継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ミーシャ 〜

番外編 〜 ミーシャ15歳の日常3 〜



「ミーシャ!! こ、皇太子殿下は!?」

スィーツビュッフェのお店に入ると、私を見つけた三人が
駆け寄って来る。

「ドレスをいただいた後、すぐに別れたよ」

私の後ろを気にしていた三人は、ホッと息を吐き、安堵した顔で言った。

「ミーちゃん、ドレス用意してもらえて良かったね」
「まさか皇太子殿下に助けてもらえるとは思わなかったよね!」
「とにかく、何とかなって良かったー!」

うん。と頷き、三人が手にしたお皿を見ると、沢山のケーキやパイ、プリンやフルーツが乗せられていた。
私がドレスを選らんでもらっている間に、随分楽しんでいたようだ。

遅ればせながら、私もお皿を取り、好きなスィーツを乗せて席へと移動する。

「では、ミーシャの15歳の誕生を祝して」
「「「「かんぱーい!!」」」」

アイスティーで乾杯し、一斉にスィーツを口に放り込む。

「んー! 美味しい!!」
「ほっぺがおちる~」
「こんな美味しいスィーツ、初めて!」
「うん」

もちろんホテルの経営はウチがしているので、何度も食べているし、公爵家のパティシエもとても美味しいスィーツを作ってくれるが、友人たちとのビュッフェも美味しい。

「ねぇねぇ、皇太子殿下って、すっっっごく、格好良かったね」

コニーが頬を赤く染めて、珍しく興奮しながらキャッキャと喜んでいる。

「わかるー! あんな格好良い人がこの世にいるなんて、信じられない!」
「同じ人間とは思えないよね」

完璧超人アスお兄様は、やはり女の子に大人気だ。

「ミーちゃん緊張しなかった?」
「緊張……?」

赤ちゃんの頃から面倒を見てもらっているし、家族のようなものだから、安心はしても緊張することはない。

「この顔……わかってないわね。まぁ、ミーシャは恋愛面に疎いし、初恋も経験したことない子だもの」
「私も初恋、まだだけど、皇太子殿下はさすがに緊張するよ……」

なるほど。皇太子殿下は普通は見るだけで緊張するものなのか。

「緊張、した」
「え!? ミーシャが!?」
「もしかしてミーちゃん、皇太子殿下に一目惚れしちゃったのかなぁ?」
「男爵令嬢だと、さすがに皇太子殿下との結婚は難しいかも。でも、頑張れば愛妾にはなれる!?」
「愛妾とか絶対ダメ! ミーシャ、男はね、浮気しない人が良いのよ!」
「私もそう思うよ。見た目よりも中身が大事。でも、お金も大事」
「私は動物好きの人がいいなぁ」

?? 皆、何の話をしているんだろうか。

「あ、でも見た目よりも中身って言ったけど、ディバイン公爵家の公子様には、一度で良いからお会いしたいかも」
「「わかる~!!」」

突然兄の話が飛び出したので、ドキッとしてしまう。

「私は断然ノア様! 美しすぎるお顔立ちに、優しいと評判の性格、そしてあの、由緒正しく、莫大なな富を持つディバイン公爵家の跡取り! 完璧だわ……」
「私もノア様がいいかなぁ」
「私はアベル様がいいかも。動物好きっていう噂だし、快活な所もいい」

お兄様たち、すごく人気……。

「ミーシャはどっち?」
「え……」

ノアお兄様は優しいし、お買い物にも付き合ってくれるし、相談にものってくれる。アベルお兄様は……口は悪いけど、お買い物には嫌々付き合ってくれる。相談は……アベルお兄様には絶対したくない。

あ、相談するならブルちゃんがいいな。

「ブルちゃんがいい」
「誰!?」
「親戚筋のお姉さん」
「どこをどうしたら、そういう回答になるわけ!?」
「?」
「あーっ、もうこの子は!!」

クロエが頭を抱えているけど、おかしな事を言っただろうか?

「ミーちゃんは、それでこそミーちゃんだよ」

コニーがクスクス笑って、プリンを口にふくみ、幸せそうにとろける。

「まぁ、ディバイン公爵家の方々に、私たちが会えるはずもないんだけどね」

そう言ってナツィーもケーキを口にふくむ。

「え? 平民の私ならまだしも、ナツィーとミーシャは貴族でしょう。機会があるかもしれないのに」
「貴族とはいっても、高位貴族と底辺の貴族は出席するパーティーも違うし、滅多なことじゃお目にかかれないんだよ」
「そういうもんなんだ」
「そういうものなのさ」

ナツィーの言葉にコニーとクロエがそうなんだぁと返事をしながら、もぐもぐスィーツを食べている。

「そういえば、ミーシャとパーティーで遭ったことないよね」

マズい。思わぬ流れ弾が飛んできた。ここでバレるわけにはいかない。

「うち、貧乏。パーティー、いけない」
「何でカタコトなのよ」
「そっか。あのイザベル様もデビュタントまでパーティーに出席出来なかったらしいし、気にする事ないと思うよ」

何とか乗り切った。

「え!? 女神様って、パーティーに出てなかったの!? ちょっとナツィー、女神様のことに詳しいなら教えなさいよ!」
「ああ、クロエはイザベル様を尊敬しているんだったよね」
「当たり前でしょ! 商売に携わる人は皆、あの方を尊敬しているわ! ね、コニー」
「そうよ。女神様は商売に革命を起こし、私たち平民の生活をより良くしてくださっただけでなく、戦争まで回避した素晴らしい方よ。商売人だけでなく平民皆が女神様を特別視しているわ」

これだから、お母様の娘だとは言えないのだ……。
この場に母が居なくて良かった。

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