170 / 175
番外編 〜 ミーシャ 〜
番外編 〜 ミーシャの日常 恋愛編1 〜
参観日から数日が経ち、クロエ、コニー、ナツィー、そしてオーロラちゃんと、お昼を一緒に食べる仲になっていた。
今日は食堂のオープンテラスでランチだ。
「───あれがディバイン公爵令嬢?」
「何かイメージが……」
コソコソと話す声が聞こえてくる。
クロエがコソコソ話す人たちをキッと睨み、私を見てはぁっと溜め息を吐いた。
「ミーシャったら、公爵令嬢ってバレたんだから、変装も止めるのかと思いきや、変装したままで登校してくるんだもの。びっくりしたわよ」
そうなのだ。実は身分はバレても変装は止めなかった。なぜなら、
「お父様が、この格好で行くようにって言ったから……」
「ディバイン公爵閣下が!?」
みんなが目を丸くし、「なんで!?」と聞いてきた。
「お父様は、変装している方が面倒ごとが減るって言ってた……」
「「「「そういうこと(ですのね)」」」」
四人が口を揃えると、お互いにうん、うんとうなずいているのはなぜなのか。
「ディバイン公爵が仰る通り、ミーシャ様の容姿は人の目を惹きますから、変装を止めてしまいますと大変なことになってしまうかもしれません」
オーロラちゃんが真剣な顔をして話してくれるが、やはり有名なお母様に似たこの顔は、目立つのだろうか。
「美しすぎるのも大変よねぇ」
「失神者が続出する美貌を持つと、ある意味凶器と同じだから……」
「私も直視出来ないもん」
「ええ。わたくしも初めて拝見した時、小さい女神様と大きい女神様に、ここは天界でしょうか、と思いました」
「「「それね!!」」」
何だかんだと、オーロラちゃんは楽しそうにみんなと話している。高位貴族のオーロラちゃんが、三人と仲良くしてくれるというのは素直に嬉しい。
ただ、気になるのは、いつもオーロラちゃんのそばにいたあの子たちだ。
何かと悪口を言ってきたあの子たちは、今どうしているのかというと……、
「あ、あの子たち……」
「「ヒィッ」」
目があっただけで悲鳴を上げられ、逃げられた。
参観日の翌日からずっとあの調子なのだ。
はぁ……と溜め息を吐けば、「あの子たちが申し訳ありません」とオーロラちゃんに謝罪を受ける。オーロラちゃんが悪いわけではないのに、謝罪をさせてしまったと固まっていたら、
「オーロラが謝ることじゃないわ。あの子たち、何かとミーシャに絡んでいたから、自業自得よ」
とクロエがフォローしてくれた。
「そんな事より、ミーシャもオーロラも、婚約者はまだ決まってないんでしょ? やっぱり皇太子妃を視野に入れてたりするの?」
「それ、私も気になってた~」
「こらこら二人とも、そんなにはっきり聞いたらダメだよ。まぁ、私も気になってるんだけど」
などとみんなが私たちを見てくるが、皇太子妃って、アスお兄様のお嫁さんになるってことだよね?
「私はそんな畏れ多いことを考えておりません。皇太子妃はミーシャ様。これはミーシャ様が生まれた時からの決定事項です」
「え!?」
オーロラちゃん何言ってるの!?
「そっかぁ。やっぱりミーシャが将来の皇后陛下なのね」
「ミーちゃんがどんどん遠い人になっていく……」
「確かにミーシャほど相応しい令嬢はいないよね。何せあのディバイン公爵家の一人娘だし」
「帝国民であれば、皆様喜ばれるでしょう。賢帝間違いなしと期待される若い太陽と、女神の娘ですから」
ちょっと、四人とも当然みたいな言い方だけど、あの完璧超人のアスお兄様だよ!?
「みんな、あのアスお兄様のお嫁さんに私がなるなんて、アスお兄様が困ってしまうから、冗談でもそんなこと言ったらダメだよ───」
って、笑い話にして有耶無耶にしたけど、アスお兄様の婚約者か……。婚約者どころか、もう結婚していてもおかしくない年なのに、噂すらない人だもんなぁ。
「ネロおじさまも一途な人だし、案外片思いしている人がいるのかも?」
「ミーシャ、カタオモイ?」
「あ、チロちゃん。私口に出してた?」
「ウン。ミーシャ、ダレニ、カタオモイ?」
アカデミーから帰ってきて、自分の部屋で課題をしながら昼間のことを考えていたら、無意識に口走っていたらしい。
肩にとまっていたチロちゃんが、机の上に降りて私を見上げている。
「私のことじゃないよ。アスお兄様のこと」
「アス、カタオモイシテル?」
「結婚していてもおかしくない年なのに、アスお兄様もノアお兄様も独身の上、婚約者もいないでしょう。だから、実は片思いしている相手がいるのかなぁって、思ったの」
「ミーシャ、マダチーサイカラ」
「え?」
「ミーシャ、カダイ、スルノ~」
「あ、うん」
私が小さいから? どういう意味だろう??
チロちゃんに課題の監督をされながら、晩餐までの時間その意味を考えていたのだ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。