継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜ノア5歳〜 〜

番外編 〜 イザベルから見たテオバルドの妖精 〜



最近テオ様が、風と水の妖精王二人と契約した。
そんな妖精王二人は、長く生きているようなのだけれど、わたくしから見れば世話のやける子供のようでもある。

『ベルっ、助けて! テオが激オコよ!!』
『ベルが来てくれれば、怒りは収まる』

なんて言ってくることもあれば、

『ベル! ちょっとテオとベタベタしてちょーだい! 機嫌が良くなったら、私のデザートを一品増やしてもいいか交渉するから』
『ベル、テオのそばいて……。そしたら、新しい本、買ってもらえるかも……』

と、しょっちゅうこちらにやって来ては、テオ様のそばにいて欲しいとお願いされるのだ。

そしてまた今日も……、

『ベルー! テオが酷いの~っ、私はテオが困っていたから、良かれと思って力を使ったのに……っ、うえ~ん!』
「あらあら、何がありましたの? ルピナス、泣かないで」
『ルピナスが、騎士団の防具に魔法をかけたんだ』

わたくしの仕事部屋に泣きながらやって来たルピナスに驚いていると、水の妖精王アクアがそう教えてくれる。

「防具に魔法って、一体何の魔法をかけましたの??」

風の妖精王ルピナスに、何があったのか聞けば、鼻水をすすりながらお話してくれましたのよ。

『ぐすっ、テオが、騎士たちの防具を見て、顔をしかめたから……、ぼ、防御力を上げただけなのにぃ……っ』
『実は……、テオは防具が汚いから、顔をしかめてた……。けど、ルピナスは防具が弱いからだと思って、ちょっと頑丈にしたら、剣が折れた……』

え、それは素材自体を変える魔法ですの? それとも風を纏わせて強化したとか?? どちらにしてもそんなすごい事が出来ますのね。というか防具が汚いって……お手入れサボッた騎士がディバインの騎士にいますの?

『汚いっていうのは、傷だらけってこと……』

顔に出ていたのか、アクアがボソッと補足してくれた。

『ぞ、ぞれで……っ、ぐすっ、テオ、怒ってはなかったけど、呆れて溜め息吐いでだの……っ』
「そうでしたのね。わたくしもよくテオ様に溜め息を吐かれますけれど、怒っていなければ気にしないことにしておりますわ」
『ぐす……っ、ベルも、溜め息吐かれたこと、あるの?』
「ええ。わりと頻繁に」

考えてみたら、わたくしよくテオ様に呆れられておりますわね。

『それ、気にした方がいいんじゃ……』

アクアにまで呆れられてしまいましたわ。

「ゴホンッ、それにしてもルピナスったら、そんなすごい魔法が使えますのね」
『ぐすっ、わだじ、す、すごい?』
「ええ。防具を強化出来るだなんて、人間でしたらそんな魔法使えませんもの。今回は、使い所が違っただけで、すごく役立つ魔法ですわ!」
『う、うんっ、そうよね! 私はすごいのよっ、だって風の妖精王ですもの!』

良かった。元気が戻ってきたみたい。

『私も……それくらい、できる』

アクアも褒めてもらいたいのか、そう言ってじっとわたくしを見つめてくる。

『アクアはね、この間、騎士たちの鎧を魔法で綺麗に洗ったのよ。その後私が風魔法で乾かして、ピカピカにしたんだから!』
『そう。今までで、錆びるから洗えなかった鎧……私の水魔法なら、錆びない……』
『臭かった鎧も、私たちならピカピカよ!』

臭かったって……。

「二人ともテオ様のお仕事を、よくお手伝いしておりますのね」
『『そう(よ)!』』

胸を張って、ふんっと鼻から息を吐く所は子供のようで可愛らしいですわ。

「アカやアオ、正妖精も御庭番のような遊びをしておりましたけれど、テオ様ったらまるで、妖精使いですわね」
『……テオは、魔力も人間を超えているし、魂は綺麗だけど、なんていうか……』
『言う事を聞かないといけないって気にさせちゃうのよ』

か、カリスマ公爵……。妖精王にここまで言わしめるなんて、天賦の才ですわね。

「二人は、テオ様と契約して良かったんですの?」

最初はノアと契約したがっておりましたし。

『『もちろん!』』

あら、いい笑顔ですわ。

『だってテオと契約したから……、ノアともいつでも遊べる……』
『もちろんベルとも遊べるし、おもちゃもお菓子も、好きなだけ遊んだり食べたりできるもの!』

妖精って、本当におもちゃやお菓子が好きですのね。

『それに……』
『今まで偉そうにしていた、光の妖精王にマウントが取れるわ!』

テオ様様よ! と高笑いする二人の妖精王に若干引きながらも、賑やかな家族ができましたわ。と、何だか嬉しい気持ちになりましたのよ。

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