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番外編 〜 ミーシャ 〜
番外編 〜 ミーシャの日常、公爵邸招待編4 〜
ミーシャ視点
「───みんな、ごめんなさい!」
「わたくしの悪女顔が……」と言いながら落ち込んでいたお母様には、部屋から出て行ってもらって、正気を取り戻した三人に謝罪する。
嫌われるんじゃないかって、やっぱり怖くて、顔が上げられなくて、目をぎゅっと閉じる。
私は、友人たちに嘘をついていた。だから嫌われても仕方ないんだ。そう思うけど、こんな無愛想で会話も上手く出来ない私を、友と呼んでくれた人たちを失いたくない。
出来ることなら、ずっと友だちでありたい。
「……ミーシャ」
クロエが私の名前を呼ぶ。その声に余計体に力が入る。
怖い……っ、どうか、お願いします……っ、私のこと、嫌いにならないで!
「……まさかミーシャが、あのディバイン公爵家の令嬢だったなんてね」
「こんな庶民が話しかけてごめんなさい!」
「驚きすぎて、意識が飛んでいたよ……」
三者三様の反応だが、思っていたものと違い顔を上げると、クロエとナツィーは苦笑いしており、コニーはガチガチと歯を鳴らしていた。
「怒って、ないの……?」
恐る恐る聞けば、ハァッとクロエが溜め息を吐く。
「あのねぇ、公爵令嬢だって事を黙ってた事に、私たちが怒るわけないでしょ!」
「どちらかというと、怒ると思われていたって事に悲しくはなるけどね」
「こ、殺さないで! 不敬罪は堪忍してください!」
クロエとナツィーの言葉にハッとして二人の表情を見る。二人は呆れたような、納得したような、そんな顔をしていた。
「ディバイン公爵家の令嬢だなんて、そりゃ大変そうだもの。色んな事情もあったんだろうし……って、公爵令嬢にこんな失礼な態度取っちゃダメよね」
「失礼じゃないよ! 私、クロエとナツィーとコニーが友だちだって言ってくれて、仲良くしてくれて、すっごく嬉しかった! だから、だから……っ、三人が嫌じゃないなら、このまま友だちでいてほしい!」
騙していた私が、こんな大それたお願いしたらダメかもしれないけど、絶対失いたくないから……っ
「……何言ってるの!」
クロエの言葉に、無理だと続けられるのかと思って身体がすくむ。
だけど、
「こっちこそだよ!! こっちこそ、庶民でも友だちやってくれるなら……っ、今まで通りがいいんだからね!」
「私も、しがない子爵家の娘だけど……ミーシャとは身分なんて関係のない、今まで通りの友だちでいたい」
「わた、私……っ、ただの花屋だし、クロエみたいにお金持ちでもないし、ミーちゃんと友だちでいたいけど、私、不敬罪で殺されない!?」
三人とも、友だちでいたいって、言ってくれた───
「ぅ……っ」
込み上げてくる涙に我慢できず、嗚咽が漏れる。
「ミーシャ、何で泣いてるのよぉ……っ」
「ははっ、クロエも、泣いてるじゃないか」
「そういうナツィーも泣いてるじゃない!」
「こ、公爵令嬢泣かせちゃった……っ、不敬罪!!」
「コニーは違う意味で泣いてるわよね!?」
ぷはっと、コニーのおかしな言葉に、泣いていた皆が吹き出した。
「コニー、不敬罪なんて絶対ないから安心して」
涙を拭きながら、泣いてるコニーに言えば、
「で、でも、ナツィーすら畏れ多かったのに、公爵令嬢だなんて雲の上の人が、実家が花屋の私の友だち……」
と、また倒れそうになっているではないか。
「コニー、私のことも畏れ多いと思っていたの!?」
ナツィーはショックだったのか、先ほどの感動が嘘のように、涙が完全に引っ込んでしまった。
「仕方ないのよ。私たち庶民が貴族と友だちになれるなんて、ありえないことだもの」
クロエはそう言って、コニーに向き直ると、
「でもね、コニー。私たち、子爵令嬢や公爵令嬢と友だちになったわけじゃないでしょ」
「クーちゃん……」
「私たちが友だちになったのは、ナツィーとミーシャっていう、同い年の可愛い女の子たちなんだから」
ああ……。私はこんなにも自分を一人の人間として見てくれる友人に恵まれていたのか。
「うん……っ、そうだよね。ナツィーは動物に目がなくて、ミーシャはお喋りが苦手だけど、素直な可愛い女の子だったよね」
コニー……っ
「クロエ、ナツィー、コニー、ありがとう」
三人は微笑んで、
「「「友だちでしょ!」」」
と抱きしめてくれたのだ。
「はぁ……、泣いたらお化粧落ちちゃったじゃない」
「クーちゃん目の周りが黒くなってるよ」
「うっさい! 私だけじゃなく、ミーシャだってほっぺたが黒く……ん? くろい……??」
え、何? 私の頬が黒い??
「ミーシャ、あんた、そ、そばかすが……っ」
あ、そうだった。そばかす描いてたから、さっき涙を拭いた時に擦れたんだ。
「ちょっと待って。ミーちゃん、眼鏡取って、前髪あげてもらってもいい?」
「え、うん」
コニーの言うように、変装用の眼鏡を取り、前髪をかきあげると……、
「「「め、女神ィィーーーー!?」」」
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