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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 狙われたイザベル6 〜 ノア4歳、イーニアス5歳
「───ウィニー男爵領は、山頂にありますのね」
ウィニー男爵領地を昔の地図と現在の地図、そして正妖精に見てきてもらった情報とを照らし合わせた結果、緩やかな丘だと思っていた所が、実は山頂だという事が発覚したのだ。
周りが隆起して、昔は山だった所が丘のようになったのかしら?
歴史書によれば、グランニッシュ帝国自体、元々島国だったものが、隆起して陸続きになっているようだし。可能性は高い。
グランニッシュ帝国の標高は全体的に高いが、比較的気候が穏やかなのは、焔神の奇跡と言われる火山の地熱が関係しているのかもしれない。
さすが焔の神の加護を持つ皇族が支配する国だけあるわ。本当に奇跡的に、火山の被害が出た事はないみたいなのよ。
しかし、それにもかかわらずウィニー男爵領地は豪雪地帯だ。
最初は焔神の加護の問題だろうかと考えた。
昔はグランニッシュ帝国の土地ではなかったから、加護の範囲外だ、とかそんなことなのかと。
しかし、そういった土地はいくらでもあるが、そのどれもが温暖な気候を保っている。これにより、加護を持つ皇帝が自身の国と認めれば、その土地も恩恵を受けられるようだとわかる。
さらにウィニー男爵領は昔からグランニッシュ帝国の一部であった事も発覚し、加護うんぬんというのは考えから削除された。
「う~ん……やっぱり標高? でも、帝都と同じくらいの高さなのよね……。正妖精、この土地に氷に関係あるドラゴンですとか妖精ですとか、珍獣ですとか、そのような不思議な生き物生息しておりますの?」
『そんな生き物いないよ。グランニッシュ帝国はボクの縄張りだよ! そんな生き物がいたらすぐにわかるさ!』
という事は、この土地の性質……?
「土地自体の温度が低い……? 焔神の力が弱まっている??」
『やだなぁベル。焔の神の力が弱まる場所なんて、地面が氷でできてる所じゃないんだから。ボク、ちゃんと見てきたけど、全部土で出来てたよ』
「そうよね。北極じゃあるまいし、氷で出来ているわけ…………っ、正妖精!! 地面の下よっ、地面の下を見てきてちょうだい!!」
『地面の下!?』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
テオバルド視点
『───ダカラ、ベル、ゲンキナノ~、ッテ、イッテルョ!』
「…………」
「公爵、奥方の行動を報告させるとは……、まさか監視しておるのか!? そ、それはよくないと、朕は思うのだぞ!」
皇帝に付いている小妖精に頼み、チロへ繋いでもらったのだが、正妖精は頼んだ仕事を忘れ、妻は大事な事を一人で決めるという頭の痛い報告を受けた私に、皇帝はおかしな誤解をする……今日は厄日か。
「そ、そんなに睨まなくても良いではないか!? 正直すごく怖いのだぞ!!」
睨んでいない。
「旦那様、奥様はご無事なのですか!?」
「無事だ。危険な事はなく、邸でいつものように過ごしているらしい。が、少々問題が起きた。やはり戻らねばならんようだ」
「かしこまりました。馬車ごと移動されるという事で宜しいでしょうか」
「ああ」
「領地へ戻る旨を、タウンハウスへ伝えますので、少々お待ちください」
「頼んだぞ」
ウォルトが帰宅の準備をしている間に、皇帝へ皇后を呼ぶよう伝えた。「朕、一応皇帝なのだぞ!?」などと言いながらも、皇后の所へ行く皇帝は犬のようだ。
こうして領地へと戻ったのだが……、
『すごいや! ベルの言う通りだったよ!!』
「やっぱり思った通りでしたのね。これで、ウィニー男爵領の金策は何とかなるかもしれませんわ!」
奇跡を起こすと評判の女神は、まさに今、私の目の前で奇跡を起こそうとしていたのだ。
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