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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 不死鳥の冒険3 〜 ノア4歳、イーニアス5歳
不死鳥視点
わし、至福である。
イーニアスとの食事は楽しかった。それに、びっくりするほど菓子やパンが美味かった。
「昨今のパンは、柔らかいのだのぅ。昔はこう……硬くてなかなか噛み切れんでな。スープに浸して食べるものだと、人間に教えてもらったもんじゃが」
しかも酸っぱいんじゃ! 思い出したら唾が出てきたわ。
「やわらかいパンができたのは、さいきんです。ディバインこうしゃくふじん……ノアのははうえが、こうあん、したのです」
「何? 小僧の母親が、柔く美味いパンを考案したというのか!?」
確か小僧の母親は、本来ならば小僧を産むはずが、悪魔のせいで運命を捻じ曲げられた被害者だったのぅ……。
「ほかにも、おもちゃや、へんけいばしゃ、それに、リュックも、タンブラーも、ディバインこうしゃくふじんが、かんがえたものです!」
ふじんはすごいのです! とキラキラした瞳で言うものじゃから、その夫人とやらに会いたくなってきたわ。
ちょうど小僧にも会いに行こうと思っておった所。ディバイン公爵家へ行けば会えるだろう。
「そうだイーニアスよ。人間の爺は、孫に小遣いというものをやるのだろう。わしも色々拾ってきた。管理者であるイーニアスにはこれをやろう」
「? とりさん、これは、なんでしょうか??」
「小遣いだ! おぬしの妖精とわけるがよい! この金貨は、今でも街で使えるようなのでな!」
わしも食い物を買いたいので、数枚手元に残し、後は可愛い管理者に袋ごと渡してやった。
わし、優しい爺だろう!
「さて、ではそろそろ小僧の所に行くとしよう」
「とりさん、もういってしまわれるのですか?」
「うむ。そうだ、イーニアスよ。その『とりさん』はやめて、名をもらえんか。わしに似合うおしゃれな名が良い!」
『ピヨじーちゃん!』
「そんなもんは却下じゃ! もっと格好良いのがよいのぅ」
イーニアスに名前を付けろと強請ると、イーニアスは暫く考え、
「『フィニ』はどうでしょうか」
と顔を上げて言ったのだ。
「フィニか! うむ。なかなか格好良いではないか。気に入った! 今日からわしはフィニだ!」
『フィニおじーちゃん!』
「フィニ、またあそびにきてください」
「もちろんじゃ」
イーニアスの頭を撫でた後、「小僧はどこに居るのか知っておるか」と聞けば、「いまは、ディバインこうしゃくりょうの、カントリーハウスにいます」と教えてくれたので、イーニアスの妖精に連れて行ってもらえるよう頼んだ。
仕方ないじゃろ。わし、ディバイン公爵領なんぞ知らんからな。氷の小僧とは繋がっておらぬし、イーニアスのようにはいかん。
「ではの、イーニアス」
「フィニ、おきをつけて」
手を振ってくれる管理者の何と可愛らしいことか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一方、おもちゃの宝箱帝都支店では、
「赤い髪の方は珍しいので、店の周辺や宿を探してみましたが、もうこの辺りにはいないようです!」
「あの……、そのお客様はイーニアス第二皇子殿下に似ていたので、皇族の御方ではないでしょうか」
「な!? 皇族!? なんということでしょう……っ、これは急ぎディバイン公爵夫人にお伝えしなければなりません!」
「手紙を……っ」
「早馬を!」
「急げ、急げー!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イザベル視点
「っ、くしゅん……っ」
「おかぁさま、おかぜ? わたち、かんびょおするの!」
わたくしがくしゃみをした瞬間、ノアがお絵かきの手を止めてトトトッと駆け寄ってくる。
心配性なところが、最近旦那様に似てきましたわね。
「フフッ、ありがとうノア。お風邪ではなくただのくしゃみですわ。誰かが噂しているのかしら」
「おかぁさま、うわさちたら、どちて、くちゅんっ、なりゅの??」
「そういえば、どうしてかしら?」
「おかぁさま、ちらない?」
「そうねぇ。そうですわっ、ノア、図書室で一緒に調べてみましょうか」
「はい!」
ノアは描きかけの絵とクレヨンをお片付けして、「おかぁさま、とちょっちゅ、いくのよ!」とわたくしの手をきゅっと掴んだのだ。
「ええ。行きましょう」
手を握り返し、二人で図書室に向かおうとした所に……、
『アカ、さんじょー!』
ポンッとアカが現れたのよ。びっくりしましたわ!
「アカ! どおちたの? アスでんかは? アスでんか、どこ?」
イーニアス殿下を探してキョロキョロしているノアは、 そのうち首を傾げた。
イーニアス殿下の姿がないからだ。
『ノア、アス、いない! いま、べんきょーちゅー!』
「いないのね……」
あらあら、しゅんとしてしまいましたわ。
『でも、つれてきた!』
ん? イーニアス殿下は勉強中でお越しにはなれないのよね? 連れて来た??
「おおっ、わしとしたことが、姿を隠す魔法をかけたままだった!」
その時、知らない男性の声が聞こえて、ミランダと護衛がわたくしたちの前に出たのだ。
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