継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜ノア5歳〜 〜

番外編 〜 公園の完成3 〜 ノア5歳



「もう、さいっこう!! 外でハンモックに揺られてお昼寝出来て、綺麗な湖を偶に眺めたり、こんなに野性的で美味しいお料理が食べられるなんて! 来て良かったわー!」

多分、ここに来て一番のびのびしているであろう皇后様が、皇帝陛下の作ったキャンプ料理(バーベキューやアヒージョ)に舌鼓を打ちながら、公園を絶賛する。

「ディバイン公爵夫人、レーテは普段執務室でずっと書類と睨み合っているのだ。だからこうして出掛ける事が出来て良かったのだ。礼を言う」

コソッと教えてくれる皇帝陛下に頷き、皇后様に「キャンプは日が落ちてからが本番なのですわ!」と伝えると、「もちろん一泊する気満々よ!」と返され、二人で笑い合った。

ママ友とキャンプ、楽しいですわ。

ノアも久々にイーニアス殿下と遊べて楽しそうだし、良かった……ん? あらあら、ジップラインとバーベキューではしゃぎすぎたのかしら、目がだんだん閉じてきてますわ。

「ふふっ、ノア、ハンモックに移動しましょうね」

5歳になって身長も体重も増したノアを、よっこらしょと抱き上げ、ハンモックへ包むようにして寝かせてあげると、すぐに目を閉じ夢の中へ旅立った。

『ノア、カワイイネ~』

チロがそう言って、ノアの額にチュッチュとキスをしているところも可愛らしい。

もちろん、わたくしもひたいにチュッといたしましたわよ!

「イーニアスもハンモックを使ってみなさい。楽しいわよ」

6歳だからと、眠気を我慢していたイーニアス殿下も、皇后様に促されて皇帝陛下に抱っこされ、ノアと同じように寝かされると、心地良い揺れと包まれている安心感にあっと言う間に眠ってしまう。

「イーニアスは変わらず可愛らしいのだ」

イーニアス殿下にくっ付いている小妖精と一緒に、額にキスしている皇帝陛下は、殿下が愛しくてたまらない様子だった。

ベビーカーの中では、アベルとリューク殿下もすやすやとお昼寝タイムなので、大人たちの遊びの時間がやって来た。

「ミランダ、例のものを出してちょうだい」
「はい。奥様」

ミランダに指示すると、大人たちの視線がわたくしに集まる。

一体何が出てくるのだと興味津々の目ですわね。

「はい、注目! ですわっ」

なになに、と妖精たちまで集まってくる。

「これから、使用人も含めた大人たちで“モルック”という遊びをいたしますわ!」

「「「“もるっく”??」」」

皆が聞いた事もない遊びに首を傾げ、使用人に至っては、私たちもご一緒してよろしいんですか!? とぎょっとしている。

「モルックというこの棒を投げて、地面に並べられた、点数の付いたこちらのピン(スキットル)を倒し、合計点がジャスト50点になれば勝ち抜け出来るシンプルなゲームですわ! ただし、50点を超えてしまった場合は、25点へ減点され、ゲームが継続されますのよ」

実際やってみると、このゲーム、棒を投げるコントロール力と運、そして頭脳を駆使しなければ勝てない、奥深いものなのだ。

「まずは、1チーム4人でグループを作りますわよ!」

最初は戸惑っていた大人たちだったが、ゲームを始めると案の定、大いに沸き立った。
中でもテオ様と皇后様の頭脳戦は見もので、陛下もわたくしも、使用人たちも子供のようにはしゃいでしまいましたわ!

あっと言う間に夕方がやってきて、子供たちもスッキリとした顔で目覚め、使用人たちの薪割りを楽しそうに眺めている。

「イーニアス殿下、ノア、火起こしをやってみませんか?」

焚き火はキャンプの醍醐味なので、子供たちに経験させてあげたいと思い、誘ってみる。
もちろん火傷や怪我をしないように、使用人もサポートしてくれるし、火打ち石も子供でも簡単に出来る前世のものをモデルにして作ってあるのだ。

「?? イザベルふじん、まほうをつかえば、かんたんにひをつけられるだろう?」
「おかあさま、わたしも、ちいさなひならともせるの」

クッ、これだからファンタジーな世界は……っ

「庶民は魔法は使えませんのよ。だから今日は、魔法を使わず火を起こす事を体験していただきたいのですわ」
「まほうを、つかわず……」
「わたし、やってみたい!」
「ノアがやるなら、わたしも!」

こうして、高貴なお子様たちに、火起こしの経験をさせ、キャンプに必要不可欠な焚き火が揃ったのだ。

「はぁ~……、焚き火を見ていると、癒されるわぁ。皇城に帰りたくなくなるわね」
「ずっと見ていられるのだ。このままここに住むのも悪くないかもしれぬ」

皇帝夫婦、仕事が過酷そうだものね……。

「さぁ、日が沈んで星が出て参りましたわ! 炎の揺らぎと満天の星空が湖畔に映る、この美しい景色! その中で食べる美味しい料理! これがキャンプの醍醐味ですのよ!」
「「「「おおっ」」」」


こうして、公園とグランピングを楽しんで、スッキリとしたお顔で帰って行った皇帝一家は、キャンプゾーン以外も制覇したいと、後日またやって来るほど気に入ってくださったので、まずはひと安心ですわね。


その後、この公園は何故か“ベル公園”と呼ばれるようになり、領都民だけでなく、他領からも観光客がやってくる笑顔あふれる憩いの場所となって、キャンプやグランピング、遊具やレストランなど、長年愛される大人気スポットとなるのだが、これはまた、別のお話。

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