを連れ部屋に戻ると、すぐに可愛い子供たちがやって来ましたの。

「おかぁさま、わたちたち、かいぎ、ちたのよ!」
「まぁっ、会議をしましたの!?」
「そうなのだ! それで、ノアとわたしで、ほうこくしょを、つくったのだ!」
『アカ、いけんだしたー!』
『アオも、たくさん、いけんだしたー!!』
『もちろんボクも協力したよっ』
『ベル、ウレシー?』

子供たちがわれもわれもと喋り出す。

「あらあら、みんなが意見を出して、それをイーニアス殿下とノアでまとめて、報告書を作りましたのね!」
「はい!」
「みんなすごいですわ!」
「しょうよ。みーんな、すごいのよ」

か、可愛いですわ!

「みんなが人気のおかしとおもちゃを調べてくれたから、お母様、とっても助かりましたわ!」
「さんこうに、なるだろうか?」
「もちろんですわ! みんな、ありがとうっ」

みんなを抱きしめると、嬉しそうに笑顔を見せてくれたのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



~ おまけ ~


「おとぅさま、ほーこくちょ、つくったのよ」
「報告書だと?」
「しょう!」
「こうしゃく、ノアと、わたしでつくったのだ!」
『アカも、きょーりょくした!』
『アオも、いっぱい、いけん、だした!!』
『ボクだって、たくさん意見だしたんだよ!』
『チロ、マシュマロ、スキッテ、イッタノ~』
「そ、そうか。イーニアス殿下とノアが、報告書……? 一体何の報告をしようというのか……、好きな菓子と玩具だと? 」

何かを期待するような目を向けているが……私にこれらを強請っているのだろうか??

しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ

猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。 当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。 それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。 そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。 美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。 「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」 『・・・・オメエの嫁だよ』 執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...