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番外編 〜ノア5歳〜 〜
番外編 〜 イザベルが回帰した理由1 〜 ノア5歳、イザベル臨月
「セレーネ様は、人間の身体を作りだし、自身の御魂をその器に入れる事により、人間として地上に留まる事が出来たのです。しかし、神の力をその器で抑え込む事は難しく、度々体調をくずされておりました」
お母様のお体が弱かったのは、そういう理由だったのね。
「……ベルが闇の女神の娘だというのは理解出来る。彼女自身、女神のような人だからな」
テオ様は突然何を言いだしていますの!?
「だが、女神の娘だというのなら、なぜ彼女には貴族の平均的な魔力しかないのだ」
さっきの発言はおかしかったけれど、今の質問はわたくしも疑問に思っていたところでしたわ。
わたくしには一切特別な力はございませんし、そこはお父様に似たという事かもしれませんが……。
「それは、お嬢様とオリヴァー様が人間として生きていけるよう、セレーネ様が力を封じられたからです」
わたくしとオリヴァーは、力を封じられておりましたの!?
という事は……実はわたくし、闇魔法が使えるとか? 闇といえば……アンデッドを操ったり、はたまた呪法を使ったり? ……何だか闇魔法って、イメージ悪いですわね。
「お嬢様、闇魔法をアンデッドを操る魔法や呪法と一緒にしないでください。お嬢様が想像されているのは闇魔法などではなく、呪いです。闇とは本来、やすらぎを意味するのです。光が外的要因で受けた傷の治癒を得意とするように、闇は精神(魂)を治癒することができます」
魂の治癒!? それって、傷付いた心を癒せるって事ですの!?
「その他、眠り、精神の安定、予知夢や夢渡など、様々な事が出来る希少な属性ですよ」
予知夢!?
「確かにベルのそばは、初めて会った時から不思議と不快ではなかった。だから同じ馬車にも乗れたのだしな」
そういえば、結婚式の時も、初めて皇宮のパーティーに行く時も、同乗しても気分が悪そうではなかったですわよね。
滅茶苦茶嫌そうではありましたが。
「それに、やすらぎも感じるな。なるほど、これはベルが闇属性だからか……いや、私がベルを愛しているからという事も関係あるかもしれないが……」
テオ様、わたくしでやすらぎを感じていますの?
「お嬢様はもちろん闇属性ですし、力を封じられているとはいえ、精神の安定ややすらぎを与える程度であれば可能です」
何ですの、そのマイナスイオン的扱いは。
『───何ということ……!! わたくしのエンツォが……っ、可愛い子供たちが……っ、このままでは悪魔に……!』
『セレーネ様、予知夢でございますね』
『あぁ……っ、カーラ……、本来の運命を悪魔が捻じ曲げたのです……! 本当ならイザベルが産むはずだった子を……っ、ノアを悪魔が……っ』
サリーとテオ様の話に気を取られている内に、お母様たちがただならぬ雰囲気に変わっており、悪魔と、わたくしとノアの名前が出て来た事に驚き、大きく肩が揺れた。
「ノアは、ベルが産む子供だった……?」
テオ様の眉がピクリと動く。
『このまま、家族を不幸になどさせません……っ』
『セレーネ様、なりません! たとえ悪魔が運命を捻じ曲げたとしても、神が運命をさらに変えてしまっては、世界を消滅させてしまう恐れがあります!』
『いいえ。運命を変えるのは神ではありません。イザベルを……イザベルの魂を主軸にして、あの子が……っ、命を失った時点で、回帰させます。そうすれば……』
『セレーネ様! そのような事、お嬢様の魂に負担が大きすぎます!』
『わたくしは夢で、絶望と希望を視たのです。わたくしの大切な夫と子供たちが死んでしまう未来と、回帰後の、わたくしの娘の未来。あの子は、回帰後に運命を変えられる力を持っている』
『セレーネ様……』
わたくしを回帰させたのは、お母様でしたの……?
「お嬢様の魂を主軸に回帰させる事は、お嬢様の魂にとても負担のかかる事でした。そこで、私が違う世界に一度転生させ、魂を休ませる事を提案したのです。悪魔の影響も薄れますので一石二鳥だと思いました」
『サリー、あなたの……“創造神の神獣”である、あなたの力をかしてもらえますか?』
『はい、セレーネ様。あなた様のお力になる為に、私は創造神から使わされました』
…………なんですって!? サリーが、創造神様の神獣ですの!?
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