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番外編 〜ノア5歳〜 〜
番外編 〜 イザベルが回帰した理由2 〜 ノア5歳、イザベル臨月
「さ、サリー、あなた……っ、創造神様の神獣でしたの!?」
「はい。私がセレーネ様のおそばにいたのは、創造神に使わされたからです」
まさか女神が人間と結婚されるとは思っておりませんでしたので驚きましたが。などと、絶対驚いていないでしょうと思うほど淡々と答えるサリーに口の端がひきつる。
「という事は……、サリーもその人間の姿は仮の姿で……」
「私の姿は、そうですね……、“幻獣の麒麟”と言えばおわかりでしょうか」
麒麟!? キリンじゃなくて、あのビールのラベルにもある、龍と馬が混ざったようなあの麒麟ですの!?
「奥様、きりん……というのは一体……??」
ウォルトが困惑した表情で聞いてくるので、龍と馬が混ざったような幻獣だと教えたが、いまいちわからなかったようだ。
後で麒麟の絵を描いてさしあげますわ。
テオ様は、お母様が言った、“ノアはわたくしが産むはずだった子供”という言葉を気にしているのか、さっきから黙ったまま眉間にシワを寄せている。
その間も、お母様と記憶のサリーとの話は進んでいて、あの最悪な未来を覗いてしまったお母様に、申し訳ない気持ちになった。
前前世、わたくしは最低な悪女でしたもの……。あんな姿を見られてしまったなんて……、お母様はとても悲しんだのでしょうね。
『……ありがとうございます。サリー。お父様があなたを使わしてくださったのは、きっと悪魔を止めたかったからでしょう。でなければ、わたくしの地上行きを許してはくれませんもの』
『創造神は、全て御見通しです』
『そうですね。そして、イザベルなら悪魔を止められると考えたのでしょう。……予知夢は、未来視は絶対ではありません。ですが、わたくしは娘を信じています』
前前世で、酷い事をしたわたくしを夢で視ておきながら、それでもお母様は、信じてくださっていたの……っ
『セレーネ様、おわかりでしょうが、イザベル様を主軸に回帰させるという事は、一つの世界を終わらせるという事です。存在を消してしまうほどのお力を人間の器に入ったまま使用される事は、いくら私の力をお貸ししたとしても……、』
『わかっています。わたくしは、未来の……回帰後の夫や子供のそばにはいられないでしょう』
『セレーネ様……っ』
『それでも、わたくしがいなかった事になるわけではありませんもの』
お母様は、わたくしのせいで、亡くなったの……?
「お嬢様のせいではなく、悪魔のせいです」
わたくしの思考を読んだサリーは、はっきりとそう言ったのだ。
無表情なのに、どこか悔しさを滲ませているような、そんな表情をしている気がする。
「回帰前のお嬢様は、悪魔に洗脳されておりました。私もカーラもその時、異世界にお嬢様の魂を送る為に、一時的に天界へと戻り、お嬢様のおそばにいる事も出来なかったのです……」
そういえば前前世は、ディバイン公爵家に嫁いだ後、サリーやカーラと連絡を取り合っていなかったわ……。あの時にはもう。二人は天界に戻っていたのね。
「お嬢様が亡くなった後、その魂を異世界へと避難させました。もちろん回帰するまでは、回帰前の世界は存在しておりましたので、カーラはその世界を見守り、私はお嬢様の魂と共に異世界へと移動したのです」
サリーも一緒に地球へ!? ということは……、まさかサリーは、わたくしの親友の……!?
「いえ、違います。私はお嬢様の飼っていた猫に憑依しておりました」
猫!? メインクーンのドラちゃん!? どおりで知能が高いと思っていましたわ!!
「そんな事はどうでもよろしいかと。それよりも、セレーネ様です」
ハッ! そうね。お母様!
「セレーネ様は、光の精霊ウィルにも協力してもらい、イザベル様の魂が回帰できるようになさいましたが、人間の器では反動に耐えられず、亡くなってしまわれました」
「一つ良いか」
母の死の真相を知った事で、暗い雰囲気になっていた時だ。サリーの話を遮り、テオ様が一歩前へと出た。
「かまいません」
「義母上は闇の女神ということだが、たとえ人間の器が死を迎えたとはいえ、その中身は消滅することはないのではないか」
え!?
「神が死ぬというのは違和感がある」
テオ様、それって……!?
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