継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜ノア5歳〜 〜

番外編 〜 ディバイン公爵家の影2 〜



「“影”というのは、ディバイン公爵家初代当主であるウェルス様に元々付き従っていた部隊が、公爵家を興した際にそのまま仕えた事で生まれたものだ。その子孫が現在も影として仕えており、主に諜報、破壊工作、暗殺、護衛、などを行う」
『アオも、かげー!!』

やはり忍者ですのね! アオは御庭番ごっこかしら。

「頭脳、身体能力共に優秀であり、ディバイン公爵家に忠誠を誓う者でなくては影にはなれない」
『アオ、あたまいー!! ゆーしゅー!!』

ノアは幼い子供ですのに、テオ様のお話を理解できているのかしら? と、チラリと横を見れば、じっとテオ様を見ているではないか。

息子の瞳はこの話を理解している事を物語っていた。

「そして、代々影の長を担うのがウォルトの一族だ」
「ウォルトが、影の長という事ですの?」

ウォルトを見れば、しっかり伸びた姿勢と、落ち着いた態度は通常通りに、「今代の影の長を務めさせていただいております」とはっきり言ったのだ。『おさー!!』とお化けキノコがウォルトの周りを飛んでいるのは締まらないが、ウォルトは見えていないので何も言わないであげたほうがいいかもしれない。

「もしかして、ミランダも……?」

ミランダの事は、ずっと忍者のようだと思っていた。

「はい。奥様の仰る通りでございます」

カミラと共に扉のそばで待機していたミランダが答えると、カミラが「エェ!?」と叫んだので、カミラは影ではないらしい。

「まぁ、ずっとわたくしを守ってくれていたのね。ありがとう。ミランダ」
「とんでもございません。奥様をお守り出来る事は、私共の栄誉でございます」

そう言ってくれるミランダに感謝する。

「テオ様も、最初からわたくしに影を付けてくださっていましたのね。嫌われているとばかり思っておりましたのに……ありがとう存じますわ」
「嫌うなどと……ベル、私の愛しい人。あの時はすまなかった」

テオ様がわたくしの手を両手でギュッと握る。

「テオ様、よろしいのですわ。テオ様にも理由がありましたもの」
「ベル……」
「ゴホンッ、旦那様、奥様、ノア様にご説明中です」

ウォルトの言葉にハッとし、テオ様の手を離す。テオ様は若干恨めしそうにウォルトを見ていましたけれど、子供たちの前ですわ。

「それで、テオ様。サイモン君が影というのは……」
「ああ、サイモンには将来ウォルトの後を継いでもらう事が決まっている。その為、幼い頃から基礎訓練を受けているんだ」

幼い頃からって……今も十分幼いですわよね。

「おくさま。わたしは、いやいやくんれんをうけているわけではなく、すすんでうけております。ですから、そのようなおかおをなされなくとも、だいじょうぶです」

サイモン君はそういってニコリと微笑む。それは子供の無邪気な笑みとは異なるものであったが、悲しみの感情はなかった。

どのような訓練かはわかりませんけれど、酷い扱いを受けているというわけではなさそうですわね。

「そうですの……ウォルトの一族の事でわたくしが口出ししてしまうわけにはいきませんわよね。サイモン君、ノアをお願いいたしますわ」
「もちろんです。おまかせください」
『ノアは、アオがまもるのー!!』

あらあらアオったら、ノアに抱きついてアピールしていますわ。

「アオ、わたしも、アオまもるのよ!」
『ノアー!!』

息子がお化けキノコと抱き合って、ほっこりするシーンだけれど、見えていないサイモンからしてみればちょっと怖いかもしれませんわね。

「ノアさま、もしかしてようせいさまが、いらっしゃるのでしょうか」
『アオ、ここいるー!!』
「アオ、ここにいるのよ」
「!? それは、たいへんしつれいいたしました」

ペコリと頭を下げるサイモンに、ウォルトは表情をくずさず見つめている。

「ほんじつより、ノアさまのじじゅうとして、おつかえすることになりました、サイモンともうします。ようせいさま、よろしくおねがいいたします」

アオに向かって、丁寧に挨拶するサイモンに、アオがびっくりしている。

『ノア、まもってくれるなら、そばいること、ゆるす!!』
「アオ、そばいること、ゆるすっていってるのよ」

ノアが通訳みたいになっていますわね。

「はい! ありがとうございますっ」

妖精の事も怖がったり、変に思ったりもしていないようだし、ノアともアオともうまくやれそうで良かったですわ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



~ おまけ ~


「サイモン、奥様は現在妊娠中です。ノア様が奥様に抱きつく際、お腹にぶつかっていかないよう、注意してあげてください。良いですね」
「はい。マディソンおばあさま」
「もう一つ。ノア様のご友人である、皇太子殿下がほぼ毎日、転移でこちらに来られます。驚かず、失礼のないよう対応する事」
「こうたいしでんかが……。しょうちいたしました」
「それと、妖精様は甘いおやつとおもちゃをお好みになります。目の前で突然それらが消えたとしても驚いてはなりません」
「はい」
「最後に、ウォルトの仕事ぶりは参考にしても良いですが、恋愛面は参考にしてはいけませんよ」
「? はい」

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