継母の心得 〜 番外編 〜

トール

文字の大きさ
139 / 175
番外編 〜 ぺーちゃん 〜

番外編 〜 アベルの正体と教会5 〜 ノア10歳、アベル5歳



ノア視点


「───それで、ノアまで外出を控えているのはどうしてなのだ?」

数日後、アス殿下がいつもの魔法の特訓にやってきて、特訓後に、アカから事情を聞いたのか、心配そうに問いかけてきた。

「アベル一人が外に出られないなんて、可哀想で……。私はお兄ちゃんだから、一緒にいてあげたいと思ったんです」
「うむ。ノアは優しい子だな。しかし、それではアベルが、自分のせいで兄が外出できぬと、気に病むのではないだろうか」
『ノアげんきない、アベルかなしー!』

アス殿下とアカの言葉にハッとする。

そういえば、アベルは私が外出しないことを気にしていたようだった……。

『ノア、やさしー!! アオ、そんなノア、だいすき!!』
「アオ……」
「うむ。私も優しいノアが大好きだ。しかし、アベルが外出できぬから、ノアもというのは、逆にアベルを苦しめてしまうかもしれぬ。私も、風邪を引いた時に食事がとれなくて、父上まで一緒に食べなくなってしまった時、とても悲しかったのだ」
「アス殿下……。そうですね。私はアベルを悲しませたくないです」

アス殿下にそう伝えると、にっこり笑って頷いてくれた。

「であれば、いつも通りに過ごすと良い。おもちゃの宝箱で、アベルの好きなものをお土産にしても良いしな!」
「それは良いかもしれません! あの、アス殿下も、一緒に来てくれますか?」
「うむ。共に行こう!」
『アカもー!』
『アオもいく!! ノア、アオだっこして!!』

アオがいつものように、腕の中にきたので、抱っこしてあげる。すると、アカもアス殿下の腕の中に収まった。

「アカ、アオ、おもちゃの宝箱の、いつもの部屋に飛んでもらえるかな?」
『『わかった!!!』』
『おもちゃのたからばこ、いくぞー!!』
『おー!』

お母様が、転移する時にはここにしなさいと用意してくれた、私たち専用の部屋へと転移する。
小さな部屋だけど、私たち(妖精・精霊と契約している者)しか入る事ができないようになっている。

「アカ、アオ、ありがとう」

にこにこと御礼を言うアス殿下の頬に、アカがくっついて、好き好きと嬉しそうにしている。

「アカ、アオ、ありがとう」

私もアス殿下にならって、御礼を言えば、アオも同じようにほっぺたに擦り寄ってきた。

フフッ、くすぐったいよ。アオ。

「カフェの新作が出たと、母上が言っていたから、アベルの好物の他にもそれも買って帰ってあげよう」
「そうですね。最近お母様も、私たちの楽しみが減るからって、新作を家で作ってくれなくなったんです」
「ふむ。イザベル夫人は、ノアたちが楽しんでくれることが目的だからな。当然なのかもしれぬな」

などと話しながら店に続く廊下へと出れば、いつも通りお店の中は賑わっていた。おもちゃも気になるけど、まずはカフェで整理券をもらわないといけないと、巨大滑り台を横目に階段を上がる。

昔とは規模も大きくなって、アスレチックやトランポリンのコーナーが出来たり、カフェが隣の建物に移り、二階の連絡通路で繋がっていたりするけど、この巨大滑り台だけは昔から変わらず、子供たちに大人気だ。

「相変わらず滑り台に行列ができているな」
「そうですね。フフッ、初めてアス殿下と一緒に、滑った時を思い出しました」
「ふむ。では整理券をもらった後、滑ろう!」
『アカすべるー!』
『アオもー!!』

アス殿下と滑り台をすべる約束をし、連絡通路からカフェに行くと、こちらもまた満席だ。

『にんげんいっぱーい!』
『ゴミのよーだ!!』
「アオ、そんなこと言っちゃだめだよ」
『ごめんなさーい!!』

テイクアウト用の整理券を配っている場所に行き、整理券をもらうと、滑り台の方へ戻ろうとした時だ。

『あー! なーたんはっけーん!』
『なーたん!! フローレンスもいるー!!』

フロちゃんが、カフェの席に座って、エビフライを食べている所を見つけた。

「む……、大人と一緒のようだ。お年を召した方のようだから、フローレンスの父親ではないな」
「私は見たことがない方です……」

一体誰と一緒にいるのだろう……。

「あれは……、ノア、あれは大司教だ」

大司教!?

感想 52

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。