継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ぺーちゃん 〜

番外編 〜 アベルの正体と教会5 〜 ノア10歳、アベル5歳

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ノア視点


「───それで、ノアまで外出を控えているのはどうしてなのだ?」

数日後、アス殿下がいつもの魔法の特訓にやってきて、特訓後に、アカから事情を聞いたのか、心配そうに問いかけてきた。

「アベル一人が外に出られないなんて、可哀想で……。私はお兄ちゃんだから、一緒にいてあげたいと思ったんです」
「うむ。ノアは優しい子だな。しかし、それではアベルが、自分のせいで兄が外出できぬと、気に病むのではないだろうか」
『ノアげんきない、アベルかなしー!』

アス殿下とアカの言葉にハッとする。

そういえば、アベルは私が外出しないことを気にしていたようだった……。

『ノア、やさしー!! アオ、そんなノア、だいすき!!』
「アオ……」
「うむ。私も優しいノアが大好きだ。しかし、アベルが外出できぬから、ノアもというのは、逆にアベルを苦しめてしまうかもしれぬ。私も、風邪を引いた時に食事がとれなくて、父上まで一緒に食べなくなってしまった時、とても悲しかったのだ」
「アス殿下……。そうですね。私はアベルを悲しませたくないです」

アス殿下にそう伝えると、にっこり笑って頷いてくれた。

「であれば、いつも通りに過ごすと良い。おもちゃの宝箱で、アベルの好きなものをお土産にしても良いしな!」
「それは良いかもしれません! あの、アス殿下も、一緒に来てくれますか?」
「うむ。共に行こう!」
『アカもー!』
『アオもいく!! ノア、アオだっこして!!』

アオがいつものように、腕の中にきたので、抱っこしてあげる。すると、アカもアス殿下の腕の中に収まった。

「アカ、アオ、おもちゃの宝箱の、いつもの部屋に飛んでもらえるかな?」
『『わかった!!!』』
『おもちゃのたからばこ、いくぞー!!』
『おー!』

お母様が、転移する時にはここにしなさいと用意してくれた、私たち専用の部屋へと転移する。
小さな部屋だけど、私たち(妖精・精霊と契約している者)しか入る事ができないようになっている。

「アカ、アオ、ありがとう」

にこにこと御礼を言うアス殿下の頬に、アカがくっついて、好き好きと嬉しそうにしている。

「アカ、アオ、ありがとう」

私もアス殿下にならって、御礼を言えば、アオも同じようにほっぺたに擦り寄ってきた。

フフッ、くすぐったいよ。アオ。

「カフェの新作が出たと、母上が言っていたから、アベルの好物の他にもそれも買って帰ってあげよう」
「そうですね。最近お母様も、私たちの楽しみが減るからって、新作を家で作ってくれなくなったんです」
「ふむ。イザベル夫人は、ノアたちが楽しんでくれることが目的だからな。当然なのかもしれぬな」

などと話しながら店に続く廊下へと出れば、いつも通りお店の中は賑わっていた。おもちゃも気になるけど、まずはカフェで整理券をもらわないといけないと、巨大滑り台を横目に階段を上がる。

昔とは規模も大きくなって、アスレチックやトランポリンのコーナーが出来たり、カフェが隣の建物に移り、二階の連絡通路で繋がっていたりするけど、この巨大滑り台だけは昔から変わらず、子供たちに大人気だ。

「相変わらず滑り台に行列ができているな」
「そうですね。フフッ、初めてアス殿下と一緒に、滑った時を思い出しました」
「ふむ。では整理券をもらった後、滑ろう!」
『アカすべるー!』
『アオもー!!』

アス殿下と滑り台をすべる約束をし、連絡通路からカフェに行くと、こちらもまた満席だ。

『にんげんいっぱーい!』
『ゴミのよーだ!!』
「アオ、そんなこと言っちゃだめだよ」
『ごめんなさーい!!』

テイクアウト用の整理券を配っている場所に行き、整理券をもらうと、滑り台の方へ戻ろうとした時だ。

『あー! なーたんはっけーん!』
『なーたん!! フローレンスもいるー!!』

フロちゃんが、カフェの席に座って、エビフライを食べている所を見つけた。

「む……、大人と一緒のようだ。お年を召した方のようだから、フローレンスの父親ではないな」
「私は見たことがない方です……」

一体誰と一緒にいるのだろう……。

「あれは……、ノア、あれは大司教だ」

大司教!?

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